知らぬは仏 2006.06.25

「あなたは人を殺したことがあるか?」
なんて問えば、私も含めて誰だって首を大きく横に振って「そんなことしてません」とおっしゃるでしょう。
では「あなたは犯罪を犯したことがあるか?」と聞けばいかがでしょうか?
driver.gif まあ、スピ−ド違反とか駐車違反をした、あるいは赤信号を渡ったとか、男ならタチションをしたとか、お釣りが多いのに気付いたが黙ったもらってきたとか(詐欺罪です)
ちょっとやりすぎとしては飲んだ勢いで歩道の看板を蹴飛ばして壊したとか、また来るよといって飲み代をツケて払わなかったという程度ではないでしょうか?
エッツ、毎日お隣の新聞受けから新聞を抜き取っているですって!
そりゃいけません 

我々一般人は悪いことってそんなにしているわけはありません。
じゃあ会社や工場も悪いことなんてしてないんでしょうか?
わたしゃ、税金とか労務管理なんて知りません。ココムというのもありましたね、最近は輸出管理というそうですが。そのほか、インサイダー取引なんてのもあります。最近はセクハラ、個人情報保護、差別用語の禁止など大変です。まあ、日本で事業をしていくには多様な規制があります。どの企業も法を守って事業拡大・増収増益にがんばってください。

ところで私は、環境法規制についてはちょっとかじったことがあるんですよ。
環境法規制といっても、公害つまり排水とか大気汚染とか騒音・振動、あるいは危険物・毒物ばかりじゃありません。
最近は法規制の幅が広くなってきましたので大きな工場でなくても油断できないのです。
知り合いで塗装作業の下請けをしている人に「PRTR法を知っているかい」と聞きますと、「ああ、3年ほど前から毎年市役所が資料を郵送してくるよ。でもおれの仕事は規模が小さいから対象外さ」
ちょっと待てよと、私が塗料の使用量と成分を聞きますと届出量に届きそうです。
ご本人、「あ、やばい」という顔をしました。その後聞きましたところ、細かく計算したら届出量を下回っていて良かったとのこと。でも桁が違うというほどではなく、ほんの少し多ければ届出しなくてはならない量だったということでした。
正直言ってPRTR法の未届出とか虚偽の報告で処罰されたという話は聞きませんが、最悪の場合罰金20万ですからね

容器包装リサイクル法ってのがあります。商店や製造業あるいは弁当屋だって、特定容器とか特定包装を使用している場合、リサイクルの義務があります。 man2.gif 実際には一企業がリサイクルなんてできませんから、それに見合ったお金を指定法人(日本容器包装リサイクル協会)払うことになります。
もっとも最近、リサイクル費用を払わないと宣言したスーパーがありました。まさに法の矛盾か欠陥か? 今後の経過をウオッチしなくてはなりません。
それはさておき、特定容器製造等事業者には再商品化義務があるのですが、それ以外の業種では無関係と思ってらっしゃる方が多いようです。たとえば全量を市販ではなく事業者に販売している場合(つまり『B to C』ではなく『B to B』)は該当しないと思われています。この場合、特定容器・特定包装のリサイクル義務はないのですが、帳簿記帳義務はあり、記録して5年間の保管義務があります。勘違いしたり忘れたりしないように・・・

当社は製造業じゃない、オフィスだから法規制はないだろうと考えているオフィスの総務部長さん、大丈夫ですか?
廃棄物処理法はどんな業種にも関わるんですよ、
ちょっと古いですが05年10月7日総務省公表の「産業廃棄物対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」によると事業者の7割に廃棄物契約書やマニフェスト票違反が見つかったそうだ。
man7.gif 「あなたは廃棄物処理法違反してませんよね?」と聞けば、7割の方から「残念ながら問題がありまして」と答が来るはずですが・・・・聞かれた方全員が「ちゃんと遵法を徹底してますよ」と答えると思いますね。
オフィスから産業廃棄物が出るはずがないと信じている非製造業の総務部門は多いと思います。「机、什器を捨てるのはビル管理会社の仕事だ・・だって家賃払っているんだぜ」という店子は多いでしょう。
当然、「店子の廃棄物の処理はすべてお任せください」というビル管理会社も多々あります。私も有名な私鉄の名前が付いたビル管理会社から「テナントの産業廃棄物を私どもが処理して悪いのですか?」と真顔で聞かれて唖然とした経験があります。そこではなんと廃油から廃プラまでの値段表を作ってテナントに配布していました。ワタシシラナーイ
もっとも旧財閥系の名前がついたビル管理会社はちゃあんと法規制を知ってましたね・・・さすがというか当たり前か 

