北朝鮮社説比較 2002.09.18
小泉純一郎の北朝鮮訪問は重大な出来事であると考える。
一般国民、政党、左右それぞれの支持者などに与える影響はきわめて大きいものであると考える。 もちろんメディア各社にとっても・・ 2002年9月18日付け日本の主要な(同時にそれは左右、自虐史観、自尊史観を代表するものである)新聞の社説がどのようであったのか比較表を作った。 誤解を与えないようにコメントはなし!

各位のご判断を仰ぎたい。

項目朝日新聞読売新聞産経新聞毎日新聞
拉致国家が隣国の国民をゆえなく誘拐する行為は、テロ行為に等しく、とても許すことは出来ない。

テロそのものじゃないの?
生存者の家族との面会について時期、手順をはっきりさせることや、遺体の返還、その補償といった問題だ。殺害や処刑がなかったと言い切れるのか。事件が表面化し、口封じに殺されたのではないかとの疑いもある。真相は、日朝が合同で徹底的に究明し、明らかにする責任がある。
国交拉致問題が極めて重大なことは言うまでもないが、それを理由に対北朝鮮制裁などで、正常化交渉の窓口を閉ざすべきではない。

そこまで言うのか?
日本政府は焦らず、じっくりと構えて交渉にあたるべきである。拉致事件の事実関係や責任の所在など、全容解明が大前提である。仮に政府間で国交締結に合意しても、国会すなわち国民が納得しなければ、正常化協定は承認されない。
植民地支配に対する謝罪表明支持する。 論評せず北朝鮮とも、歴史認識の問題も含めて、拙速は厳に慎む必要がある。論評せず
核開発核兵器を開発している疑いがもたれている。日本上空を通過するミサイル実験もした。北朝鮮は核開発疑惑にこたえて、査察受け入れに関するIAEAとの協議に速やかに入らなければならない。論評せずミサイルは、日本と国交を結んでも、なお開発と配備を進めるのか。核開発疑惑は、米国など国際社会全体が懸念している。無条件の査察を早期に受け入れる必要がある。
不審船目的のはっきりしない不審船がしばしば現れた。

へえ!害はもたらさなかったの?
論評せず不審船が北朝鮮の工作船であることが明らかになったいま、北朝鮮の謝罪を求める必要がある。現在も活動している工作船は、テロ行為そのものではないのか。
北朝鮮は北朝鮮は日本国民にとって危険な国でさえある。

すみません、『さえ』であるとはどういう意味か?
テロ国家である論評せずテロ国家である
北朝鮮に対する信頼性北朝鮮は国際社会との約束事をきちんと守り、実行した実績が少ない。論評せず問題は、北朝鮮が合意をどこまで誠実に実行していくか、にある。経済協力が、軍事増強に使われないための、明確な保障措置が必要である。
メディアの責任論評せず

そりゃ論評できんだろう、自己批判せい!
論評せず論評せずマスコミの報道も、早いとは言えなかった。
政治家の責任論評せずコメ支援で、北朝鮮の"歓心"を買おうとした議員外交も、結果的に拉致事件の解決を遅らせた。「国益」を軽んじ、被害者を顧みなかった一部政治家と外務省の不見識は、厳しく責められねばならない。拉致事件を疑問視する政党すらあった。


