心の中の砦 2003.03.14
「戦争を防ぐには人の心の中に平和の砦を築かなければならない」というフレーズをごぞんじでしょうか?
インターネットで調べると アルワアルワ これを引用したたくさんのホームページが見つかります。
ついでに「良い戦争と悪い平和はあったためしがない。」とこれまた有名人のせりふを載せているところもあります。

さて、この「心の中の砦」というのはユネスコ憲章からの引用です。

戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代わりに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、かつすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。
〜ユネスコ憲章より〜

まず、ユネスコってなんでしょうか?
ユネスコとは国連の下部機関で、
「ユネスコの役割は、さまざまな人びとの異なった文化や思想を理解し(相互理解)、国や民族を越えて相互に認め尊重しあう、人びとが協力することを学び(国際理解・国際協力)、友情と連帯の心を育て、共に生きる平和な地球社会を作っていくことです。」(社)ユネスコ協会連盟より

なぞです
いや、けっこうなご趣旨です。
でもほんとうにそうでしょうか?
私は権威を疑ってかかるほうです。だって公立学校の先生や大学教授あるいは政治家もろもろが信頼できなければ、自分で信頼できるかを確認するのは当然です。
国連つまり頭に「UN」が付く国際組織はたっくさんあります。そういったものは公平無私、全人類のために活動しているのでしょうか?

とんでもない!

昔から国連の機関は国家権益、主義主張を宣伝し拡大する活動をしておりました。具体的名称は言いませんが、冷戦時代は共産主義の宣伝機関と化していた機関もあります。年配の方ならご存知でしょう。
当時はまだ日本は負担金が少なかったのですが、アメリカが「そんな機関の費用は払わん!」と言ったこともあります。
国連平和維持活動(UNTAC)に反対する方がいるのですから、私が国連の別な組織に疑義を呈しても批判されるいわれはありません。
私も一部の主義思想のために活動している国連機関に税金をびた一文払いたくありませんね!

もっとも国連がいかにして発生したか、その目的、存在意義、国連憲章などを読めば、国連に過度の期待といいましょうか、変な思い込みをすることはありません。
戦後の民主主義教育を受けた方々だけが国連とは尊いもの価値あるものという幻影をお持ちなのでは?

まあ、本日は国連やユネスコを叩くのが目的ではありません。
「戦争を防ぐには人の心の中に平和の砦を築かなければならない」を悪用する者を叩くのが目的です。
このフレーズをよく読んで欲しいものです。
「戦争を防ぐには平和の砦を築け」といっているのです。引用する方はみなそれがなぜか非武装がそして反戦運動が戦争を防ぐという論理を展開しています。(インターネットで確認ください)
平和を保つには武器を持つか持たないかはともかく、血と汗を流して平和の砦を築く努力が必要なのです。労力を厭い、建設的なことを何もせずに、「戦争反対!」と唱えるだけで平和が来るはずがない。
「イラク攻撃反対!人間の盾になろう!」という方々は、なぜフセインに「化学兵器、生物兵器をやめろ!」といわないのでしょうか?
「北朝鮮を追い詰めるな!」と叫ぶ人たちは金将軍に「食糧援助を兵器開発に転用するな!人権を擁護せよ!」と叫ばないのでしょうか?
まあ、言うまでもないのですが、彼らは単にフセインや金将軍の支援者、宗徒に過ぎないのでしょう。

国連を頭に付けた別の機関ですが、
「戦争なんかやっている場合じゃない!」と書いた新聞(チラシ?)を配っています。そのチラシによると20世紀で6000人以上死亡した戦争は165件、その犠牲者を合わせると1億8千万人になるそうです。
へえ〜6000人以上死亡したら戦争と言うんですか? 
じゃあ、5000人で打ち止めにしましょうか?

チラシの中はイラク攻撃反対の抗議行動が満載です。国連の名を冠した組織がこのような行動をするのはいかがなもんでしょうか?
まさに一方に偏った政治行動です。

確かに戦争なんかやっている場合じゃありません。
ところで戦争をやってもいい場合ってあるんでしょうか?
「戦争なんかやっている場合じゃない!」とはいったい誰が、誰に語っているのでしょうか?
あなたは神に代わって高みからそんなことを言う権利があるのでしょうか?
偏ってるんだよなあ〜 自分だけは高潔で、おろかな衆生を教え導く立場にあるとお考えなのでしょうか?
そしてまさか、あなた私にあるいは日本人に言ってるんじゃないでしょう?
いえ、アメリカ人に向かって言うのも筋違いではないのかな??
ブッシュはブッシュの平和、アメリカの平和を追求しているのは確かです。
しかし、「フセインを、金正日を野放しにしておいていいのか?」という疑問にそのコピーを書いた人は答えることができるのでしょうか?
言う相手を間違えてませんか?それともそちらに味方したいのでしょうか?
ぜひ、フセインとか金正日に向かって「戦争なんかやっている場合じゃない!」と言ってほしいものです。

戦争反対は私も同じ、私も戦争を薦めたりしない。
しかし、戦争の原因が日本人にあるとか、アメリカのせいで戦争がおきるなどと語るのはちと違うのではないか。

いや、全然違うのではないか?

