コウモリの話 2005.02.06
毎日満員電車に揺られているのだが、だんだんと慣れてしまった。
あれほど嫌いだった混雑が楽しくなるとは習慣とは恐ろしい 
電車の中が少しでも余裕があると本を読んだりしているが、混み方がひどい時はもうなにもできない。できることといえばせいぜいがまわりの人間観察くらいだ。しかし、そんなチョー混雑の中でも新聞を読んでいる方もいる。
そんな状態でそばの人が読んでいる新聞を眺めていると次のような記事が目に入った。
【サンパウロ3日時事】
ペルーからの報道によると、同国北部コンドルカンキ州のアマゾン密林地帯で昨年9月以降、狂犬病に感染したチスイコウモリが次々に人を襲い、3日までに先住民の子供少なくとも11人が死亡した。
コウモリにかまれたのは1000人から2000人に達するとみられる。保健当局がコウモリ駆除やワクチン接種に当たっているが、地元の先住民が近代医療を信用せず、治療を拒否したことから死者が増えた可能性もある。
ヤフーニュース-2005年 2月4日
吸血こうもりなんて子供の頃、紙芝居の中にでてきたような記憶がある。恐ろしいというよりそのような存在が不可解であった。想像の範囲外といおうか、

こうもりに襲われてなくなった人にはご同情申し上げる。しかし、その記事を読んで私の頭に浮かんだのはズーット以前の子供たちとの出来事であった。
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いまから20年も前のことである。娘が小学なかば、息子が小学生になったばかりの頃である。
当時住んでいた家は団地の中にあった一戸建てであった。団地といっても規模は小さく、その周りは田畑である。夕方になるとたくさんのこうもりが飛び交っていた。小さな虫を捕食しているのだろう。
そんな風景を見ては我が家の子供たちは、暗いのにどうしてこうもりは家や電柱にぶつからないのか?とか、えさをどうして見つけるのか?とか私に聞くのだった。
私がこうもりは超音波で物を確認しているので、絶対ぶつからないのだとかきいた風なことを話した記憶がある。
そんな会話の中で、だからこうもりは絶対虫取り網などでは捕まえられないよという話になった。
すると子供たちは「じゃあ捕まえたらどうする?」ということになり私が「捕まえたら1万円やろう」という行きがかりとなった。
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私は子供が網で捕まえようとしてもこうもりがつかまるはずがないと思っていた。
私が小学生の頃もこうもりを捕まえようとして捕まえられなかった記憶がある。同級生の一人がとうとう捕まえてそりゃ尊敬されたものだ。
当時、私は毎日毎日残業で帰宅が遅かったのはいつも申し上げているとおりである。
翌日、夜遅く帰ってくると、家内が「子供たちが一生懸命捕まえようとしているよ」という。ぜひその様子を見ようとして一度早く帰ってくると、二人の子供は空中を飛んでいるこうもりを叩き落そうとしてほうきを振り回していた。私はそれを見て、ヨシヨシ、これならば1万円は取られることはないと安心した。
しかしながら我が家の豚児たちは執念深いというか、意志が固いというか、努力家というべきか巨人の星の飛雄馬のようにひたすらこうもり捕獲作戦に従事したのであった。
こういった話では必ず「勉強もそれほど努力をすればよいのに」というフレーズが続くだが・・・我が家の娘は勉強もそれ以上の執念でしたことを彼女の名誉のために申し添えておく。

ある晩遅く、会社から帰宅すると、家内が「1万円取られちゃったわ」という。
エエ と驚くと娘と息子が意気ようようと捕獲したこうもりを見せた。私は「お前たちよりも、とろいこうもりがいたのか」と負け惜しみを言うのが精一杯であった。愚図でのろまなこうもりは夜の空に離してやりました。
1万円は耳をそろえて子供に上げました。二人で山分けしたようです。

しかし、話はそれで終わりではありません。
次の晩、帰宅すると子供たちが言いました。「また1万円ちょうだい」
その声は番町皿屋敷の皿を数える声のように恐ろしかったのです、ハイ


今日も夜な夜な聞こえる不気味な声
1万円、
1万円、1万円、1万円、1万円・・・・



娘じゃ 娘は今、ヴィトンとプラダとグッチで武装し、化粧してすましている。
田舎でこうもりをとろうとほうきを振り回していた小娘とは、想像もつかないだろう。
しかし、お金に目の色を変えるのはこうもりのときから変わっていない。 





大前様よりお便りを頂きました。(2005.02.05 )
いつも楽しく拝見させていただいております。
佐為さんの考え方には基本的には共感を抱いております。
さてさてと、私もこうもりを捕まえたことはありますよ。
こうもりの住む洞窟にでかけて、ぶら下がっているところを叩き落としたりしておりました。
飛んでいるのを叩き落とすことなんかはできると考えたこともありませんでした。
常識では不可能なことに挑戦して、それを達成されたお子様たちには乾杯です。
bat.gif 大前様、お便りありがとうございます。
そう思うでしょう! いくら空高くは飛ばないといっても地上2メートルとか3メートルくらいの高さはあります。
そしてこうもりの飛び方は鳥や昆虫と違い、ブラウン運動というか非常にチョコマカと動きます。
私の子供の頃の経験からも、ほうきを振り回した程度でぶつかるとは想像もしませんでした。
家内の話によると、とにかく姉と弟と二人して箒を振り回していただけとのこと、こうもりにもスチワーデス物語のようなぐずでのろまがいたということなのでしょう。

実は、二日目は5千円で勘弁してもらい、以降はナシといたしました。
そんなにお小遣いをあげては教育上よろしくありません。
本当は私はビンボーなのです。







辻様よりお便りを頂きました。(2005.02.07 )
コウモリの捕らえ方について
毎日、貴ホームページを開き、新御意見を拝読することを楽しみにしております。(過去の発表文を総て拝読している隠フアンの一人です)
さて、コウモリの捕らえ方は童心に返り、経験を報告させて頂きます。
戦前・戦後の物資の無い時代、子供達の履物は殆ど、藁草履でした。飛んでいるコウモリに向けて藁草履を投げますとコウモリは獲物を間違え、藁草履と一緒に地上へ落ちてきますので、容易に捕らえることができます。
悪童時代の遊びより。
辻様 お便りありがとうございます。
なんですと! そんなに簡単にコウモリって捕まえられるのですか?
それを知っていたならば、1万円などというのではありませんでした。
クヤシー!

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