この比較表はいつまでも『晒して』おきます。





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朝日新聞
日朝首脳会談――悲しすぎる拉致の結末
 変化促す正常化交渉を 
 痛ましい結末が明らかにされた。小泉純一郎首相との会談で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記が、多数の日本人を国家機関が拉致したことを認めた。北朝鮮側は5人が生存し、8人が死亡したと伝えた。
 金総書記はそのことについて謝罪し、二度と起こさないと約束した。しかし、自らの意思に反して北朝鮮に連れ去られ、帰ることができなかった人たちとその家族の無念さを思うと、いたたまれない。
 国家が隣国の国民をゆえなく誘拐する行為は、テロ行為に等しく、とても許すことは出来ない。多くの被害者が亡くなったことに、家族の一人は「地獄のような残酷な審判を受けた」と語った。想像を絶する耐え難さに違いない。
 ●拉致の徹底解明を
 一方で、北朝鮮が「拉致の事実はない」と言っていたこれまでの態度を百八十度変えたことは、大きな変化が起こりつつあることを印象づけた。この機に、政府は事実関係の徹底解明とともに、北朝鮮の変化を確固たるものにするよう促すべきだ。
 日朝両国の首脳は今回の会談で、国交正常化に向けた交渉の再開に合意した。小泉首相が言うように、日朝関係の改善は、日本だけでなく北東アジア地域の平和と安定を実現するために不可欠である。
 拉致問題が極めて重大なことは言うまでもないが、それを理由に対北朝鮮制裁などで、正常化交渉の窓口を閉ざすべきではない。そうした問題を二度と起こさせないためにも交渉に入るという首相の決断を、植民地支配に対する謝罪表明とともに支持する。
 小泉首相との会談で金総書記は自ら「拉致」という言葉を使った。特殊機関の犯罪であることを認め、責任者を処罰したとも述べた。しかし、これでは不十分だ。
 個々の被害者はいつ、いかなる手段で拉致されたのか。北朝鮮に連れてこられた後の生活はどうだったのか、なぜ死亡したのかなどは、明らかにされていない。
 公表された拉致被害者の中には、日本政府が調査を依頼していない人も含まれていた。まだ他にも拉致被害者がいるとも考えられる。北朝鮮には、さらに拉致の全容を明らかにするよう迫るべきである。
 生存が確認された5人については、早急に家族の面会を実現すべきだ。本人が希望するなら帰国は当然だ。
 金総書記のいう「特殊機関」の説明もなされていない。いかなる組織で、どういう活動をしていたのか。処分の対象者やその内容も不明だ。
 また、金総書記は「特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走って拉致をした」と述べ、組織的な犯罪を否定する説明をした。しかし、この時期、北朝鮮はラングーンでの韓国要人の爆弾テロ事件など、いくつかのテロ行為に関与したと言われる。一部の跳ね上がり分子による犯行という説明をそのまま信じることは出来ない。
 拉致問題とともに日本にとって重要なことは、北朝鮮と普通の会話ができる関係をつくることである。
 隣国が、いかなる政治意思を持っているのか、どういう経済状態にあるのか、外交や安全保障政策で何をしようとしているのかが全くわからないという現状は、不自然であり不気味でさえある。
 そればかりではない。北朝鮮は国際社会のルールをきちんと守らず核兵器を開発している疑いがもたれている。日本上空を通過するミサイル実験もした。目的のはっきりしない不審船がしばしば現れた。
 拉致問題で明らかなように、北朝鮮は日本国民にとって危険な国でさえある。一日も早く、このような不安定で危なっかしい関係を解消しなくてはならない。
 ●地域の安定のために
 その意味で、公表された「日朝平壌宣言」には一定の前進が見られる。核兵器開発疑惑での国際的枠組みの順守や、ミサイル開発問題での発射実験の無期限の停止などは、日本の主張をはねつけていた従来の対応からは大きく変わった。
 補償問題について、経済協力方式での合意は今後の正常化交渉の土台となりうるものだ。政府はこの好機を生かして、北朝鮮とまともな関係をつくるべきだ。
 このことは、日本だけの問題ではない。北東アジア地域、さらには世界全体の緊張緩和と安定化にもつながろう。
 もとより、一度の首脳会談ですべてが解決するわけではない。残念ながら、北朝鮮は国際社会との約束事をきちんと守り、実行した実績が少ない。金総書記の韓国訪問などを約束した2000年の南北首脳会談などを思い起こせば、合意文書ができたからと言って、安心はできない。
 国際社会での約束事を守らないことが、いかなる結果を生むかは、北朝鮮自身がよくわかっているはずである。首脳会談で、いくらほほ笑んでみせても、約束をほごにすれば、様々な外交的困難を倍加させ、国内の一層の混乱や国民の疲弊を招くことは、歴史が証明している。
 日本政府も核疑惑やミサイル問題などでの合意内容を守りさらに進展させるための努力をすべきだ。今後も、米国や韓国と協調することは欠かせない。さらには、北朝鮮と関係の深い中国やロシアとも話し合っていくことが重要である。
 正常化交渉の再開は、スタートでしかない。拉致問題を含め国交が結ばれるまでに克服しなければならない課題は気が遠くなるほど膨大である。しかし、日朝の対話を継続することが、北朝鮮の経済体制などの改革を後押しする可能性は大きい。
 やっと開き始めた扉を、今度こそ閉めさせないようにしなければならない。


