目的、目標、施策と指標 2005.10.29
最近はスポーツクラブというのが大はやりである。スポーツクラブきゅうりとかオオナミスポーツクラブとか、エブリディスポーツなどというのをお聞きになったことがあるでしょう。この拙文をお読みになっている中にもスポーツクラブに通っている方も、フィットネスクラブの近くにお住まいの方も多いに違いない。その施設の中で、多くの人が、水泳、走らない自転車、ボートこぎ、あるいはエアロビクスなど、体を動かして健康になろうとがんばっているそうです。
女はウェストが勝負 友達より1センチでもウェストを細くしようというおとめ心や、お腹が出てきたのを気にする中年ごころが推進力となってそういった施設は繁盛しているようです。
いえ、ご同慶の至りです。私は人を妬んだりするほど鈍してはおりません。
アメリカでは太りすぎの人は自分をコントロールできない人だから他人をコントロールできるはずがないという理由で、管理職にしない会社もあるとか。それが本当かどうかはわかりませんが、アメリカ映画では、老いも若きもスポーツクラブに行っている場面を見かけます。
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でもね、不思議に思うのです。
健康のためにゴルフをするのは理解できますが、遠くのゴルフ場まで車で行って、ゴルフ場ではカートを使ってプレーして、健康になるのでしょうか?
毎日通勤のとき一駅分歩いたほうが金も節約でき、環境に良く、時間もムダにならないような気がします。


runman.gif ところで、フィットネスクラブの近くに住んでいる友人から聞いた話である。
友人の話には、そのフィットネスクラブには、ほとんど毎週一度くらいは救急車がサイレンを鳴らして来るそうだ。健康になろうとけなげな努力をしているさなかに倒れてしまう人が出て、救急車を呼ぶらしい。
なんということでしょうねえ〜
そういえばインターネットで読んだことがあるが、アメリカニューヨークのセントラルパークではランニング中に倒れる人がでるのでいつも救急車が待機しているとか・・・
健康になるために走るのか? 走るために健康でなければならないのか?
まさにハムレットの心境です。 
でも私のような、単純な人間には、健康になろうとして走っていると、いつの間にか走ることが目的となり、走らずにいられなくなり、その結果、健康から遠ざかってしまうとはおかしいとしか思えません。

似たような話はいろいろある。
環境を守ろう! とか、鯨を救え! という活動をしている人々がいる。
鯨を救おうとデモ行進するのは理解できるし、熱帯林を守ろうと植林活動するのもすばらしい、しかし、中には熱帯林を守らんとするあまり、林業会社に殴りこんで従業員に怪我をさせたりする団体もある。
幸い、日本人の中には環境保護に狂信的な団体や人は少ないようだ。
もっとも日本では狂信的な平和主義がはびこっております。
「平和を守るためなら法を破ってもいい」とか、「戦争反対のためには武器を使うことも辞さない」というと、なんだかおかしい  
man7.gif 最近の選挙でも某政党の政治家が「改憲の動きには法を破っても断固阻止する」なんて大勢の前で語った方がいます。
すみませんが私には理解困難なので、機会があればじっくりと説明を聞かせていただきたいと思います。
中には「私は国家を破壊するのが目的だ」と語っている政治家もいらっしゃいますので、私のような田舎者で高卒の老人が政治を理解しようなどと思うのが間違いなのでしょう。

もうひとつ例をあげましょう。ゼロエミッションという言葉がある。
会社や工場から出る廃棄物すべてをリサイクルすることをゼロエミッションと呼ぶ。
エミッションとは「放出」という意味です。
もっともゼロエミッションとはエントロピ増大の理屈からいって理論的に不可能のようだ。
ゼロエミッションはありえない ところが世間では廃棄物の99%以上をリサイクルすることをゼロエミッションというらしい。
算数では1%とゼロは同じではない。99%をリサイクルしているならゼロエミッションではなく、1%エミッションではないのだろうかと私は素直に考えるのだが、
しかし、環境で飯を食っている評論家や学者が考えるゼロエミッションは、一般相対性理論より理解困難な思想らしい。そのような論を広めるために使われる紙がかわいそうな気がする。 

私の実体験であるが、とある会社を訪問したときのこと
「私どもでは廃棄物改善活動を進めています。」
いや、それはすばらしい。
「今年度は今まで使い道がなかった廃棄物のリサイクルを進めゼロエミッション実現を目指しています。」
いやそれは良いことです。
「リサイクルすると今まで廃棄物として処理していたより、年間100万円余分に費用がかかるのですがなんとか経理と相談して採用するつもりです。」
エエ! それってどこかおかしいんじゃないですか?
それとも私の価値観あるいは頭の論理回路がおかしいのでしょうか?

私たちは理想を考えます。
あるべき姿、あるいは最終到達点を「目的」としましょう。
それはいっきょに実現することができないから当面の到達点として「目標」を設定します。
そして目標を実現するためにいろいろな「施策」を考えて実行するわけです。
そしてその「施策」が効果があるか否かを評価するために、いろいろな「指標」を考えて、それで進捗を測るのではないでしょうか?