PCBなんてもう30年以上前の問題児がいまだ片付けられていません。やっと昨年あたりから処理しようと国策で処理工場を作り試行が始まったところです。
PCB
moudoku.gif
ところで、工場はけっこうちゃんと管理しているのですが・・・事務所といいますか非製造業ではPCB機器をちゃんと管理しているのでしょうか?
 っ!非製造業にPCBがあるはずがないですって!
そんなことありませんよ、昔の複写伝票には滑らかに書けるようにとPCBが入ってました。そういった伝票はしっかりと保管していないとなりません。捨てちゃったんですか?
エレベーター設備やビルの電気受電設備にもPCBが使われていました。PCBは絶縁の性能がよく燃えず理想でしたから。そういったものを新規設備に交換してもメーカーは引き取りません。引き取れないのです。
じゃあ、どうするの?
その会社が後生大事に保管するしかないというのが従来の法規制だったのです。知らなかったですか?
そしてPCB機器の所有者は毎年6月に知事に保管状況と保管量を届けなくてはならないのです。
総務部長さん、心配になってきたでしょう? 

まあ環境法規制なんていろいろあります。脱税しないようにとか、インサイダー取引しないようにと同様に、しっかりと環境法規制を守ってくださいね。

昔の人は言いました。「知らぬが仏」
私の昔の上司は面倒くさい仕事があると「知らぬは放っとけ」と先送りにするのが得意でした。
でも、法律は「知らぬは仏」は通用しませんし、「知らぬは放っとけ」・・・じゃいけません


本日のおせっかい

知らぬは放っとけぬ
smile.gif





あらま様からお便りを頂きました(06.06.26)
佐為さま あらまです
「知らぬは仏」。楽しく読ませていただきました。
しかし、いつも思うのですが、よくぞ話題が絶えませんね。
アインシュタインの脳細胞が、今も標本として残っているそうですが、佐為さまの脳細胞が、どんな構造なのか、知りたくなりました。
イギリスのシェークスピアも、その豊富な才能に、実は一人ではないという説があるとか・・・。
もしかしたら、佐為さまは、お一人ではない・・・という仮説を、小生は立てております。(失礼しました)

