良心的軍事拒否国家 2002.11.04
言葉というものは口当たりが良くて、なんか響きが良いとその意味するものもすてきなものと信じ込んでしまいます。

戦後民主主義 なんか素敵でしょう?
言葉だけ聴きますと『戦後民主主義』とは戦争中は自由もなく、貧しく、食べることもままならなかった(かどうか知りませんが?)
ということを前提にして、戦後 もう戦争ではない! 民主主義だ 封建的なことは過ぎ去ったもんね! これからは民主主義だもんね〜 とでも受け取られるでしょう。
本当にそうなんでしょうか?
現実の戦後民主主義とはどうなんでしょうか?

戦後民主主義とは単に旧ソ連や中国のお先棒をかついで、日本に共産主義を広めよう、それにじゃまな保守主義、アメリカに対して反対運動をすることでした。

『私の誇りは戦後民主主義者であったことだ』と語った有名な作家がいましたが、彼は社会主義の教宣や反日、反米活動に誇りを感じているのでしょうか?

それは  ではないだろうか 


それはさておき、本日は『良心的軍事拒否国家』について、
始めてこの言葉を聞かれた方もいるのではないでしょうか?
実を言って余り有名でもない作家の造語ですから、こんな言葉を知らなくとも恥でも何でもありません。

某作家氏によるとその定義は

    「良心的軍事拒否国家」とは
  • 日本国憲法の「平和主義」の原点に立ち、紛争の解決に武力を用いず、「非暴力」に徹する理念
  • 平和交渉の仲介、難民救済、途上国の債務の軽減など、国家としての「市民的奉仕活動」の実践
なんだそうであります。
そして日本はそれに向かって進むべきだそうです。
いやあ、これまた『戦後民主主義』と同じく魅力的なニュアンスでございます。わたしもマタタビに飛びつく猫のようにコロッとなびいちゃいます。 
マザーテレサ、ガンジーあるいはシュバイッアーのような方がそう語るならば私は行動を共にするか否かは別として、その発言を尊重し静聴することを誓う。

しかし、この御仁は北朝鮮が『理想の国』であり、『これから韓国との差がものすごく出てくるよ』と語っている。

  それを踏まえるととてもまじめに聞くわけにはいきませんよね。

北朝鮮は世界中で一番の軍事国家である。
今現在の北朝鮮の軍人の割合は太平洋戦争まっさかりの日本の軍人の比率よりわずかに低い程度なのだそうです。
それならば彼の目指している理想国家は『良心的軍事拒否国家』ではなく『重軍事国家』ではないのだろうか?


国 名
三軍総数 一人10万人
日本 
韓国 
北朝鮮 
中国 
台湾 
左の絵は陸海空の三軍の兵士総数です。一人は10万人をあらわしています。
平和主義者が称える国ほど軍人が多いことにお気づきでしょうか?

理想の国に近づくためには日本はもっと、もっと自衛隊を補強しなければならないようです。
北朝鮮では100人中5人が軍人です。
これは日本が第二次大戦のときの軍人の割合をわずかに下回るという驚くべき数字です。


このような国が地上の楽園でしょうか?



また彼はコスタリカを『良心的軍事拒否国家』の具体例として取り上げて論を進めている。
コスタリカとは
中南米に所在する面積51,100km2、人口346万人(97年)の小さな国である。
そして兵力は国家警備隊及び地方警備隊が約8,000人である。軍事予算は(約78百万ドル)つまり、100億円というところか?
コスタリカの国旗


面積・人口とも北海道の6割というところだ。(北海道は83000km2、人口570万人)
コスタリカの人口が日本と同じと仮定するとその軍事予算は2700百万ドル、兵力24万人ということになる。これはもはや弱小軍隊ではない。

日本はどうかというと防衛予算45,600百万ドルで自衛隊員24万人である。
兵員数ではまったく同一だが、軍事予算が16倍も!なんて言っちゃいけない。

コスタリカの軍事予算にそろばんを入れてみましょう。コスタリカの一人当たり国民所得は3,113ドル(99年中銀)、単純にこれに8000人掛けると25百万ドルとなる。その差額が装備だとすると一人当たり、武器弾薬は6600ドルにしかならない。車の燃料や食料・光熱費を考えただけでどこかおかしいことに気付きませんか?きっと給与を別にするとか、非常に安いかでないと成り立たないことは明白です。
つまり実質軍事予算はもっと多いはずです。
仮にこの数字が正しいとしても、防衛予算のGNP比は0.7%であり、日本と大差ない。(日本は1%、中国は5.3%、北朝鮮は14.0%)
そう考えるとコスタリカの軍事費はまったく日本と同じになる。