アメリカの劣化ウラン弾を非難するなら、それより前にイラクの化学兵器、北朝鮮の核兵器開発を非難して欲しい。
私は国連のUNを冠した国際組織・・・それは我々の税金を供出して運営されている・・・が平和主義に名を借りておかしな思想を広めようとすることに異議申し立てる。

とうとう国連まで揶揄してしまった「日本人よ」のサイトはイラクより早くアメリカ軍に空襲を受けそうです。 
もっとも、それより早くアメリカが国連を攻撃する可能性のほうが高いかな?


本日はエセ平和主義者、怪しげな国際機関の宣伝紙を読んでいささか頭にきたのです。







鈴木様から国連に関してコメントをいただきました。(2003.03.23)

国連に関することで、補足(蛇足)を述べさせてください。
    日本人の大いなる誤解は、
  1. 「国際連合」という名称は、日本及び日本人が使っている名称に過ぎないこと。
  2. 「国際連合」ではなく"The United Nations"という名称であること。
    同じ話ではないか、ですって?いえいえ。
  3. 「国連憲章」は、"The United Nations Charter"といいます。
    "The United Nations"憲章のページ
    国連憲章日本語訳のページ
  4. INTRODUCTORY NOTE(序文)をご覧いただくとわかりますが、
    (日本語訳)
    国際連合憲章は、国際機構に関する連合国会議の最終日の、1945年6月26日にサンフランシスコにおいて調印され、 1945年10月24日に発効した。
    (原文)
    The Charter of the United Nations was signed on 26 June 1945,in San Francisco, at the conclusion of the United Nations Conference on International Organization, and came into force on 24 October 1945.
    です。気づかれると思いますが、
    国際連合憲章(The Charter of the United Nations)は、国際機構に関する連合国会議(the United Nations Conference)の最終日の、1945年6月26日にサンフランシスコにおいて調印され、1945年10月24日に発効した。
    です。
    つまり、本当に正確に訳すと、
    (日独伊枢軸国に対する)連合国(多国籍軍)憲章は、国際機構に関する連合国(多国籍軍)会議の最終日の、1945年6月26日にサンフランシスコにおいて調印され、1945年10月24日に発効した。
    です。
    学校で習う「悲惨な戦争を起こさないために国連が生まれた」という教わり方とは、ニュアンスが違いますね。
    「悲惨な戦争を起こ(した日独伊枢軸国が再度世界戦争を起こさない)ために連合国群(多国籍国家群)が生まれた」
    ということです。我が日本国は、大日本帝国という元祖「悪の枢軸国」だったのですよね。


    いつもお世話になっております。
    おっしゃるとおりです。 そして敵国条項はまだあります。
    その日本がなんで人一倍お金を負担し、発言権もないのか?
    国連なんか解体だあ! 日本が主導権を握って新しい国際機関を作ろう!
    と言いたいところです。






    流星様からコメントをいただきました。(2005.08.13)

    ユネスコと国連に関する話題について
    佐為様のユネスコ憲章について(心の中の砦)および鈴木様の国連に関するご意見、拝読しました。二つの意見に全く同感です。このような考えを支持する人は案外多いのですがなかなか声になって出てきません。
    戦後日本人の精神構造を歪めた元凶はやはり、日本を無力化するために作られた現憲法と、恐怖政治の共産党が支配する日教組の二つだと思います。そしてこの二つを正義だと宣伝する戦後の我が国メディアがそのお先棒を担いでいる、と思うのです。
    今朝(8月13日)7時過ぎ毎日テレビ「朝ズバッ」でどこかの先生が中学生を靖国神社に引率するところが映し出されていました。パソコンに気を取られて引率者の意図は聞き漏らしましたが、中学生はそこがどういう場所なのか何のためにお参りするのか理解していないようでした。引率の先生はそれが一般的な中学生だと言っていました。学校では中韓の主張する歴史は教えても日本人の正しい歴史を教えてこなかったのですから、中学生が何も知らなくても当たり前なのです。(そして大人になっても大半の日本人は日本の歴史に無関心になってしまうのです) 考えてみれば戦後60年、殆どの日本人はその戦後教育しか受けていないのです。マスコミの罪については別の機会に譲りますが、佐為様と鈴木様のご意見がより多くの人に浸透することを望みます。
     お互い頑張りましょう。   流星
    いつもお世話になっております。
    流星様、後半がわからないのでなんと言ったらよいかちと困惑気味ですが・・・
    国連は立派だと信じることを止めただけで、日本は変わるのではないでしょうか?
    大の大人どころか、れっきとした野党党首が国連主義を唱えているのですから、日本の民度もたいしたことはありません。

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