いま悪政に立ち向かう力を スローガン検証(10) 2004.12.05

ところで「スローガン検証」というのを覚えていた方はいるのであろうか?
かってはこのホームページのシリーズものだったのだが、あまりにも支持者がなくボツになってしまった。 
しかし、電車の窓から見かけたこのスローガンがちょっと気にいったのである。
このスローガンは、ご存じ、我らが共産党のポスターのキャッチフレーズである。
本日はこの「いま悪政にたちむかう力を」を非論理的なおばQの頭脳で考えてみたい。
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悪政とは何だろうか?
テレビドラマでよく使われるケースとしては、江戸時代の代官が一部の商人と結託して規制強化をしたりしてリベートを得て私腹を肥やすことなどをいうらしい。ついでにこの悪代官、かわいい美人を無理やりお妾さんにしたりするのが常である。更に言えば、ドラマの終了まぎわに水戸黄門や大岡さんあるいは桃太郎侍にとっちめられるのがこれまた常のこと、
ところでこのときに、悪政とはどういう意味なのであろうか? 一般庶民やまじめなお侍にとってはあるべき姿ではない、正さねばならないことなのだろう。しかし、悪代官ご本人と取り巻きの商人たちにとっては善政であることは間違いない。
他方、善政をしたといわれる老中やお殿様もたくさんいた。
上杉鷹山なんてのは理想の為政者らしいが(私が言ったのではなく大昔ケネディが言った)、他方見る人から見れば、人民と臣下に厳しいい犠牲を強いたお殿様であったとも言える。
するとある為政行為は見る立場によって悪政であったり善政であったりするものらしい。

白河の清きに魚は住みがたいのである。
 異議は承る。

もっとさかのぼって、悪とはなにか?
以前、お便りを頂いたが、「泥棒は悪か?」といえば悪と断定する根拠を私は知らない。過去、人のものを盗ることを推奨した国家や価値観もあったのである。
スパルタについてはその実態を私は知らない。しかし、大英帝国が日の沈まぬ帝国となりえたのは、他人の物を盗ることを厭わなかったからであるのは間違いない。
船長は同時に海賊であり、○○島発見とはその島の物を盗むことと同意であったのである。その結果、イギリスの植民地は「日の沈まぬ」といわれたように、地球を一周していたのだ。
日本の植民地なんてカワイイもんだ・・・
 異議を待つ 
アメリカも自分がハワイを盗ることを悪いことだとは考えなかったが、日本が満州を盗ることは悪いことだと考えたという不思議な価値観を持っている。
これに関して合理的な説明をご存じの方がいらっしゃったらご教示願いたい。
善悪というものに絶対的な基準などなく、それは文化的あるいは宗教的な価値観に基づいてのみ判断される。
同じ行為でも一方から見ると「善(ぜん)」であり、反対から見ると「悪(あく)」である。
同じものでも一方から見ると「前(ぜん)」であり、反対から見ると「後(あと)」というようなものだ。 

さて、政治とは平等を目指す行為なのかと考えるとそうではないような気がする。
現実社会においてまったくの平等というものは実現できない。ところでその平等も機会の平等か、結果の平等かということも定かではない。
過去に存在した共産主義国家が結果の平等を実現したかといえば実現できなかったのは間違いない。
もちろんソ連や東欧そして北朝鮮の本当は共産主義ではなく一部の人の独裁国家だったという論も言えるがそれなら真の共産主義ならば真に結果の平等を実現できるということでもない。
よって共産党が平等を目指してもその目標が善政であるという理屈はなさそうである。

政治とは国民を幸福にする行為であることは間違いないようなのだが、国民の幸福というものを把握する方法あるいは幸福の分配方法は定かではない。
  • 国民ひとりひとりが感じている幸福を合計したものを最大化するのか?
  • 幸せと感じている国民の数を最大化するのか?
  • 不幸と感じている国民の数を最小化するのか?
どれを選ぶかによって、自由競争か福祉国家か、大きな政府か小さな政府かということになる。
いずれにしても「より多くの国民が望む方向」が国民の考える善であり、その方向に国家の仕組み制度を形作ることがあるべき姿であろう。
政治とは最大多数の求めるものを実現するものであるのなら、今現在の最大政党が国民の意志であることは間違いない。
もちろん、私のように最少悪の選択として投票している者もいるが、それであっても他の政党はより好ましくないと判断しているわけだ。
もし、現在の国会が日本国民を代表していないという論理は日本の選挙は自由選挙ではない、あるいは民主主義でないということと同意である。

そう言い切る覚悟がある政党がこの日本にあるのか

では共産党が少数政党であり、支持者を減らし続けているということを踏まえると、共産党が目指すものが善政であるという保証あるいは論理的裏づけはあるのだろうか?
本当は多数党なのだが、
 選挙制度が悪いのだ!
 一票の格差のせいだ!
 公職選挙法の制約だ!

何というのも勝手だが、どのような計算なら多数を占めるかの立証を知りたいものだ
そして彼らが立ち向かおうとしているものが悪政であるとする根拠はなんなのだろう?
あたりまえに考えれば彼らの政策が多数によって選択されていないわけで、彼らが立ち向かおうとしている政治を悪政と断ずることはまちがいではないのだろうか?

よってこのスローガンは論理的とはいえません。


さて本日の結論は

いま、悪スローガンにたちむかう力を



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