日本の防衛予算の半分は人件・糧食費である。(平成13年度)
  人件・糧食費(22,269億円)
  歳出化経費 (17,689億円)
  一般物件費 ( 9,431億円)
そして兵器は少量生産のために戦車でもライフルでも他国の10倍以上の値段なのだ。

コスタリカ共和国憲法の解釈
戦車 つまりコスタリカは単に国が小さいから保有している軍隊が少ないに過ぎない。日本と同程度の兵力を持っているのだ。
そしてまたかの国は国連・米州機構(OAS)に所属しておりしっかりとアメリカの軍事力を活用しているのだ。
要するにこの作家があげたコスタリカは軍事大国ではないが、普通程度の軍事力を備えているのだ。決して『良心的軍事拒否国家』ではない。
いえ、私はコスタリカが好戦的だとか言っているのではありません。コスタリカは普通の国ですよということを言いたい。
コスタリカは『良心的軍事拒否国家』だなんて口当たりのいい言葉にだまされてはいけません。 
木下様からお便りを頂きました。(11.01.28)
コスタリカ幻滅
コスタリカ 軍隊 でググると素晴らしい平和国家コスタリカに幻想を抱く左翼さんたちのサイトが出るわ出るわ・・・。しかしコスタリカとはそんなに良い国なのかしら? という疑問に対する答えになるかもしれない情報が一つ見つかりました。
1995年から2005年までの「民主主義の質」平均スコア

ベルギーが上位にあったりイギリスがドベに近かったりと不可思議な点もありますが(ベルギーは民族の対立が激しい。イギリスは立憲君主制の長い伝統を持つ。三権分立で足をひっぱったのか?)、コスタリカは最下位です。左翼さんたちは民主主義の劣等生をありがたがっているのでしょうかね。

木下様 毎度ありがとうございます。
暴力は愚か者が最後に頼る手段とかいう言い回しがありましたが、コスタリカは非武装論者の最後に頼る手段かもしれません。
誰だって戦争は好きじゃありません。
でも私は外国に蹂躙(じゅうりん)されるのも嫌いなのです。
「中国の支配下になってもいいじゃないか」なんて語る人もいるのですが、日本がチベットのようになってもいいのかというのでしょうか?
そんなことを語る人はよほどノーテンキなのでしょうね。
話は違いますが、どなたかが語っていましたが、日本の幸福度は世界で90位なんだそうです。そして上位にはアイスランドとかアイルランドがあるそうです。イギリスもアメリカも日本より上位なのだそうです。もちろん韓国も日本より上です。
 アイスランド・・ああ、国家破産した国ですね
 アイルランド・・ああ、国家破産しそうですね
 イギリス・・・・ポンド値下がりが収まりそうないですね
 アメリカ・・・・バブル崩壊で大変でしょうねえ
 韓国ですか・・・ノーコメント 


団塊書生様からお便りを頂きました。(11.01.28)
小学校国語教科書の件
初めて貴ホームページにたどり着きました。ことは平和主義に絡んでコスタリカのことを書いておられたのを拝読しました。
私の住む大阪府枚方市では、小学校の国語教科書に光村図書のものを採択したということですが、同社の5年生か6年生用の教科書にはコスタリカが軍隊を持たない平和国家として取り上げられています(巧みに子供の文章という形式にして)。有名な教科書ということですが、いまだにイデオロギー色のあるものが生き残っているようです。
是非、ご確認の上、光村へ問いただしていただけませんか。採択している全国の多くの自治体の考えも糺さねばならないでしょうが。自分でせずお願いするのは虫のよいことですが、まだ私には十分に追求できないようですのでお頼りしたいと考えました。宜しくお願い申し上げます。

