ISOは会社をつぶすか 2002.08.01
右か左か?
To be, or not to be?

思想的な悩み、とまどい、日本軍の行動の正否は迷うところ、悩むところがございましょう!

でも、今時点の現実社会での出来事に関しては悩む余地のないものもございます。

本日は8月9日つけ週刊朝●「ISOが会社をつぶす」という週刊誌の記事を読みました感想をひとつ・・・

一言で言えばこの記事は百害あって一利なしと受け取りました。

具体的な問題はたくさんありますがそのひとつとして
「ISO」  とこの記事では言っていますが、その意味するところは判然としません。
 (1)ISO(国際標準化機構)のことか?
 (2)ISO規格のことか?
 (3)ISO9001あるいはISO14001規格のことか?
 (4)第三者審査登録のスキームについてか?
 (5)審査登録の運用上の問題か?
記事の中で(1)(2)(3)については申し訳程度書かれていますが、(4)(5)については言及していません。
ここを明確にしないまま週刊朝日の記事は進んでいき、証拠も挙げず証明も表明もせずに「ISOが会社をつぶす」ということにつなげています。
問題点が上記(1)〜(5)のどこにあるのか説明も何もありません。


更に個々の問題点、言い回しなどをあげますと、
  • ISO9001取得
    正しくは審査登録でしょうけど、まあ認証取得ならともかく、ISO9001取得とはいただけません。
    審査を受けて合格すると晴れて「ISO9000規格」を手にすることができるのでしょうか(^^)
    揚げ足取りではなく、全然わかちゃいねーなと感じます。
    認証とは何かに対して裏書し保障することです。
    今から10年前まではISO審査機関は認証機関と自称し、認証書を発行していました。
    しかし、PL訴訟を恐れ、認証ではない、我々は保証するのではなく、規格に適合しているか否かを審査し、適合した組織(会社)を自社のリストに載せ公表するだけだと趣旨を変え、審査登録機関と名称を変え、認証書から登録書に変えたのです。
    かってT社の地下水汚染などがあった時、その会社を審査した機関も『私たちはシステムの適合性を確認するのであって、具体的パフォ−マンスを保証しないとやっきになっていました。
    ISO審査登録とはそういう意味です。

    そして現実によくあるんです、ISO9001審査登録しても品質が悪い会社、ISO14001審査登録しても環境事故を起こしている会社
    賢明な方はじゃあ、いったい審査登録とは何の意義があるんだ!とお思いでしょう。

    審査登録の意義?
    英語検定で英検というのがあります。いえ、TOFULとかTOIECでもなんでも同じですけど・・・・
    あれは資格ではありません。
    能力検定です。

    英検1級の方が現実に英語で仕事ができないかもしれません。
    英検なんか受けたことがなくとも、耳で覚えたホテルマンが仕事で困らないかもしれません。
    アメリカ人で英検を受ける人って少ないと思いますよ(^^)


    でも第三者があなたは英語どのくらいできるの?と聞いた時、『英検○級です』といえば『ああ、そうなんだ』となるでしょう。
    ISO審査登録とはその程度のものです。

    囲碁や将棋の段位もISO審査登録と同じです。
    段位免状を持っていても実際強くなくちゃ意味ないもんね。
    お前の棋力(囲碁の力)はどうなんだ?と訊かれそうですね(^^)
  • ISOの問題は・・・
    ISO組織とISO規格の説明の後に「ISO」を主語にするということはISO9001あるいはISO14001ではなく国際標準化機構あるいは規格全般に問題があると読者に誤解させる。

    ISOの上部機関はWTO、あなたWTOにけんか売ってるんですか?

  • 日本ではJABが・・唯一の団体だ
    国際規約で認定機関は一国一組織と決まっているわけですが、文面からはそうは読めない。予備知識のない読者には競争原理が働いてない不透明だと誤解を生むのでないか?

  • JABの役職には経済団体や業界トップが顔を並べる。
    何を言いたいのか文の意味不明です。
    ご批判なのか? 賛美なのか?
    週刊誌など報道機関の代表がいないことがご不満なのでしょうか?

  • 費用がかかる→会社をつぶす
    そう短絡してよいのでしょうか?断定する根拠はあるのでしょうか?
    この記事でISOでつぶれた会社を提示していません。
    これは事実と異なり公正な報道とはいえません。
    正しくは「ISO審査登録したが効果がなかったと言っている人がいる」ではないでしょうか?
    せいぜい言って「ISOは費用対効果がない」程度でしょう。

  • 審査員の日当が12万〜13万である
    すみません?
    それはいったいどういう意味でしょうか?
    法外とおっしゃっていますが、いくらならよろしいのですか?
    ちなみに週刊誌や新聞記者あるいはニュースキャスターの一日当たり賃金はおいくらですか?
    審査員は毎日仕事があるわけじゃありません。審査費用がそのまま審査員に入るわけじゃありません。審査機関の収入であり、経費とか他の従業員の人件費とかを賄わなくちゃいけないんです・・・・
    高いか安いかはその効果しだいでしょう?
    いずれにしても長期的には市場価格でバランスがとれ、売り手買い手不満がなくなるはずですよね
文中で引用しています、セドン氏の「こんなISO9000はいらない」は規格(94年版)の不備(とくに中小企業に対して重いこと)や審査の実態を批判しているのであって、彼自身がISO9000を見直ししたバンガード規格を提唱しています。要するにセドン氏は品質保証規格の意義を否定したり、審査登録制度が会社をつぶすとは言っていません。
そんなわけで堀井記者がその本を読んだとは思えない。もし読んでいたならセドン氏が問題提起した内容を理解できなかったのでしょう。
今ISO審査登録に問題があるとすれば単に(5)の運用の「一部」に不徹底、不誠実なところがあるというだけではないのでしょうか?
あるいは、官公庁が入札要件にISO認証を条件とすることの是非を論じるべきでしょう。
もっともこれは談合体質を批判された政府が、国際化・透明性 をということで採用したいきさつがあり、これを非と断じる論理は逆に批判されそうです。
はっきりいってこの記事の担当者は不勉強、無責任としか言いようありません。
この記事はすこしISO9000や14001に関わった人たちの不満、うっぷんを晴らす効果はあるかもしれませんが、すくなくとも建設的なものではありません。
総体として誤解を生み広げるだけではないかと思います。
問題提起をするならば、
 官公庁が認証取得を入札条件として求めているのが問題である。
 審査登録や更新に費用がかかりすぎる。
 審査機関には怪しいところがある。
 審査にはばらつきが多い
 へんなコンサルに頼るな、
 中小企業は身の丈にあわせたシステムを作れ(西沢氏の言)
と問題を分析し具体的な提案をすべきです。


