悪役 2007.07.08

テレビドラマに限らず、物語には必ず悪役がいる。時代劇のようにバッサリと切られる文字通りの悪役もいれば、恋愛物でも恋敵がいないと話がおもしろくない。サラリーマン物では出世競争のライバルがいて、真っ向勝負だけでなく脇から成果を横取りしたりしなければ盛り上がらない。
スッチー物であろうと、学園物であろうと、スポーツ物であろうと、キャバクラ嬢ものであろう、悪役、憎まれ役がいないドラマは気の抜けたビールのようにつまらない。
私のいとこは小説家希望であった。私より二十歳も大きく、既に鬼籍に入られた。私の叔父つまりいとこの父は「決して身内の物語を書いてはいけない。必ず悪人を作ってしまうから」と常日頃言っていたのを脇で聞いた覚えがある。身内の物語を書かなかったからか、もともと才能がないからか、そのいとこは小説家志望をあきらめてサラリーマンになった。

マンガでも悪役はなくてはならない存在
あってはならないなどとは誰も言わない 

戦争マンガだと悪役はナチスドイツが多い。仮想戦記でも敵はナチスドイツが多い。日本はドイツと同盟を結んでいたんじゃないか?なんていってもだめなようです。
捏造はいけません
水戸黄門に朝日とNHKを
懲らしめてもらいましょう
● ● ● ●
昔の潜水艦マンガの「サブマリン707」の敵は悪の秘密結社であった。いくらなんでも軍隊を創り運用するには大規模暴力団の予算では無理だと思う。国家予算が必要だよ。でもまあ、敵がいなければ話がはじまらないのだからしょうがない。
しかし、マンガにしても小説にしても敵国に祭り上げた国から、苦情がこないように設定しなければならないことはわかる。
ナチスは悪いことをしたんだ。何を書いても文句を言ってこないだろうという下心がミエミエである。
あるいは想像の秘密結社の代表から苦情が来ることはない。
だから劇中では相手を悪く言い放題、何を言っても許されるというひどい状況になる。
裁判と違い、弁護士もなく証拠を提示することもなく、もちろん証拠が正しいかなんて問われることもない。
常識で考えるとこれは尋常な設定ではない。もちろんマンガにしても小説にしてもこれは物語だという前提で書いているし、読む人も観る人もオハナシだからということを理解している。
そうでなければ放送局や発行者に、あいつを訴えろ、なんで解雇しないんだとツッコミを入れないといけません。

ドラマばかりでなく悪役を作り上げるのは多いようです。
歴史教育っていうと悪役は過去です。
江戸時代は武士がいばっていて町民や百姓は食うや食わずで飢饉になると餓死者が大勢でたなんて教えていました。一方、支配者層はたらふく食べていたといわれています。本当でしょうか?
士農工商というのもカテゴリーが違うのであって偉いとか奴隷のように権利が認められなかったとかいうことはなかったらしい。切捨御免というのはあったらしいが、実際に武士に無礼を働いて切られた町人は江戸時代を通して数えるほどだったというのを読んだことがある。(出典は忘れました)
話は戻りますが、最近では鎖国ということさえなかったという説もあります。鎖国があったかなかったかはともかく、輸出入はほとんどありませんでしたし、米や穀物が輸出されたという話も聞きません。結局日本で作られた食料はすべて国内で消費されたはずという本もあります。ウソを語るにしてもつじつま、収支決算が合わないといけません。

この圧制を倒すために幕末には下級武士が立ち上がって封建制を終わらせたのです。
ホウ、良かったですね
ところがこれがまた薩長出身の軍人が権力を持ってやりたい放題をして、太平洋戦争になだれ込んだというのです。
戦前は暗闇のように日本の一般平民は政府や軍部のわがままに苦しんでいたのです。
へえ! そりゃひどい
アメリカ軍がこんな日本を解放してくれたのです。
ああ!民主主義のすばらしさ

アメリカを持ち上げるために過去を悪役にしたのか、自分の過去を隠すためにウソをついたのか、そのへんは定かでありません。
しかし戦前が本当にそのように暗闇であったなら、いい目を観た人はいったいどこにいかほどいたのでしょうか?
学校で「現代が良いと教えるため」には過去を悪く教えるしかないのでしょうか?
そういう悪役を作る教え方は、すなわちクラスに悪役を作り出し、イジメやシカトを惹き起こすのでしょうか?

国際関係についていえば悪役は日本です。だって自分の国を悪者にしても、誰からもどこからも文句を言われませんから。 かりにですよ、韓国を悪役にしたドラマを作れば在日からジャンジャンと文句がきます。北朝鮮を悪役にしたら総連から脅迫に近い抗議が来たでしょう。もっとも最近では国際的に悪の枢軸という評価が定着しそうでナチスドイツの役柄を引き継げるかもしれません。
中国を悪役にしたら、大規模反日デモが起きることは間違いありません。
だからテレビでは報道番組でもドラマでも日本を悪役にしているに違いありません。
だから日本が第二次大戦でアジアに攻め入ったのは悪なのですが、戦後史で中国がベトナムに侵攻したのは悪ではなく、ベトナムがカンボジアに攻め入ったのも悪ではないのです。
昔、日本が朝鮮を併合したのは悪で、現在の中国がチベットを併合したのは悪ではないのです。
中国がいくら圧政を敷いて宗教団体を迫害したり殺害したりしても決して悪ではないのです。
だって、ドラマなんですもの