団塊書生様 お便りありがとうございます。
あなたご自身が既にご理解されていらっしゃいますように、何事も己自身が行動しなければ成果は期待できません。
いや、成果を期待してはいけないのです。
私自身、こんなへぼなウェブサイトを開設しておりますが、同時に都内とか千葉でデモなどがあれば一個人として参加するほか、自分が気がついたことについて首相官邸、各省庁、各政党にメールを出したりしております。
要するに私は指揮官ではなく、一個人として自分の手足だけで行動しております。
あなた様もぜひ己自身でできることを行動してください。
お互いにこの日本を良くしましょう。私たちは日本人をやめるわけにはいかないのですから。


彼がまたドイツを例に挙げて兵役に就くより、それを拒否して社会的弱者救済、救急活動、平和教育などを行っている者が多いと語っている。しかし、兵役に就いてドイツを守っている人間が30万人もいることには口をつぶっている。
これは人口当たり軍人数から言えば日本のちょうど2倍です。

だまされちゃいかん!


はたして『良心的軍事拒否国家』というものは論理的にありえるのだろうか?
私はそれは国民に対する責任放棄に過ぎないと考える。
現実には『無責任軍事拒否国家』あるいは『良心的自衛国家』しかないのではなかろうか?






ルパン三世様からお便りをいただきました。(2002.11.05)

良心的軍事拒否国家を読んで
佐為様ご無沙汰しております。ずっと出張続きでした。
それはさておき、今回の良心的軍事拒否国家論を読ませて頂きましたが、貴方様のおっしゃる通りで胸のすく気持ちが致しました。
自衛隊は世界的にはそれほど予算を組んでおりませんし、ご指摘のように予算のほとんどが給与です。給与が多いとご指摘もあるかもしれませんが、ほとんどの官庁と同じで差はないと思います。
また、装備品は残念ながら、これまた高コストであることは否定できません。
では安くするために大量生産し輸出できるか?答えはノー。
輸出出来ません。
世界的にはひじょうに優秀な装備品ですが、わが国は死の商人になる道は選んでおりません。これからも堅持するでしょう。
ならば、安い輸入品をとなりますが、安全上、それも選べません。
米国とは友好関係にありますが、いつまで続くか判りません。また、有事の際の補給を考慮するならば、海を越えて部品が安全に届くかも不明です。さらに国内の技術と生産力を維持するためには、今後とも国内メーカーを育てる必要があります。
それ故、高いコスト品の装備品購入となっています。国外ではスゥーデンが純国産で維持しておりますが、かの国は輸出によって生産数を上げコストダウンを図っており、スイスも然りです。両国製品とも自衛隊の装備品にあります。
そう永世中立国でさえ、自国防衛に努力を常に払っているのです。
世界に良心的軍事拒否国家がないかと言えば、私の知る限り一国のみございます。
それはアイスランドです。
同国は自国軍隊がありません。その代わり防衛は全て米国やNATO諸国に任せています。いわゆる傭兵任せなのです。果たしてこれで良いのか、佐為様は、皆様は如何思われますか?
ルパン三世様、お便りありがとうございます。
ルパンさんがおっしゃることはまさしく正論でして、付け加えることはありません。

しかし、私の言いたかった論点はそこではありません。
かような無責任な『良心的軍事拒否国家』論を振り回している御仁が憲法調査会のメンバーであり、日本の行く末に影響を与えていることが問題であるということです。
ルパンさんもぜひ日本の安全保障をないがしろにするこのような論を吐くやから、政党、メディアを見かけましたら『そうじゃない! それはまちがっている』と声を出してください。
お願いします。





ルパン三世様からお便りをいただきました。(2002.11.09)