この記事で週刊朝
「作業を行なうすべての要員が適切な訓練を受けていること」(ISO14001 4.4.2)、
「品質に影響がある仕事に従事する要員を教育訓練し、その効果を評価すること」(ISO9001 6.2.2)

などISO規格に適合していないことを暴露しただけのように思えます。


私は現在の審査機関の見解のバラツキと審査員の質的バラツキ、そして審査のさいの規格に関係ないアドバイス(おせっかい)に大変迷惑しておりますが、規格の精神とその文言の価値を高く評価します。

みなさんはこの記事を読んでいかがお考えでしょうか?



いい加減な記事を書くと、恥をかきます。
記事は事実に即して、公明に公平に書かないといけません。


いつも申しておりますが、
私はJRCAにもCEARにも登録しております。それもかなり早い番号です。
自分で言うのもなんですがシステム構築経験も豊富ですよ。
傍らでコンサルしたのとはわけが違います。

規格を読んで出直しなさい!   反論するには覚悟してらっしゃい(^^)




masa様からお便りをいただきました。(2002.09.29)

ISOは会社を潰さない!

初めまして。 平凡な、45歳の男性会社員です。
うそ800の中で、某週刊誌が『ISOは会社を潰す』と云う記事を載せていた事を紹介していましたね。
週刊誌の記事は、約2年半前のISO9000・ISO14000の認証取得活動前に私自身のISOに対するイメージと似ている感じがしました。
認証取得活動前は、マレーシアに品質責任者として赴任してた時期で、ISO9000認証企業(特に現地資本)ほど品質・納期問題を多発させ、その処理に走り回っていた時期でした。
その影響で、ISOに対して良い印象を抱いていませんでした。
しかし、今では『ISOが会社を潰す』事は絶対に無く、むしろ逆だと思っています。仮に、ISOで会社が潰れるとしたら、その原因はISOではなく会社組織を運営する人達の問題と思います。
日本に帰任し、ISO認証取得のコンサルを受けて従来の仕事のやり方にムダ・矛盾・曖昧さの多い事に気づかされました。
ISO9000・14000認証取得後は、問題が発生すると必ず是正処置が取られ、内部監査でチェックされます。
こう云った事を勉強せずに、週刊誌の記者は想像だけで原稿を書いたのではないかと思います。
でも、アサ○と名の付く新聞やテレビは日頃から日教組や旧社会党と組んで“自虐的報道と売国的社風”で知られている会社ですから、まともな記事を期待する方が無理かもしれませんね。
今後も、任田さんには日本人の良識の上に立った辛口の批評を期待します。
masa様、お便りありがとうございます。 実はuso800はネットの仲間から「ぜひISOをご教示願います」なんておだてられて書き始めたのですが、みなそんなこと忘れて誰も見てくれません。
このコーナーにお便りしてくれたのはmasa様が初めてです。
私も東南アジアの国でISO9002とかISO14001の構築をしました。日本の企業では当たり前のことが外国では命じられてことしかしない、という風潮がありますのでISOは決して悪いものだとは思いません。
もっとも私はISOが会社をよくするとか救うなんても考えてません。
当たり前の企業なら既にISOのレベルにあると思っています。
週刊○日の記事も続編があるのかと思いましたがあれっきり、
みなさんの関心を集めて返ってよかったのかもしれません。
ということでまたのお越しをお待ちいたします。


ルパン三世様から(2002.10.14)

拝復 私の拙文へのご回答有難うございました。
さて、私が所属する会社もISO9001の認証取得が適いました!
思えば昨年7月より、原文翻訳から始まり、仕事の洗い出しから、第一、第二、第三文書、さらに様式登録と事務局の一員として携わりましたが、ご指摘のとおり週間朝日の記事は稚拙なウケ狙い文章としか思えません。
少なくとも弊社では、顧客への対応が見違えるほど良くなりました。
 ISOは社内の空気を一変させたように思います。
今までの「まっいっか」がなくなったことは喜ばしいことと思います。顧客の信頼感が増し、特命仕事が増加して今期も増収増益の予測がたっております。
この不景気のなか決算ボーナスが出る運びとなり、嬉しい限りです。
少なくともISO事務局に携わっている人間として声だかに申し上げます。ISOは会社を潰すのではなく、会社を大きくしますと。
本HPにご来場の皆様、間違った報道に左右されないで下さい。
これが私の実感です。
ありがとうございます。
ISOに関わっている人間として大変うれしいと申し上げます。
自分の仕事が無駄ではない、価値あること、人々の役に立っていること、これが生きがいでしょう。
今後ともお互いに会社のために、自分のために仕事をしていきましょう!

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