日本を悪役にしたとしても、誰にも迷惑をかけないとあなたはお思いでしょうか?
でもそのドラマをドラマとして見ることができない人たちもいますよ。従軍慰安婦とか強制連行なんて国内政治あるいは政治的主張をとおそうとしたガセネタかもしれませんが、それを信じ込んで日本は悪いことをしたなんていう人も国もあるのです。

悪役専門の人が街を歩いていて「コノヤロー」「悪者め」と憎まれ口を言われたという笑えない話を聞いたことがあります。
日本を悪役にしていると、結局日本を悪役にしたあなたの身に降りかかってきます。
man1.gif
最近、アクセス数が激減である。私の落ち込みをみた家内は「あんたの書くのは小難しいし文章が流すぎんじゃね〜の」という。アイデアのみをパット短く書けばいいとの仰せ
本日はそのスタイルで行こうかと書き始めたものの・・・私のスタイルは変えられなかった。 



もっちー様からお便りを頂きました(07.07.08)
日本を悪玉に仕立てたがる理由はいろいろあると思います。
佐為大人ご指摘のごとく、日本を悪し様に糾弾することによって“善人”或いは“良識人”としての「地位」が確保されるという安住の地という考え方。
そうしてこまったことに、対象から非難された場合、当面その場を謝罪すれば事なきを得るという“安易な考え”。
そして最後は、日本を徹底的に陥れれば、自己の恋いこがれるパラダイス「共産主義」に一歩近づくという確信犯。
この3通りくらいでしょうか

Gくん様からお便りを頂きました(07.07.14)
「悪役」読みました!
最近は、投稿こそしていませんが、ちゃんと読んでいます。執筆がんばって下さい。
Gくん様 毎度ありがとうございます。
私も会社では悪役、引き立て役を40年務めております。
私がいるから他の人の査定が平均以上になる、私がいるから美男美女に見える。
私がいるから賢そうに見える。
私の存在価値、存在意義とは大変なものなのです。
ッツ、単に皆の足をひっぱっているですって?  そうとも言えるかも・・・

キンタロス様からお便りを頂きました(07.07.18)
「悪役」拝見しました。
仰る通りですね。
社民党の方とか本当にそうですね。
憲法改正に関して言うと、日本国憲法を「平和」憲法と呼び、それを変えるとまるで戦争を自らする憲法になるかのように言う。
また改憲反対ではなく、敢えて憲法改悪反対という。
そのときの「悪」は「良し悪し」の「悪」ではなく、「善悪」の「悪」であると自分は感じています。
意味は同じかもしれませんが。
キンタロス様 お便りありがとうございます。
「良し悪し」の「悪」と、「善悪」の「悪」では全然違うと思いますよ。
悪役といっても善悪というだけでなく、敵(かたき)というニュアンスが強いのではないでしょうか?
清水の次郎長の敵役、どもりの安五郎にしても、坂本竜馬の適役、新撰組の近藤勇にしても、善悪や価値観としての悪ではないと思います。
私の敵役はにっくきたぬき・・・いやこれは内緒です。


タイガージョー様からお便りを頂きました(07.07.29)
平和条約は本当に悪役を作らないか?
拝啓佐為様
いつも楽しいお話をありがとうございます。佐為様の「悪役」について考えさせられるところがありました。私が学生時代には教科書サンフランシスコ平和条約で日本が国際社会の仲間入りを果たしたと習いました。それなのに何故日本が悪役になるのでしょうか?それについては実に興味深い記事があります。
http://ww1.m78.com/weimal/ruhr.html
サンフランシスコ平和条約は本当の平和条約なのでしょうか?
ベルサイユ体制とはドイツから際限なく金を取り立てて抑制していく体制でした。その前の普仏戦争ではパリ講和条約以降フランスがヨーロッパ諸国の中で孤立し、押さえ込まれる体制でした。それと同様に日本は今「サンフランシスコ体制」に押し込められているのではないでしょうか。サンフランシスコ体制の中では英仏露米中は常に正義の味方です。チベットやフォークランドなぞ批判の対象ではありません。日本は常に悪役であり、重慶の空爆のように一般の戦闘行為すら悪とされます。
この体制下ではお金の流れは一方的であり、常にさまざまな名目をつけて日本からお金を引き出されます。賠償金を払い終わっていても後から名目をつけて賠償事項が増えていきます。ドイツも450億マルクの賠償金を支払ったと主張していますがフランスは200億マルクの価値しかないと主張しているように、「実は日本の賠償金には○○が含まれていなかった」と言う声が聞こえてきます。この場合日本の正当性、事実関係はどうでも良くサンフランシスコ体制にそぐわないものは無視されます。
本日は投票日ですがサンフランシスコ体制を打破してくれる政党に投票してきましょうか・・。
タイガージョー拝
タイガージョー様 まいどありがとうございます。
えーと、私の理解は、サンフランシスコ平和条約というのは単独の存在ではないと思います。
安保条約、憲法9条というものがセットなのです。
さかのぼればポツダム宣言もその構成要素だと思います。
だからこれを打破するには、憲法改正という段階をへて、とにかく太平洋戦争の後始末をしなければいけないと考えております。
サンフランシスコ体制を打破してくれる政党とはどこか・・・人によって考えは違うでしょうが、平和憲法を守ろうと叫んでいる政党は、アメリカ従属を継続しようとしていることに間違いないようです。


ひとりごとの目次にもどる