読売新聞
9月18日付・読売社説
 [日朝首脳会談]「『北』は平壌宣言を誠実に守るか」
 やっと認めた国家テロの前には、国交正常化交渉再開の合意も、色あせて見える。
 日本人拉致(らち)事件で、安否が気遣われていた被害者のうち、すでに八人が死亡していた。
 北朝鮮の金正日総書記は、小泉首相との首脳会談で、初めて拉致事件の存在を認めた。
 北朝鮮の国家的犯罪であり、北朝鮮がテロ国家そのものであったことを認めたに等しい。
 両首脳は、平壌宣言で十月に正常化交渉を再開することをうたったが、拉致事件の事実関係や責任の所在など、全容解明が大前提である。
 総書記は、拉致事件について謝罪したうえで、特殊機関の一部の犯行だったとし、すでに責任者を処罰した、などと説明した。
 しかし、本当に特殊機関の一部だけの犯行によるものなのか。なぜ、八人もの人が亡くなったのか。
 総書記の説明だけでは到底、納得できるものではない。
 【「拉致」は未解決だ】
 北朝鮮がこれまで、存在しないとしてきた拉致事件を認めたことは、北朝鮮の変化を示す兆候とは言える。だからといって、これで問題が決着したというわけではない。
 事実関係の解明以外にも、様々な課題がある。生存者の家族との面会について時期、手順をはっきりさせることや、遺体の返還、その補償といった問題だ。
 少なくとも、こうした問題について解決を図ることが、交渉再開の最低限の条件である。
 つい最近まで、拉致事件を軽視してきた日本政府や政治家も、その責任は逃れられない。
 特に、外務省には、国交正常化問題に比べ、拉致事件は小さな問題だ、といった空気が強かった。
 コメ支援で、北朝鮮の"歓心"を買おうとした議員外交も、結果的に拉致事件の解決を遅らせた。
 核開発疑惑に関して、総書記は包括的解決のため、関連するすべての国際的合意を順守することを確約した。米朝の枠組み合意に基づく、国際原子力機関(IAEA)の査察なども当然、含まれる。
 【核査察の協議が不可欠】
 ミサイル問題でも、二〇〇三年以降も発射凍結を続ける意向を表明した。その言葉通りならば、一歩前進である。
 核・ミサイル問題は日本のみならず、北東アジア、国際社会全体の平和と安全にとって、深刻かつ重大な課題だ。
 北朝鮮は核開発疑惑にこたえて、査察受け入れに関するIAEAとの協議に速やかに入らなければならない。
 北朝鮮は、日本全土をほぼ射程に入れるノドン一号を配備し、四年前には、テポドン一号が日本上空を飛び越えた。
 日本の安全保障にとってゆるがせにはできない。発射凍結の期間延長のみならず、その開発と配備・輸出の中止を求めていくべきである。
 【日本の主張は通ったが】
 北朝鮮が求める「過去の清算」については、首相が「反省とおわび」の意を伝えた。
北朝鮮がこれまで固執してきた「補償」については、いわゆる経済協力方式を軸に検討することで一致した。
 経済協力方式は、日韓国交正常化交渉で、日韓両国が財産・請求権を放棄し、日本の計五億ドルの無償、有償援助で合意した経緯を踏まえたものだ。日本の主張が通ったと言えよう。
 問題は、北朝鮮が合意をどこまで誠実に実行していくか、にある。
 これまでの国交正常化交渉では、北朝鮮が一方的に交渉を中断することがしばしばあった。
 南北間においても、総書記は、一昨年の金大中・韓国大統領との首脳会談の合意事項である韓国訪問を、今もって履行していない。
 北朝鮮がここまで柔軟な姿勢を取るようになった背景には、ブッシュ米政権の強硬な姿勢がある。
 昨年九月の米同時テロ以降、大量破壊兵器のテロリストへの拡散防止の観点からブッシュ大統領はイラクと同様、北朝鮮を「悪の枢軸」と批判し、イラクに対し、武力行使をも辞さない方針を明確にしている。
 食糧難など、深刻な経済上の問題もますます厳しさを増している。そうした事情も大きな理由だろう。
 北朝鮮の動向については、これからも見極めるべき点が多々ある。そのことを忘れてはならない。
 【焦ってはならない】
 「近くて遠い国に終止符を」と、総書記は語った。北朝鮮は、国際社会のルールにのっとって、責任ある国家としての行動を具体的な形で示すべきである。
 日本は原則的立場を堅持して、安易な妥協をしないことが重要だ。苦しい立場にあるのは北朝鮮であって、日本ではない。時間は十分にある。
 北朝鮮との交渉には、米国や韓国とも役割分担をしながら、進めていくことも不可欠である。日米韓三か国の連携強化を通じ北朝鮮を国際社会との協調関係へ転化させていくことが大事だ。
 日朝関係が突出する形で先行するといったような展開があってはならない。
 日本政府は焦らず、じっくりと構えて交渉にあたるべきである。


産経新聞
主張 酷い、あまりにも酷い
【日朝首脳会談】
「正常化交渉」前に真相究明を
 あまりにも酷(むご)い結末に日本が慟哭(どうこく)した日として、平成十四年九月十七日は記憶されるであろう。
 小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日総書記の首脳会談で、拉致被害者五人の生存と八人の死亡が確認された。金総書記が初めて拉致の事実を認め、謝罪したとはいえ、被害者の無事を祈っていた肉親には、残酷きわまりない報であった。日本国民は北朝鮮の国家的犯罪に対し、改めて怒りと悲しみを共有し、さらに真相究明を求めていかなければならない。

