環境にやさしい暮らし 3 2004.02.21
私は出張が多い仕事です。地方に行きますとまず公共交通機関が少ない。路線も少ないし走っている数が少ない。仕事を始める前にバスや電車の時間を確認し、「じゃあ、何時までに終わらなくちゃ」と相手先の方と打ち合わせてから仕事を始めるという主客転倒なことになります。
乗り遅れると安売りチケットは紙くず それでも先月おじゃました広島県の某市で「電車は10分にあります」と聞いたのを本当は「毎時10分に電車がある」ということを「10分毎にある」と飲み込んでしまい、飛行機に乗り遅れたことがあります。安売りチケットばかり使っている者にとって乗り遅れることは涙なしには語れません。 
私も2年前までは東北の田舎に住んでおりましたが、東京に出て2年弱、既に電車の感覚は都会に染まってしまいました。山手線に乗るのに駆け込む人はあまりいませんが、田舎ではひとつ乗り遅れると1時間あるいはそれ以上駅員さえいない駅で立ち尽くすことになるのです。
ところでこの便利な交通機関が何ものによって支えられているかご存知でしょうか?


インターネットを散歩していたら『石油のない暮らしに戻ろう』という話に出会いました。
魔女の飛行エネルギーはなにから? なんでもそのホームページの作者は宮崎駿のトトロの映画を観て感動し、『あの時代はまだ石油漬けになっていなかった。あの時代に戻れば石油がなくとも生きていける』という論でございます。
私は宮崎駿が嫌いじゃありません。トトロとか魔女の宅急便など大好きです。思いでぽろぽろという映画もありましたね、
でも、ちょっと考えてください。
トトロの時代は石油と無縁だったのでしょうか?映画の中では電車も走り電話もありました。

電車が走る!?
電車は文明の象徴であった ご存知かもしれませんが、東北本線が電化されたのは昭和40年頃です。それまでは?当然石炭を燃やす蒸気機関車です。私は高校通学に毎日シュシュポッポッというあの蒸気機関車に乗って通っていたのです。
いまでは年に何度か蒸気機関車に乗ろうというツアーまでありますが、当時は煙くない列車に乗りたいと願っておりました。暖房はありましたが、冷房なんてあるはずありません。春から秋にかけて窓を開けていたのですがマア、煙が入ってきてひどかったです。
トンネルになんて入りますと、顔真っ黒です。 

電話ですか?
私が小中学校の頃、電話のあるところといえば公衆電話(当たり前か?)とお店くらいでした。
学校や会社の名簿には電話の欄に(呼)XXXXと書いてありました。呼び出しという意味です。ご存じない?
山田花子に用があるときは、その町内の電話のあるお宅(それは山田花子と無関係でしてたまたま近くに住んでいるというだけの・・・)に電話して、「すみませんが山田花子を呼んでほしいのですが」と頼むという仕組みが常識としてあったのです。私の住んでいた田舎ではこの呼び出しの距離がなんと200mくらいもありまして電話を引くということは大変な覚悟がいったわけです。そのような文明の利器を持った方は社会に貢献しなければならないという暗黙のルールがあったのでしょう。

さてそこから考えると、トトロの時代は私の子供時代よりはかなり下がっておりまして、石油漬けではないどころではなく、十分石油漬けなのでございます。 

もっともこのような勘違いはシロウトさんだけではありません。専門家を自称している方も同じことを語っています。イエ、本当は大衆を扇動しようとしているのかもしれません。
私は専門家などと僭称(せんしょう)はしませんよ、私は瑕疵を上げているだけです。
自然エネルギーを活用すれば化石エネルギーを使わなくとも済むのだ!ドイツは風力発電など自然エネルギーが主流となりつつあるなんてことを読み聞くことが多いのではありませんか?
環境保護が聞いてあきれる ドイツのエネルギー割合は実際はどうなのだろうか?
明日にでも風力と太陽光で間に合うのだろうか?
実はそんなことではない。
石炭が50%強、原子力が30%強、残りが天然ガスや石油であり水力がわずか、風力?さあ?
そういえば「エコロジーだけが経済を救う」というドイツの環境原理主義者が書いた本がありますが、その中で「各家庭に太陽光発電パネルを付けると政府補助によって短期間で元が取れる」というくだりがあります。なるほど、政府補助がなければ減価償却は不可能なようです。

