痙縮(痙性)の定義と測定法

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リハビリでは、痙縮(痙性: spasticity)、固縮(rigidity)、拘縮(contracture)をきちんと使い分けなければならない。医学部卒業直前の学生に聞いてもよく間違える問題である。学生は苦し紛れに「痙縮は上位運動ニューロンの障害されて起こる症状」と病態を述べたりするが、「では患者さんを目の前にしたらどう区別するの」と追撃すると答えに窮してしまう。さて、正解は何だろうか。

痙縮では「速度依存性」がキーワードである。すなわち、ある関節を他動的に早く動かすしたときに抵抗が強く、ゆっくり動かせば抵抗の弱くなる状態を痙性という (1)。では、固縮はどうだろう。固縮では、早く動かそうとゆっくり動かそうと抵抗は変わらない (鉛管様固縮: lead pipe rigidity)。ただし、抵抗が間歇的にゆるむこともあり歯車様(cog-wheel)と呼ばれるが、この際も他動運動速度で抵抗の大きさが変わるわけではない。もう一つの拘縮は、どう他動的に力を加えても、どんなにゆっくりがんばっても関節可動域が狭まっていることをさす。痙縮、固縮それ自体で関節可動域が縮まることはなく、関節可動域制限があるときは必ず拘縮がある。

痙縮の測定法は有名なのはAshworth scaleであり、Bohannonの修正版がよく使われている(2)。これは主観の入りやすい評価法である。客観的測定を目指し、振り子テスト、筋電図のH反射(3)を用いる、下肢伸展反射時の足関節伸展モーメントを測る(4)などが試みられているが、H反射は痙縮と同じ内容を測っている保証が無く(3)、伸展モーメントは器械を自作しないと簡単に測れないなどの難点があり、実用に至っていない。

(1) Young RR: Spasticity: a review. Neurology 44 (Suppl 9): S12-S20, 1994
(2) Bohannon RW, Smith MB: Interrater reliability of a Modified Ashworth Scale of Muscle Spasticity. Phys Ther 67: 206-207, 1987
(3) 柳澤信夫: H反射.柳澤信夫、柴崎 浩(編): 神経生理を学ぶ人のために. 第2版. 医学書院, 1997, p.88-103
(4) 野々垣学、高塚博、小林宏高、松宮巧、奥村須江子、安藤徳彦、高岡徹: 脳卒中患者における伸展共同運動時の足関節底屈モーメントの計測(第2報). リハ医学、印刷中、抄録

2002.6.14