≪死亡の経緯を詳しく≫
 金総書記が明らかにしたのは、日本政府が北朝鮮工作員らに拉致されたと認定した八件十一人のうち、蓮池薫さんら四人が生きているものの、横田めぐみさんら六人はすでに死亡し、久米裕さんは入国が確認できないという結果だった。十一人以外で、元日大生ら男性二人の死亡と一人の生存も明らかにされた。
 金総書記は謝罪発言の中で、「わが国の特殊機関の中に妄動主義や英雄主義があり、日本語習得と韓国への侵入のためだった」と拉致の目的を述べ、責任者を処罰したとしている。独裁者が自国の非を認めたことは一定の前進だろうが、この程度では到底、納得できるものではない。
 首脳会談では、この回答を拉致問題の進展とみて、国交正常化交渉を十月に再開することで合意したが、その前に、生存が確認された五人の帰国実現はもちろんのこと、金総書記自身が拉致に関する自らの責任も含め、八人が死亡した経緯などを詳しく説明する必要がある。殺害や処刑がなかったと言い切れるのか。
金総書記の回答を引き出した小泉首相の決断と努力は、これまでの日本の政治家にはなかった。拉致事件の進展なくして国交正常化交渉に入らないという首相の不退転の決意と毅然とした外交姿勢が、かたくなだった北朝鮮を動かした。
 これまでの日朝交渉で、北朝鮮は拉致の存在すら認めず、被害者の調査を求めただけで退席したり、「行方不明者の調査」を一方的に打ち切ったりして、日本側を愚弄し続けた。日本はコメ支援だけをさせられ、拉致事件は何も進展しなかった。日本政府が早くから、毅然とした外交を展開しておれば、と悔やまれる。「国益」を軽んじ、被害者を顧みなかった一部政治家と外務省の不見識は、厳しく責められねばならない。
 今後の国交正常化交渉で、拉致事件以外の日朝間の懸案事項は大きく分けて、不審船や核査察、ミサイル発射凍結など安全保障上の問題と、日本が朝鮮半島を統治した時代の「過去の清算」問題の二つがある。

≪安全保障問題も急務≫
 安全保障上の問題は、直接、日本国民の安全にかかわる問題であり、日米同盟とも絡む。とりわけ、不審船が北朝鮮の工作船であることが明らかになったいま、北朝鮮の謝罪を求める必要がある。
 一方、過去の清算について、北朝鮮は日本が朝鮮半島を統治した時代の謝罪と補償を求めているが、韓国との交渉も、有償・無償合わせて五億ドルの経済協力を約束した基本条約締結まで十四年かかっている。北朝鮮とも、歴史認識の問題も含めて、拙速は厳に慎む必要がある。
 今回の首脳会談が実現した背景には、北朝鮮をイラク、イランと並ぶ「悪の枢軸」としたブッシュ米大統領の今年一月の一般教書演説があった。日本政府は一年前から水面下で首脳会談の準備を進めていたことを強調するが、それだけで北朝鮮が歩み寄ってきたとは思えない。
 多くの国民は、ここまで非人間的な国家との国交正常化を前提としていたような日朝平壌宣言に納得しがたい思いを抱き、国交正常化交渉の再開そのものも手放しでは喜べないのではないだろうか。とりわけ小泉首相の記者会見と平壌宣言の間には、表現に大きな落差がある。この点も注視する必要があるだろう。


毎日新聞
2002年09月18日
日朝首脳会談 許しがたい残酷な国家テロだ
 拉致事件の被害者は、8人も亡くなっていた。あまりにむごい。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の特殊機関の行為だった。許せない国家テロである。
 小泉純一郎首相が北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記と17日に会談し、拉致された日本人のうち8人の死亡と、5人の生存を確認した。金総書記は謝罪し二度と起こさないと誓ったが、この衝撃と怒りは、容易に乗り越えられない。
8人は自由を奪われたまま、異境の地で命を落とした。
 新潟から1977年に拉致された横田めぐみさんは、音楽が好きな13歳の中学生だった。ある日突然、特殊機関の工作員に日本から連れ出された。結婚したのだろうか、娘さんが平壌にいるという。有本恵子さんは、83年に欧州で確認されたのを最後に姿を消した。その後、生存を知らせる手紙を届けていた。
 家族のもとへ、どんなにか帰りたかっただろう。
 生存していた2組のカップルは、78年に拉致されてから、実に24年間も北朝鮮に留め置かれてきた。
当時はいずれも20代前半で、北朝鮮は彼らの青春を奪った。
 金総書記は小泉首相に「誠に忌まわしいことだ。70年代、80年代初めまで、特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走った。遺憾であり、率直におわびしたい」と釈明した。日本語の学習や韓国に潜入するためだったという。
 しかし、こんな一方的説明では納得できない。8人が亡くなった理由を、北朝鮮はすべて「病気と災害だった」という。本当か。