さて、今回の話題、「知らぬは仏」。小生の地方では「知らぬが仏」といいます。
微妙に、ニアンスが異なる気がします。
ところで、社会人の一員として、世の中にたくさんある、法律、条例、きまりの全てを知っていなければならないのかもしれませんが、そんなことは無理ですね。
現実的には、自分の身近な法律や決まりゴトを、指摘されて、ようやく気が付くぐらいだと思います。
そこで、思い出すのが、今年の春に話題になった、PSE法(電気用品安全法)。
ビンテージ物が流通困難になるということで、反対運動が起きて、結局、「レンタル」販売ということで、玉虫色の決着がつきました。
実は、この法律は、これで済んだわけではないのですね。
このURLを御覧下さい。
なんと、今後も、2001年に施行されてから、7年後、或は10年後に猶予期間が過ぎる対象品目に、電線とかヒューズなど電気部材があるのですね。
中古品を扱う電気、機械屋さんはもとより、中古家屋を扱う人も、中古自動車も対象となりますよ。
つまり、小生の工場の古い工作機械も、小生の住んでする築30年目のボロ屋敷も、小生が乗っている古いサニートラックも、そのままでは売りに出せなくなるのです。
あれだけ騒いだのですから、2008年4月になっても、「知らぬは仏」では済まされませんね。
あらま様、毎度であります。
論点の1
私はただ一人であります。そうでありながらわけのわからないことが湧き出てくるというのはもう常人ではないのかも?
但し、間違ってもシェークスピアとかダヴィンチとは比べてはいけません。あらま様のお隣のダジャレ奥さんとか会社のオヤジギャク男と比較していただくレベルかと・・・
論点の2
「知らぬが仏」か「知らぬは仏」か?
これは間違いなく「知らぬが仏」です。
これを書くとき私なりに考えたんですよ、「知らぬは放っとけ」と言った上長がいたのは事実です。これを「知らぬが放っとけ」としては文としておかしい。更には「知らぬが放っとけぬ」では意味になりません。
それでインターネットでググッて見たら「知らぬは仏」という正しくはないんでしょうが言い回しも世の中で使われていることが分かりました。
それで表題を「知らぬは仏」とした次第です。
但し、本文の中では「知らぬが仏」としております。 ご確認ください。
論点の3
おっしゃることはよく分かります。しかし人生の9割を製造業で過ごしてきたものとしては、製造物責任には限界があることを明確にすべきと思います。
消費者の安全を優先することにより、国際競争力が落ちたという事例は多々あります。
昔のこと、昭和30年代末のことですが、個人タクシーをしていたわたしの叔父がダットサンブルーバードで30万キロ走ったので日産自動車に表彰でもしてもらえないか?と持ちかけたところ、そんなに長く乗らないで車を交換してくれないと困りますといわれただけだったと聞きます。
今では政府と電器メーカーが共同で家電品買い替えして省エネしましょうという運動をしてます。それが地球温暖化を止めるそうです。 謎!


あらま様からお便りを頂きました(06.06.28)
佐為さま あらまです
確かに、製造物に対する責任には、限界がありますね。
ですから、ユーザーや古物商側にも使用責任を課そうというのが、そのPSE(電気用品安全)法だと思います。
本来は、漏電事故防止対策のひとつであった当該法律でしたが、いつのまにかその趣旨が薄れてしまった感じです。
実は、火災原因の中で、漏電と思われるものが、結構多いのですね。
http://www.nrips.go.jp/org/second/fire/
http://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/syoubou/Seikatu21.htm
テレビを始め、ほとんどの電化製品はコンセントに刺しっ放しだと思います。
田舎に住む小生が消防団員だった頃、それが原因だと思うような現場をよく見ました。
これから老齢化が進み、独居老人が多くなると思います。
それに比例して、漏電事故も多くなると思います。
しかし、その対策は難しいですね。
箱の中を分解したり、屋根裏や、壁の内側を見る機会なんて、そうあるものではないですね。
「知らぬが仏」とばかり、無視していれば、問題が解決するものではありませんね。
北朝鮮問題でもそうですね。見えないからと気にもとめてなかったのが、実際に偵察衛生で覗いて見たら、とんでもない事をしていました。
chainasubmarine.jpg 中国のミサイルだって、日本を向いていると言うではありませんか。
つまり、銃口を向けられていると同じコトですよね。よくそれで、平然としていられます。
そんな中国に対して、ODAの凍結を解除したと言うのですから、政府のやっている意味が理解できません。
小生は、そうした国内の感覚に対して、非常に危機感を覚えています。
確かに、いたずらに騒ぎ立てる事もよくないですが、ぜんぜん関心を示さない事もよくないと思います。
「知らなかった」のと、「知っていても無視した」のとでは、全く過失の度合いが違うと思います。
そうした意味でも、無防備宣言をする人たちは、さらなる確信犯として、天誅が下されるべき賊であろうと思います。
佐為さまが与えてくださった今回のこの「知らぬは仏」というテーマは、時宜を得たものだと思います。
あらまさま、毎度ありがとうございます。
torch.gif アメリカのULは今から100年前、電気火災への支払に耐えかねた保険会社が設立したそうです。エジソンが、いやエジソンより前から電気が使われようになったときから火災の原因になったようです。
おおっと! 人間がプロメテウスから火を頂いてから火事が起きたような気が・・
昔、原子力を第三の火なんて言いましたが、これも火災の原因となりそうです。
いやあしかしですね、私がちょっとその辺で見かけたことを書いただけですから、あらま様、ちょっと深読みしすぎでは?


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