マネジメントレビュー 2007.01.01

ISO14001の要求事項の最後はマネジメントレビューです。
マネジメントレビューというとなんだか特別の行為とか行事のように思える。規格ではマネジメントレビューは特別に定義されているわけではない。単に「マネジメント」に「レビュー」が付いただけである。
じゃあ、マネジメントとはなにか?となるが、実はISO14001規格では定義していない。ISO14001規格で定義しているのは環境マネジメントシステムだけである。
ちなみにISO9000ではマネジメントという語は、「組織を指揮し管理するための調整された活動」と定義しており、人や機関(ボード)を指して使うときは単独で使ってはいけないと決めている。使うときは必ず例えば「トップマネジメント」というふうに限定する形容詞をつけることが求められている。(ISO9000 3.2.6)
ISO14001では定義という項番があるが、ISO9001では定義がたくさんあるためにISO9001の中ではなく、定義だけを別のISO9000という別の規格で定めている。
じゃあ、ここでいうマネジメントとは何か?ということになるが、タイトルにはないが本文の第1行目ではトップマネジメントといっておりとりあえず問題は回避された。

次のレビューですが、これまた定義はありません。実はレビューという語は96年版では日本語に訳されるとき完全に1対1でなく「見直し」や「レビュー」や「確認」などなどの語があてられていました。04年版ではreviewはすべて「レビュー」になりました。
ちなみにISO9000ではreviewも定義しており「設定された目標を達成するための検討対象の適切性、妥当性、及び有効性を判定するために行われる活動」とあります。
私の書いているのを見て、なんて回りくどいんだ!とか、細かいことにこだわらなくてもいいのに、とお感じの方いらっしゃいましたら、考えを変えてください。ISO規格は、国語の世界ではありません。数学の世界なのです。

さてそうしますと、マネジメントレビューというのは特別のものではなさそうです。
トップマネジメントはリストアップされたことについては最低限、報告を受け(把握し)、決定する(部下まかせはいけない)ということに過ぎない。
簡単に言えば、権限には委譲できるものとできないものがあり、ここに書かれていることは委譲してはいけないよということだろう。
どのみち最終的な結果責任は経営者(ISO14001の仕組みでの経営者でなく本来の意味の)にあり、経営者は責任を逃れることはできないのだから。
インターネットや各種本で「マネジメントレビューを管理責任者がしても良いですか」という質問を良く見かける。そしてその回答は判を押したように「それは最高経営者がしなければいけません」ということになっています。
まあ、当たり前だよね。

ご注意願いますが、マネジメントレビューとは「行事・イベント」ではなく、「決裁・デシジョン」です。
年に1回でいいのか?とか定期的とは何か?などと考えずに、インプットにリストされたことは必ず経営者に報告する、そしてアウトプットにリストされたことは必ず経営者から指示を受ける、と割り切れば余りは出ません。(ダジャレデス)
日本全国のほとんどの会社・工場・事業所で、毎年1回とか2回、(名目上の)経営者以下、管理責任者、監査責任者、事務局が鳩首を集めて議論あるいはやくざの会合のようにシャンシャンと議事を進めているのですが、それは要求事項ではありません。もちろんそのほうが社長のはんこだけより審査機関に対して説得力はあるでしょう。
聞いた話ですが、ある会社で「当社のマネジメントレビューは、該当する事はすぐに社長に報告し、社長が決裁し指示している」という回答をしたとき、オエライ審査員様が「年に1回とかして議事録を作ってください」といったとか・・・
まあ、ここにもISO14001をだめにし、自分の首を締めている人がいると笑っておきましょう。

mankomatta.gif
私がものすごく審査員に反感と敵意を持っていると思われる方、それは正しい。
私は飯がまずい、酒を飲ませろ、オ○ナだあ、せっかく外国に来たのだから1日で仕立てができる洋服屋に案内せい、審査のあとはリゾート地経由で帰りたいので飛行機の予約を変更してくれ、なんておっしゃる審査員様のご命令を受けて対応していました。
彼らも審査会社で出張手配するとき、リゾート経由のチケット手配ははばかられたのでしょう。
もっともオ○ナの手配はできませんでしたが。 
womankomatta.gifそれと昔は暴力的で反社会的な審査員が多かったですね。審査中に気に入らない対応を受けると重いガラスの灰皿で机をたたいたり、投げつけたり(身をかわしました)、机を足でけったりする人がいました。心底、肉体的恐怖を感じましたね。武道をしている方なら無意識にカウンターを出して審査員をのしてしまったかもしれません。
90年代初め頃は審査員の忌避とか異議申し立てという手段さえ知らなかったのです。
今の事務局は楽でいいです。
人に歴史ありといいますが、私のISO事務局の歴史も平坦ではありません 

さて、リストアップされている項目については、皆さんだってシロートじゃないわけですから、いちいち説明するまでもないと思います。

但し、改善への提案ということについてひとこと
05年から多くの会社・事業所のISO審査で「マネジメントレビューのインプットに改善の提案がない」という不適合が出されています。(私にはそういう情報がはいってくるのです)
この項目が必須要求なのか提案に過ぎないのか(ダジャレです)さだかではありません。
原文は、前段が shall include ですから「必須」なのですが、後段が recommendations です。わたしゃ英語原文の語義とかニュアンスは分かりませんが、日本語で「推奨することを必須とする」というのは論理的に矛盾とは言いませんが、ニュアンスが一貫しないような気がします。
「命令しなければならない」「許可しなければならない」という文に抵抗ありませんが、「アドバイスしなければならない」というのは文章として間違っているとは言えないけれど、ちょっとへんだという気がします。「提案も含めても良い」というニュアンスではないのでしょうか?



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