ちなみにドイツはフランスの原子力発電の電気を大量に購入しています。自国では原発廃止なんて言いいながらそのようなことをするのは「バーゼル条約」違反じゃないかな。 
バーゼル条約とは正式名称を「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」といい、有害廃棄物の先進諸国から発展途上国への輸出することを禁止するもので、92年に発効した。自国内に原発を作らず他国の原発から電気を買うのは核廃棄物の輸出と同じような気がしますが・・・・
私は石油がない生活を選択しちゃいかんと言っているのではありません。
石油がないと私たちの生活が成り立たないということをまず認識すべきです。
石油は単なるエネルギーだけではなく、原材料でもあるのです。私たちの着るもの、日用品、洗剤、文房具、食べるものさえ石油の上に成り立っているということを忘れてはいけないのです。
もっともわざとその点に言及しない論も多いのですが・・・・・

石油を食べると言いますと、石油蛋白(古い!)かと思うかもしれませんが、食の生産や輸送はまさに石油漬けなのです。
『思いでぽろぽろ』で有機農業と青年は語っていましたが、その製品を出荷するのにトラックは使わないのでしょうね?
無農薬農業を標榜する人々がハウスを暖房しているとおかしいですよね?
私たちが塩漬けや干物以外の魚を食べられるのはまさに輸送と冷凍に多大なエネルギーを消費しているということです。

私の亡くなった義父は若いとき運送業をしていました。どんなお仕事かわかりますか?
宅急便の運転手か?大型トラックの運転か?
まさかね、
馬車引きだったのですよ。毎日田舎の町村を決まったルートで歩き、頼まれた荷物を積み運ぶというお仕事をしていたのです。
そんな昔ではありません。たかだか半世紀前のことです。
ちなみに50年前、私が小学生の頃、街中の道端いたるところに大きさが50センチくらいの穴を開けた石が置いてありました。さて、それは何でしょうか?
馬をつなぐための石でした。


  • エッ、今日は彼とディナーですって!止めてください。
    その食材は輸入物です。近隣で取れたほうれん草とニンジンのソテーだけにしなさい。 ハワイに行くのどのくらい石油を使います?
  • ギョッ、連休にはハワイですって!止めてください。
    飛行機は大量の石油を使いますし、成層圏の汚染を引き起こしています。
  • アッ、あなたがお持ちの素敵なそのヴィトンのバッグは石油製品じゃないですか!
  • オオツ、アレルギーですか?かわいそうに
    新建材を使わない隙間だらけの家だったら風邪は引いてもアレルギーにはなりませんことよ



環境にやさしい暮らし!すばらしいことです。
でもそれはあなたにはやさしい暮らしではなさそうです。
あなた、発言するからには覚悟をして言いなさい。
「私は環境のために自己犠牲を厭いません」と 






環境にやさしい暮らし 4 2004.02.21
化学肥料を使わず、もちろん農薬も使わず
贅沢はせず、飽食とは限りなく対極の生活に努め、
肉は食べず、雑穀を食べ、雑草も食べられるものは食べ、
車を使うことなど考えることなく、自らの体を使うことが基本であると信じ
飢餓に強い体力あるもののみが生存することが許されるところ
電気などないものと思い、
着るものは最低限のものだけ、
寒さに耐えられないものは死ぬしかなく、
レジャーだ、ブランド品など余計なことは考えず、
ただひたすら、生存するために、生きる道を究めようと、
指導者の導きに従い、コミュニティの人々と力をあわせ、
人間の存在がいかに偉大なことかを示す行動、
それが環境にやさしい暮らし、
北朝鮮はまさに環境にやさしい暮らしの理想郷に違いない。
そして人間にとっては厳しい社会であるに違いない。

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北朝鮮には夜景がないに違いない。
きっとすばらしい星空が見られるだろう。





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