合羽橋・道具街 2005.10.10
久しぶりの連休である。残念ながら雨模様が続く。
10月10日の体育の日というのは、40年も前に日本で一番雨が降らない日を選んでオリンピック開会式にしたはずなのだが・・・
家でゴロゴロしていると、家内が合羽橋に行こうという。
「カッパバシ? なんだそれ?」と私が問うと、家内が言うには道具などを売っているお店が並んでいる街なのだそうだ。 地図を見てみると、都会に出てきてすぐお参りした浅草寺のすぐそばだ。
午後から出かけるにちょうどの距離ではないか。
それではと、小雨の降る午後に家内と連れ立って出かけたのである。

地下鉄 田原町駅から道路に出ると、ものすごい人ごみである。これはいったいどうしたことか?
私どもは全然知らないできたのだが、たまたま合羽橋道具街の祭りというかキャンペーンをしていて、本日は最終日なのだそうだ。
あげくに体育の日の行事らしく雨合羽を着たランナーがぞろぞろと歩道を走っていく。雨の中をご苦労なことである。
合羽橋、かっぱからげて、かっとばし
などとバカを語って歩くこと数分、やってきました合羽橋
合羽橋のメインストリートは歩行者天国となっていましたが、残念ながらの雨。屋根のある歩道には人があふれていますが、車道はパラパラと歩いているだけ。
家内も私も特段の買い物があるわけではなく、お店をのぞき、面白そうな店は中に入ってウィンドウショッピングであります。

道具街というのがどんなのか見当もつきませんでしたが、いろいろなお店がありました。
驚いたのはサンプルショップというものですね、
beer.gif
美味そうなビールも
もちろん作り物
飲むことはできません
食堂、レストランのショーウィンドウの中に飾ってある食べ物のダミーを売っているのです。
このようなものが既製品で売られていたとは知りませんでした。
ろう人形とかろう細工といいますが、実際には塩化ビニルなどのプラスチックで作られているのでしょう。本物そっくりです。
カツ丼、寿司、てんぷら、ビール、アイスクリームといったレストラン用だけではありません。ジャガイモ、バナナ、レタス、キュウリなどなど八百屋用もあり、開いた鯵(あじ)、大きなまぐろの頭、サンマの干物なんて魚屋用のもあります。
おお!ヤキソバ、カップヌードル、まんじゅうもあるではないか!
ヘエ! 感動です。
そのできあがりの見事さに見とれてしまいました。
私はそのへんの食堂に飾ってあるサンプルは、そのお店のメニューに合わせて作っているのかと思いましたが、このようなサンプルを観ると、サンプルにあわせてメニューを考えているのではないかとさえ思ってしまいました。

店の看板といいますか歩道などにおいておく電球付きの看板を並べている店もありました。私はこれもその店その店が作るのかと思っていましたが、そうではないようです。


パチンコ屋、焼き鳥屋、スナック、とにかく多種そろっているのです。
本日休業とか準備中なんてドアにかけておく板もあります。ここに来ればどんな商売でもすぐに始めることができそうです。 

包装用品のお店に行きますと、これまた「ヘエ!こんなのを売ってるんだ!」と感動の連続です。
寿司屋で寿司の下に敷く笹の葉、アイスクリームを食べる小さな木のスプーン、紅葉の葉、なんでもあります。
でも、考えてみれば、寿司屋が使う笹の葉を、自分でその辺の竹やぶに取りに行くはずは絶対にないよね 
私が田舎にいたときでも、大きな笹の葉は特定の山に行かないとなかったです。ちまきを作る時期になると、熊がでるのではないかと怖いようなところまで取りに行ったものです。

家内が感動したのは、台所用品です。
ずんどうなべ、ふつうの鍋、はがま、フライパン、ポット類、ものすごくたくさんの種類の道具が大中小ズラット並んでいるのです。家内はウワーこんなの欲しい、こんなのがいい!とうわごとのように言っています。
たぶん、娘がヴィトンやグッチのバッグを眺めたような感じなのでしょう。
私もたくさんの鍋の金属の輝きを見て、なぜか心なごむものがありました。

話が大きく変わりますが、私は若い頃、計測器というのにものすごく魅かれました。もちろん仕事でそういった計測器という道具を使ったわけですが、単にそれだからというわけではなく、マイクロメータ、ハイトゲージ、デプスゲージなどのねずみ色のいかにも高精度だぞという風情に、もうまいってしまいましたね。
nogisu.jpg その感じを言い表すならフェチというのかもしれません。
たくさん並んでいる鍋の金属の輝きを見て、計測器の鈍い輝きを見たのと同じ感動を持ちました。
マイクロメータやハイトゲージから受けたあの感動は、パソコンや大きな機械からは決して受けないですね。
なぜなんでしょうか?
と考えたんですが、私たちは自分が造ることができる範囲でしか理解できず感動できないということなのでしょうか?
マイクロメータを作るのは簡単じゃありませんが、一人の人が全部品の全工程を作ることができるような気がします。そしてそれ使う人はすべての部品の働きを理解し扱うことができます。
それに対して大きな機械になると、全部を一人が作ることなんてできるはずがありませんし、扱う人もすべての部品や機能を理解することなんてできません。
だから機械じゃなく道具にこそ、感情移入するのではないでしょうか?
職人が作り職人が使う道具が、たくさん並んでいる合羽橋という道具街を歩き、並んでいる商品を眺めて私はそんな感じを持ちました。

3時過ぎになると雨が強くなり、家内と早々に引き上げてきましたが、帰る道々、どちらからともなくまた来ようと話をしました。


本日の御礼

合羽橋のみなさま、本日は感動をありがとうございます。
東北の田舎から東京にきて3年半、未だ知らない街があることに気がつきました。
来週から家内と再び東京探訪の旅に出かけることを誓います。





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