August 13, 1999
この写真の光景を最初に目にしたときは、光柱現象についての知識は持ち合わせていなかった。太陽のちょうど真下の位置にまるで柱のような縦に長いの光の塊が空中に浮いているように見えた。この現象ががどのように起きているのか、自分なりに推測してはみていたが、後になって光柱現象と呼ばれることもわかり、原因も考えていた通りのようなので、ここでその写真をお見せするとともに、少し解説してみたい。
特定の気象条件下では、空気中に氷の結晶が霧のように発生する。場合によってはこれはダイヤモンドダストなどと呼ばれる現象である。氷の結晶はさまざまな形をとるが、そのうち更に特定の場合で、薄い板状の結晶となったときに、光柱現象が起きる。
板状の氷の結晶は空気の抵抗により地面と平行に近い位置になっていることが多い。板状の表面はよく光を反射するので、無数の小さな鏡が地面とほぼ平行に空中にただよっている状態となる。すると、ちょうど海に沈む夕日が海面に反射して海面に光の帯ができるのと同じような感じで、光の帯ができる。
この写真では、スキー場の斜面の中腹から谷方向を見下ろす形で見ていて、氷の結晶は自分より低い位置にあるので、このような見え方になっている。普通、光柱現象というと、これとは上下の位置関係が逆になり、地平線の下にあって実際には見えない太陽や、遠くの地表にある明るい光源のちょうど真上に光の柱が見えるものの方が多いようである。
光柱現象については、下記のリンクが参考になる。
空気中の氷の結晶によってできる現象は光柱だけではない。こちらの方がどちらかというとよく見られるのではないかと思うが、太陽のまわりに小さな虹のような輪がかかることがある。これを暈(かさ)という。暈は虹と同様に光の屈折によってできるが、虹は太陽と反対側にできるのに対し、暈は太陽のまわりにできる。屈折によってできるので、虹と同じように色がつく。
ここで、写真の右側の範囲外に、ちょうど上記の写真のように太陽と、それによってできた光柱があると思っていただきたい。写真の上半分の弧状の部分は、太陽による暈である。下の方の直線状のものは、太陽によってできた光柱を光源としてできた暈であると思われる。光源が太陽のように点ではなく直線状なので、暈の方も直線状になって見えるのだろう。
全て Konica Big mini BM-201 + Konica Qscan 1200dpi 1:2