●総書記が知らないとは
 家族の中には、事件が表面化し、口封じに殺されたのではないかとの疑いもある。真相は、日朝が合同で徹底的に究明し、明らかにする責任がある。
 連れ去った当時の状況、拉致の目的、拉致された人がどんな暮らしをしていたか、なぜ亡くなったか。
それらを、家族と日本国民に報告しなければならない。処罰もどう行ったか明らかにすべきだ。
 テロ行為について、金総書記は、自ら知らなかったという立場を示した。だが、北朝鮮は、父親の故金日成(キムイルソン)主席の下で一党独裁体制を敷いてきた。後継者だった総書記があずかり知らないという説明を、誰が信じようか。

 会談で「おわびしたい」と述べたが、平壌宣言では「日朝の不正常な関係にある中で生じた遺憾な問題」という表現で、片付けてしまった。謝罪の言葉は、今後の公式文書に明記すべきだ。
 報告を聞いた家族は「もっと早く、政府が救出に取り組んでいてくれたら」と悔やんだ。最初の事件から、政府が北朝鮮による拉致と認定した97年まで、20年もかかった。拉致事件を疑問視する政党すらあった。マスコミの報道も、早いとは言えなかった。
 正常化交渉は再開で合意した。拉致された家族は強く反対している。国家テロをしてきた国に援助するような交渉など、とても受け入れられないだろう。しかし、これまで、拉致の指摘に「共和国に対する侮辱だ」と頑強に否定してきた北朝鮮が、全面的に認めたのは、大きな変化である。工作船についても「特殊部隊の訓練だ」として、その活動を認め、今後は行わないと約束した。

 安全保障に関しては、北朝鮮が来年まで凍結しているミサイルの発射実験を、さらに延長する意向を表明した。
 過去の清算は、首相が、日韓併合以来36年間にわたった日本による植民地支配について「痛切な反省と心からのおわび」を表明し、金銭的な償いは経済協力方式で行うことで合意した。

 小泉首相が首脳会談によって、重い扉をこじ開けた努力は、率直に認めたい。首相は交渉再開の理由を「交渉なくして改善は図れない。今後こうした問題を起こさせないためだ」と力説した。交渉に入っても、拉致された人々の早期の帰国や、安全保障上の諸問題が解決しなければ、国交は結ばないという方針を明確にしている。

●重い扉開けた小泉訪朝
 首脳会談で扉が初めて開いたのだから、正常化交渉の再開は、現実的判断なのではないか。
 そこで、交渉に当たって、守るべき原則を確認したい。
 北朝鮮が本当に「謀略国家」を捨てたかどうかだ。拉致事件は20年以上前の行為としているが、現在も活動している工作船は、テロ行為そのものではないのか。覚せい剤や偽ドルが北朝鮮からも持ち込まれているという日本の不信感は、容易に払しょくできない。
 実際金総書記は、拉致事件を「大きくない問題」ととらえ、国内向けには「行方不明者」のことだと説明している。

 日本からの経済協力が、軍事増強に使われないための、明確な保障措置が必要である。ミサイルは、日本と国交を結んでも、なお開発と配備を進めるのか。核開発疑惑は、米国など国際社会全体が懸念している。無条件の査察を早期に受け入れる必要がある。
 食糧危機で多くの子供が飢え死にし、中国へ脱出する難民がいる一方で、なぜ100万人もの兵力を抱えるのか。人権抑圧も指摘される。日本の支援が、「金王朝」といわれる独裁体制の延命や強化につながるとして、米国などには反対する声もある。
 北朝鮮は、国際的に信頼される国に変わる必要がある。
 30年前、日中の国交正常化に当たって、日本国内が沸き立った。今回は冷め切っている。仮に政府間で国交締結に合意しても、国会すなわち国民が納得しなければ、正常化協定は承認されない。
 北朝鮮が隠し続けてきた衝撃的な事実を、首相はあばいた。だが、あまりに想像を絶している。北朝鮮は、この日の約束を具体的に果たすことだ。すべてはこれからである。




