社会多様性 2003.04.19

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社会多様性なんて言葉があるのかどうか知りません。でも世の大学の先生、あるいは政治家が私よりすぐれているという証拠もないのですから、私が勝手に言葉を作ってもかまわないこととしましょう。 
実際に社会多様性という言葉あります。ただここで私が使っているのとは大分意味が違うようですが・・・
生物多様性って言葉はあります。
何の水槽って言いましたっけ?
 ひとつの水槽にいろいろな生物、水草や昆虫、小さな虫、あるいは魚、えびなどなどを入れておくとひとつの生態系が構成されそれぞれが繁殖していくそうです。ところでこの生態系から生物種をひとつ取り除くとどうなりますか?
1種類減っても何事も起こらず、2種類取っても変化なし、順次減らしていくとあるとき突然この生態系は破壊されカタストロフィを向かえるのだそうです。
実を言って、ちょっとできすぎの観がありまして信用できませんが・・・
さて、社会多様性の話でした。
私の子供の頃、近所にはいろいろな人が住んでいました。私の住んでいた長屋だけでも赤ちゃんから老人まで、中風で寝たきりの人もいました。
職業も国鉄マン、市役所の事務員、専売公社でタバコを刻んでいる人、税務署に勤めていた女性・・この人は判任官といって偉いんだと言われていました。
小鳥を繁殖して食っていた人(小鳥を食っていたのではありません。増やした小鳥を売って食べていたのです)
運転手・・当時運転手というのは特殊技能者でした。大工もいました。貸衣装屋もいました。酒乱で毎週くらい警察のお世話になっている人もいました。
そんななかで育つと、いろいろな職業について知識を身に付け年寄りとの付き合い方法、赤ちゃんのあやし方を覚えます。

長屋の状態も年寄りが死に、赤ん坊が生まれ、住む人は変わって生きますが、そのちいさなひとつの世界は安定した状態を維持し続けます。
10年経っても赤ちゃんもいれば年よりもいます。しかしその10年間でいつの間にか自分が子供から少年になり、そして青年になっています。そしてこの社会のなかでの役割も変わります。
蝶々やせみを追いかけていた子供は、いつのまにか祭りの役をおおせつかり、葬儀の下働きをするようになり、そしていつの間にか帳場を預かる身となります。
結婚して子供が生まれ、周りから一人前の人となったと認められました。

そんな社会で暮らしていると人が死ぬということ、子供が大人になるということ、いつもはまじめなサラリーマンが酒を飲んで路地に寝転んで大声を上げている様を見て、社会勉強を日常でしているわけです。
『マックのアルバイトで挨拶を覚えました』なんてフレーズを聞いたことがあります。家庭のしつけ、近所の挨拶もない砂漠のようなコミュニティではアルバイト先であるマックがしつけをしてくれるのでしょう。悲しいことです。
私が以前住んでいた町では時代と共にいくつもの団地が造成されました。そこでは恐ろしいことが起きています。
ある団地は私が結婚した頃造られました。もう30年も前です。
土地を買い家を建てるのはいつの時代でもご主人が30代後半から40台前半、子供が幼稚園・小学校の時代でしょう。それから30年がたった今、家を買った方の子供たちはよりしゃれた団地に住むことを選択し、そこには住もうとしません。
現在その団地は住民がすべて定年退職者で占められ子供たちの笑い声、赤ちゃんの泣き声が聞こえません。あと数年でお葬式のラッシュとなるでしょう。

今から10数年前作られた別の団地では作られた直後、付近の小学校は満員となり、市は急遽校舎を増築しました。数年たつと中学校が足りなくなり早速1校作られました。今、小学校も中学校も児童・生徒が減り学級を維持するのも困難な状態です。この団地も先にあげた団地のコースを15年遅れて辿ることになるのでしょう。 最後にそれぞれの団地は住み人のない家だけのゴーストタウンになります。
いえ、家や土地なんか心がありませんからどうでもいいのです。そこで生まれ育った人々は私が子供の頃のような老若男女入り混じった社会というものを知らないのです。
それは非常に偏った人を育てることになるのではないでしょうか?
生物多様性が維持できないと自然の変化が起きた時、生態系が崩壊しやすいといいます。社会が多様性に乏しければそこで暮らす、あるいは育った人は感情に行動に平衡感覚を失うのではないでしょうか?
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私の義父は私が結婚するのと相前後して亡くなりました。それで義父と酒を飲んだということがありません。ちょっと残念なことです。娘婿と酒を酌み交わそうなんて考えておりますが、相手はどうでしょうか?
おっと、娘夫婦もこのウェブサイトを見ておるようですのでうかつなことは書けません。
 


いろいろな人が住んでいて、いろいろな人とコミュニケーションがあり、年寄りが年寄りであるというだけで価値があること、赤ちゃんがいつのまにか大人になるという偉大な謎を解き明かそうという人生がまっとうな人生なのではないか・・・なんて満月を見ながら考えてしまいました。


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本日はオチも教訓もありません。

酒を飲んでいて、ただ感じたことを書いたままででございます。




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