かしこまりました!
論点がずれていたようですね。誠に申し訳ありませんでした。
素直に反省しています。
私は間もなく予備役訓練に参加します。場所、期間、訓練の詳細は申し上げられませんが、部隊長として部下と伴にに野山を駆け巡ってまいります。
世間では北朝鮮に攻め込むなどと威勢のいいことがネット上でも取り上げられておりますが、戦争は素人様が参加できるほど甘いものではありません。
どうしてもと思われる方々は、まずは、自衛隊の体験入隊にご参加下さい。最寄の自衛隊地方総監部の広報へお問い合わせ頂ければ、参加方法を教えるはずです。そこで自身の体力、精神力を推し量って下さい。果たして最前線に立てるや否やを。無責任なご参加はご遠慮頂きたいと思います。足手まといになるだけではなく部隊全員の存亡に関わります。
いま流行りのウォーゲームと勘違いなさっておられる方々が多いことを憂いておる次第です。ダイヤモンドのレンジャー徽章、落下傘マークの空挺徽章を持つ者としてご忠告申し上げます。そんなに甘くはありませんと。
ルパン三世様
申し訳ないもへったくれもありません。いつもご指導をいただきありがとうございます。
私は高校の同級生が陸自に2名、航空自衛隊に1名いきました。もう10年くらい会っておりませんが今でも陸自の2名は在職です。今まさに定年を迎えておりどうなっているでしょうか?
それと、引っ越す前の囲碁仲間には現役、退役自衛官が多数おります。
碁を打ちながら『いやあ、この歳になると野営はきついよ、』なんて話をいつもきいておりました。
そういったわけで自衛隊がいかに大変かは重々承知いたしております。
ルパン三世様のお話は良く分かります。
カッコだけ、気分だけでは勤まるはずはありません。
お気をつけて訓練に参加され怪我などしないように願います。
予備役各位に一国民として感謝申し上げます。




ななし様からお便りをいただきました。(2003.05.20)


コスタリカ共和国憲法の解釈

コスタリカ共和国には軍隊を禁止している憲法がある、とかいっている反戦平和団体があります。
コスタリカ共和国憲法の問題の条項を分析しました。

コスタリカ共和国憲法第 12 条の解釈
ARTICLE 12. : The Army as a permanent institution is abolished. There shall be the necessary police forces for surveillance and the preservation of the public order.
Military forces may only be organized under a continental agreement or for the national defense; in either case they shall always be subordinate to the civil power:
they may not deliberate or make statements or representations individually or collectively.

第十二条 恒久的制度としての軍隊は禁止する。( 注 1 )
公共秩序の監視と維持のために必要な警察力は保持する。 大陸間協定により若しくは国防のためにのみ、軍隊を組織することができる。
いずれの場合も文民権力にいつも従属し、単独若しくは共同して、審議することも声明・宣言 ( 注 2 ) を出すこともできない。( 姫路獨協大学法学部  吉田 稔 訳 )

上記の翻訳に関するコメント( 注 1 )「abolish」を「禁止する」としているが、abolish にはこの意味は無い abolishの本質的な意味は、研究社・新英和・和英中辞典 : 《{ 制度ニ[Д習慣を} 廃止する
Longman Dictionary of Contemporary English : 《 to bring to an end by law; stop 》
従って、正確には、『 恒久的制度としての軍隊は廃止されている。』とするべきである。
「禁止する」と「廃止されている」ではその意味のもつ範囲が大きく異なってくる。「禁止する」ということであれば英語(原語はスペイン語)では「prohibit」≪( 法または規則によって) …を 禁じる,禁止する≫ が使われていなければならない。(注2)
「representations」には「宣言」の意味は無い。正確な意味は、研究社・新英和・和英中辞典 : 《 [複数形で] 陳情,抗議 》
Longman Dictionary of Contemporary English: 《 official complaints made in a formal way 》The Army as a permanent institution ・・・
ということは、厳密に言えば、臨時的にあるいは必要に応じていつでも Army を持つことが出来る、といえる。その意味合いからすれば日本の憲法弟 9 条とは本質的かつ根源的に異質のものである。また、コスタリカは OAS および、リオ条約 ( TIAR ) に加盟しており、集団的防衛義務を負っている。従って、加盟条件として、軍隊の保持していたり、あるいは、軍隊を提供できるようになっている筈である。



ありがとうございます。
私、英語が苦手なものでございますので、翻訳ソフトを使ってみました。
恒久的な機関としての軍隊を廃止する。
監視および社会的秩序の保存のために必要な警察力は持たねばならない。軍事力は、大陸の協定あるいは国防のためにのみ組織することができる;いずれの場合も、それらは、常に民意に従属するものとし、個々にあるいは集団として審議することも宣言や声明することはできない。
要するに恒久的、あるいは常備軍を持たないということだけでしょうか?
必要ならいつでも武装するよ、軍隊を持てますということでしょうね、
statementsが宣言なのではと思いますが?
まあ、ここはあまり重要ではなさそうです。





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