翌々日の社説比較 2002.09.19
重いものと軽いものはどちらが早く落ちるか?
重いほうが早く落ちるとう言う学者がいました。
同じだと言う学者がいました。
昔、ガリレオはピサの斜塔で重い砲弾と、鉄砲の弾を落として同時に地面に付くことを実験で示しました。
そのとき、一人の学者が言いました。
『それでも私は本に書いてあることを信じる』
北朝鮮は日本からたくさんの人を誘拐したことを認めました。
そしてその多くが既に死亡しています。
常識的に考えれば、北朝鮮で殺されたのではないでしょうか?
でも、今の日本では常識的に考えない新聞もあるのです。
ガリレオおじさんに教えを請わねばなりません。

昨日に引き続き、有力新聞が偏向していないか調べました。
偏向しているか否かは皆さんが判断してください。

朝日新聞読売新聞産経新聞毎日新聞
期待こめる国際社会

えっ、何を期待するんですか?
もっと北朝鮮の悪事が暴かれることをですか?
"すり寄り外交"を繰り返すな

そうです!北シンパがいけないのです。昨日まで拉致がないと言っていた社民党はどうなんです?
酷い結末の教訓を生かせ

不法侵入を防止するようにコースとガードを強化してください。
将来に禍根残さぬ姿勢貫け

日本政府は自尊心ある行動を取るべき!
北朝鮮の核開発疑惑やテポドン発射などでむしろ緊張が高まった面もある。

感もある?
論説委員の顔が見たい!
事実誤認だ!
軍事独裁国家の本質は依然、変わっていない。

民主主義とは縁のない危険な国です。
ミサイル問題は、発射実験凍結の延長をうたったが、約束を担保するものがない。

国際査察を行いたい!
日本人拉致(らち)事件の悲惨な結末は、危険な隣国の存在を改めて浮き彫りにした。 「北の正体」が白日のもとにさらされた。もはや幻想は完璧に破壊された。将来に禍根を残さぬ、慎重かつ毅然(きぜん)とした姿勢を貫くことが不可欠だ。
北朝鮮はかつて拉致事件を起こし、いまも不審船を日本近海に送り込むなど危険な行動をみせている。

以前していたとはなんです?現にしているじゃありませんか?
不審船という言葉はもう公式に使いません。政府は北朝鮮工作船と呼ぶことにしました。貴社はまだ知らないのですか?
食糧を北朝鮮に供与している。結果として北朝鮮に手玉に取られただけだ。 北朝鮮の放送は金正日総書記が拉致の事実を認め、謝罪したことには一切触れていない。国内向けメディアは「拉致」や「謝罪」という言葉を一切使わず、国家機関の犯罪行為を国民に伝えていない。
この対話を慎重に育てて地域の安定に貢献すべきではないか。安易に妥協することなく、厳しい姿勢で北朝鮮に迫るべきだ。 日本政府は引き続き、拉致事件の解決を北朝鮮に強く迫っていかなければならない。北朝鮮との国交正常化交渉に先立って取り組むべきことがある。
主権の侵害を排除し、国民の生命を守るのが国家の責務である。国家意識の希薄な日本人にも、「国家」や「主権」を意識せざるを得ない平壌宣言は、日本の植民地支配に謝罪の表現を用いながら、拉致事件を「遺憾な問題」として謝罪の文言を盛り込めなかった。







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朝日新聞
平壌宣言――期待こめる国際社会
うまくいけば、北東アジアの安全保障の環境を変える起爆剤になるかもしれない。
小泉純一郎首相と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記が署名した日朝平壌宣言を、国際社会はそんな目で見ているようである。
朝鮮半島の緊張緩和は冷戦後もあまり進んでいない。北朝鮮の核開発疑惑やテポドン発射などでむしろ緊張が高まった面もある。3カ月前に黄海で起きた南北の砲撃戦も危険な状態を印象づけた。
 あの狭い地域に南北合わせて180万人もの軍隊がひしめき、にらみ合いを続けているのはどうみても尋常ではない。平壌宣言に基づく対話で、そうした状態を少しでも改善できれば、日本に対するアジア諸国の評価も変わってくるに違いない。
平壌宣言は、日朝双方が北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、協力していくことを確認した。核やミサイル問題を含む安全保障に関する関係諸国間の対話促進の必要性も確認し、日朝安全保障協議の場をつくることにも合意した。
北東アジアの安全保障をめぐる多国間対話構想は、小渕恵三元首相や韓国の金大中大統領が提唱したことがある。南北朝鮮と日米に加えて中ロも加わるという構想だった。しかし、日朝関係に進展がなかったうえ、北朝鮮が地域の多国間安保対話に消極的だったため実現しなかった。
北朝鮮はこれまで瀬戸際外交で揺さぶりをかけ、譲歩を迫る駆け引きを軸としてきた。安保問題の話し合いは米国が相手だという態度だったが、今回その姿勢に少しは変化が出てきたのかもしれない。
韓国や中ロなど周辺国だけでなく、米国や欧州連合(EU)も平壌宣言を評価したのは、それだけ北朝鮮の存在が危なっかしいからではある。だが、北東アジアで育たなかった地域安保の枠組みが生まれるのでは、との期待の表れでもあるだろう。
北朝鮮はかつて拉致事件を起こし、いまも不審船を日本近海に送り込むなど危険な行動をみせている。それだけに一層、日朝安保協議は意味がある。二度と起こさないという金総書記の言葉を、対話を通じてきちんと裏付けさせねばならない。
平壌宣言ができたとはいえ、日朝の安保対話がどう発展するか楽観はできない。韓国の金大中大統領と金総書記の首脳会談の後も、両国軍の対話は進まなかった。米朝対話の先行きも不透明である。
しかし、これまでのような対外姿勢が通用しないことを北朝鮮も自覚し始めたのではないか。南北鉄道連結のために必要だった南北軍事協議が1年半ぶりに開かれ、着工式にこぎつけたのも、北朝鮮の軍を含めた変化の表れといえるだろう。
中ロや韓国に続いて日本が北朝鮮との首脳外交に乗り出し、対話を始めた歴史的意味は大きい。この対話を慎重に育てて地域の安定に貢献すべきではないか。