安全管理を考えて見ましょう。
安全第一品質第二生産第三 危険のない、事故のない職場を作るのが「理想」で、それを実現するのが「目的」です。
でも事故も怪我もゼロにすることはなかなかむずかしい。そのために怪我発生頻度や怪我の重さを測るために強度率とか度数率という「指標」を考えます。
そして毎年この「指標」を下げようと、「目標」を立てて、いろいろな「施策」を進め活動するのが世のならいです。
「連続無災害記録が途絶えるから、怪我したことを隠せ!」という管理者がいたならば、その管理者は目的が大事ではなく、指標を大事に思っている勘違いです。



本日のまとめ

高い理想を持つこと、目的に向かって努力することは尊いと思う。
しかし手段を目的化したり、指標を目的化しては・・・・ちと悲しい。
ほとんどビョーキという表現があるが、そんな考え完全にビョーキじゃない?





大国主命様からお便りを頂きました(05.10.29)
どうも、管理人さん。毎度お騒がせしております、大国主命であります。
スポーツクラブ!これは小生の住む町にもしっかりあります。ウェルネスというところ(専門学校でもある)です。
この施設では、別に救急車に担ぎこまれる人間はいません。
通うのは、暇を持て余した人間であり、ただからだを鍛えるよりも、若い男女と秘密の関係になりたがる、助平根性丸出しが目的なのでそんなことはありません。そんなことですから、20kmはなれた町からでも通う人間がいます。
救急車が来るのは、まあ、近くの公園ですね。
昼間や休日は野球で、夕方は空手や柔道、夜中は暴走族の抗争、といった理由で怪我人が絶えないですね。
では、本題に入りましょう。
小生の仕事である酪農では、最近家畜排泄物処理法なる法律が去年から実質施行(法律は6年前に施行されていますが、5年間の経過期間がもうけられた)され、どの同業者からもため息吐息であります。なぜなら、堆肥の処理が今までのように自家消費で済まされなくなっているからです。どの経営も、今まで堆肥は牧草のための堆肥処理であって、稲作農家や蔬菜農家のための堆肥処理をしていたわけではないのです。全く、行政はそれなのに、「各経営100ヘクタール撒け」「堆肥舎は環境にいいものをつくれ」「堆肥処理の状況報告を半年後ごとにしろ」とか、まるで朝ピー等反日メディアのような支離滅裂なことをいってきます。
堆肥は、作物ごとに肥効が違うので、施肥量や、熟成期間も大きく違います。たとえば、米作りや果樹なら10a毎に3t、根菜類なら2t、ホウレンソウで6t、トマト4t、牧草なら11tであります。
熟成期間も、牧草なら3ヶ月で十分ですが、米なら半年、果樹や根菜類、蔬菜類なら2年〜3年。おがくずや鉋屑を使うなら早く発酵しますが、籾殻やコーヒー殻、食物残さでは発酵速度にムラがおおきいので、簡単でありません。行政は、これをいうと「ブロアーを使え」「攪拌機を買え」とかまあ、百万単位の買い物を要求しますね。環境にやさしい堆肥生産とは、金もかけず、労力もそんなにかからない方法(カブトムシやクワガタをいれておくか、鉄パイプを何本か刺して空気をいれる、攪拌はショベルかバックフォーを使う)のが一番ではないでしょうか?
あと、自家処分を超える量のみ他の経営に分けるといったのが慣行だったのに、このインチキ法律施行後は、他の経営に押し売りしてでも堆肥を使わせる仕組みになっています。本末転倒も甚だしいです。この法律が、本当に目的である堆肥の適正処理や適正流通を達成できるのか?小生にとって疑わしいこと、この上なしであります。
ちなみに、行政のいうとおりにやった場合の堆肥処理の経費をここに示します。多分、管理人さんは「マジカイヤ!」とおっしゃるでしょう。
こんなに金つかう「環境保護」なんて真っ平であります。
しかも、堆肥販売で経費を賄えってトンデモないことをいうんですよ。
 堆肥舎建設費:100坪で1000万(木造)〜2000万(鉄骨)
 攪拌機械:60万〜200万(規模や電気化するかで大きく違う)
 ランニングコスト:月7万以上(電気化すると非常に高くなる)
 堆肥販売:15kg入り100〜400円か2tダンプ一台分1000円
 乳牛一頭:60kg/日の糞尿、肉牛一頭:30kg/日
 日本の平均酪農規模:北海道110頭、都府県45頭
どうでしょう?これが役所のいう「環境保護」や「リサイクル」の正体です。いかがお考えになるでしょうか?

大国主命様、ご指導ありがとうございます。
正直申し上げまして、そのような法律があるとは存じませんでした。
環境だとか公害だとか、私もいっぱしのことを語っておりましたが、実は何も知らないんだと実感しました。
反省いたします。
私の仕事で感じているのは、【環境保護】というのは実は『環境を保護すること』ではなく、『環境保護と語って金儲けをすること』ではないかと思っております。
【戦後民主主義】というのが『戦後』とも『民主主義』とも無関係なのと同じです。
もっと、もっとあります。
【反戦運動】とは『戦争に反対すること』ではなく、『共産主義に味方すること』だというような詐欺的言い回しには困っております。

この表現にご異議あるかたは、反戦運動が北朝鮮の核開発にいかなる反対運動をしているのか? 中国のイージス艦製造や中国の海底ガス田への軍艦派遣に反対している証拠を提示願います。

まあ、私たちは日本人を止めることもできず、己の仕事をリセットすることもできません。
渡世の義理とはよくいいますが、辛くとも涙を流さず耐えるしかなさそうです。
男の美学でしょうか?



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