9月19日付・読売社説
[拉致事件解明]「"すり寄り外交"を繰り返すな」
日本人拉致(らち)事件の悲惨な結末は、危険な隣国の存在を改めて浮き彫りにした。
日本政府は、日朝国交正常化交渉の前に、北朝鮮に対し、拉致事件の被害者が死亡した詳しい経緯の説明や、生存者の帰国実現、補償などを求める方針という。
国交正常化交渉を本格的に進めるのは北朝鮮が日本にとって脅威ではないことを確認してからでも遅くない。拉致事件の全容解明要求に対する北朝鮮の対応がそれを見極める材料になる。
安易に妥協することなく、厳しい姿勢で北朝鮮に迫るべきだ。
被害者の家族からは「殺されたとしたら、政府の怠慢の結果だ。不信感が募った」との怒りの声があがっている。首相官邸や外務省には、政府の対応を批判する電話やメールが殺到した。
第一に責められるべきは、もちろん、北朝鮮である。だが、これまでの日本の対応に問題が多かったのも事実だ。
拉致事件は一九七〇年代後半から八〇年代前半にかけて発生し、八八年には当時の梶山静六国家公安委員長が「北朝鮮による拉致の疑いが濃厚」と国会で答弁している。だが、日本がこの問題を北朝鮮に突きつけたのは九七年のことだ。
北朝鮮は、これに対して、「拉致事件など存在しない」との態度を変えなかった。その間、日本は、九五年から六回にわたって計百十八万トンの食糧を北朝鮮に供与している。結果として北朝鮮に手玉に取られただけだ。
北朝鮮に振り回された一因は、日朝外交を主導した政党の姿勢にあった。自民党の有力議員や社会党などは、拉致事件より国交正常化交渉を優先させた。拉致された被害者が第三国で発見されたことにして解決をめざす動きもあった。
共産党も「政府は確たる証拠を示していない」などとし、拉致事件を国交交渉の前提とすべきではないと主張した。
外務省の中でも「拉致にこだわって、国交正常化が進まないのは、国益に反する」といった声が少なくなかった。
主権の侵害を排除し、国民の生命を守るのが国家の責務である。その原点をおろそかにした"すり寄り外交"が、結果的に拉致事件の解決を遅らせ、悲惨な結末につながった。
日朝交渉の再開に当たり、日本外交が改めなければならないのは、まさにこの体質である。功を焦って場当たり的に対応する愚を、繰り返してはならない。
北朝鮮に変化の兆しが見えるにしても軍事独裁国家の本質は依然、変わっていない。日本としては、北朝鮮の出方を見定めることが先決である。

産経新聞
主張 酷い結末の教訓を生かせ
酷(むご)い事実を知らされ衝撃を受けている日本国民にとって、かりに得るものがあったとすれば、「北の正体」が白日のもとにさらされたことだろう。もはや幻想は完璧に破壊されたはずである。
第二の収穫は、国家意識の希薄な日本人にも、「国家」や「主権」を意識せざるを得ない状況が生まれたことであろう。
こうした教訓に立って、日本政府は「国家」がなすべきことを冷徹に行動に移していく必要がある。
まず、問題とすべきは、日朝平壌宣言に拉致のくだりが一言もなかった点の解明と説明である。また、北朝鮮の朝鮮中央放送と平壌放送は首脳会談が行われたことは報じたものの、金正日総書記が拉致の事実を認め、謝罪したことには一切触れていない。 これでは、北朝鮮が本当に約束を守るのかどうか、疑わしい。日本政府は引き続き、拉致事件の解決を北朝鮮に強く迫っていかなければならない。
生存が確認された蓮池薫さんら五人の帰国の速やかな実行と、死亡した八人がいつ、どこで、どうして死亡したかについての再調査を、北朝鮮に強く求めていくことが重要だろう。
生存者も死亡者も含め、日本人がどのようにして拉致され、北朝鮮でどんな生活を送り、どんな仕事をさせられていたかなどについても、詳細な調査を求めたい。金総書記は「特殊機関の一部で妄動、英雄主義があり、日本語習得と南(韓国)への侵入のため」としている。拉致が国家的犯罪だったことを示す発言であり、北朝鮮に説明責任の履行を迫るべきである。
金総書記は「責任ある人々が処罰された」とも言っている。具体的に、どんな特殊機関の誰が処罰されたかも、明らかにしてもらいたい。金総書記自身は拉致事件に無関係であるかのようだが、独裁国家でそんなことはあり得ない。金総書記の責任も含めて明らかにすべきである。
今回、北朝鮮は日本政府が求めていない拉致被害者の安否情報まで伝えた。日本政府の毅然とした外交努力によって、北朝鮮から拉致被害者の情報をさらに引き出すことも可能だ。
そのうえで、国交正常化交渉の場において、拉致事件に対する補償を北朝鮮に求めていく必要がある。

毎日新聞
日朝交渉 将来に禍根残さぬ姿勢貫け
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致で、8人が死亡し、5人が長く留め置かれてきた事実は、国民に強い衝撃と癒やし難い傷を残した。
北朝鮮との国交正常化交渉に先立って取り組むべきことがある。
真っ先に、生きている5人の帰国だ。78年に拉致された福井県の男性らは、「親に会いたい」と希望を伝えた。北朝鮮には、即座に実現させる責任がある。
命を亡くした8人の家族には、北朝鮮がきちんと説明すべきだ。他国に踏み入って連行し、ようやく応じた調査結果が、一片の安否リストだ。娘や息子はいつ、どこで、なぜ死んだか、それすらも判然としない。
家族は生前の様子も知りたがっている。墓参りをし遺骨を持ち帰りたいだろう。
北朝鮮は、日本政府が拉致と認定していなかった3人の消息も伝えた。認定されないが拉致された疑いのある失跡者は数十人にのぼる。この際、政府はリストを示し、調査を求める必要がある。
金正日(キムジョンイル)総書記の言動から、北朝鮮が大きく転換し始めたのだという見方がある。それは、北朝鮮が過去を本当に清算するかどうかにかかる。会談当夜の国内向けメディアは「拉致」や「謝罪」という言葉を一切使わず、国家機関の犯罪行為を国民に伝えていない。これでは、信頼される国家だと国際社会は認めないだろう。
総書記は、拉致した関係者を罰したと述べた。しかし、死亡した大阪市の店員の拉致を供述している元工作員は、今月上旬、「祖国の英雄」として、北朝鮮の行事に参加した。日本は逮捕状を取り国際手配中だ。北朝鮮が処罰内容を具体的に明らかにしなければ実証されない。大韓航空機爆破も、女性工作員を教育した埼玉県の女性(死亡)の拉致を認めたことで、事件との関係も認めたことになる。真相を公表すべきである。
拉致事件にかかわったよど号グループのメンバーにも、真実を語る責任がある。
平壌宣言は、日本の植民地支配に謝罪の表現を用いながら、拉致事件を「遺憾な問題」として謝罪の文言を盛り込めなかった。小泉純一郎首相と外務省の失態という批判がある。日朝間の文書に書かれなければ国民は納得しない。
首相は国交正常化の必要性を、日朝だけでなく、地域の安定に資するからだと強調してきた。宣言で読む限り、不安が残る。
工作船を念頭に置いた「適切な措置」とは、これらの船を一切航行させないという意味なのか。
ミサイル問題は、発射実験凍結の延長をうたったが、約束を担保するものがない。また、実験凍結だけでは不十分だ。米国は大量破壊兵器不拡散の観点から、輸出を問題視している。それを抑える措置もない。核問題は「国際的合意の順守」で合意した。しかし、北朝鮮には、国際的な約束をほごにしてきた過去がある。
懸念は多い。首相は「正常化交渉の中で」と約束した。将来に禍根を残さぬ、慎重かつ毅然(きぜん)とした姿勢を貫くことが不可欠だ。