日本人女性観光客について

バリに旅行する日本人の行動には目に余るものがあります。
特に日本人の独身の若い女性の行動は現地の良識ある人々の顰蹙をかっています。
かって日本人の男性が東南アジア各国で非難の対象となったことと同じことを、今や日本人の若い独身女性がバリの地で繰り返しているのです。
私はバリ島とそこに住む人々が心から好きで、何度となく現地を訪れていますが、その度に日本人女性の乱行を見聞きし、悲しく恥ずかしい思いをしています。
ここでは私が実際に体験した事柄のいくつかを紹介致します。

あるグループの場合

数年前の秋バリに向かう機内、エコノミー席の後部、辺りの迷惑を意に介さず大騒ぎを続ける男3人女3人一団がありました。見るとどう見ても未成年の少年少女、うるさいと小声で注意しても、一目でグループのリーダーと解る少女に逆に睨まれる始末。
話しの内容はバリがヨーロッパなのかアジアなのかで大論議の様子。内心ビックリしながら、彼等の年齢を想像してもそれに関する話しは出てきません。
ジャカルタでのトランジットの際も彼等の騒ぎは続き、大声ではしゃぎながらロビーを駆け回り、事態を理解できない欧米人達は眼を丸くしながらこの様子を眺めています。
私が本当にびっくりしたのはこの後です。
いよいよ機はバリに到着し、客は一斉に入国審査の窓口に並び、彼等は丁度私の前に立つていましたが、やがて6人の中でリーダー格の少女が、これから宿泊するホテルの部屋割りを始めました。仮に3人の少女をA子、B子、C子、少年をD男、E男、F男とします。リーダーのA子が言います。
「今晩は私とD男、明日はE男、次がF男、B子の今晩はE男・・・最終日の夜は各々に海で相手を探すこと!」
周りの日本人も胆をつぶさんばかりに驚いています。
「貴方達いくつ?学校は?」たまりかねたように彼等に声をかけた中年の女性に対する少女達の答えは「高校でェ〜す。合宿でェ〜す」。実にアッケラカンとしたものです。
彼等が実際に言葉通りに行動したかどうかは確認できませんし、そうであったと信じたくもありませんが、この6人の親の顔が見たいと思ったのは私一人ではないと思います。

ある女性(35才)の場合

前述の様なことがあって、私は親しいインドネシア人達に事情を聞き歩きました。
それによると、私が経験したことは決して珍しいことではないとのことで、若い女性だけの旅行者がホテルの従業員に男性探しを依頼することもしばしばだそうです。
私があるホテルのプールサイドで、友人のインドネシア人と話していた時のこと。
向かい側のプールサイドに、人待ち顔で座っている飛びっきりの美人を示し友人が私に告げました。
もう直ぐバリ人の男が彼女を訪ねてやって来る。二人は彼女の部屋に入り10分程で男の用意したホテルにゆくために外出する。でも深夜には男に送られて帰ってくる。と言うことでした。
あれ程の美人が何故?といぶかる私の目前に背も高く一見ファッションモデルを思わせるバリ人の男が現われました。彼は名うての売春夫とのこと。その後の展開は友人の言った通りになったことは言うまでもありません。
私は自分の職業意識もあって、絶対に面白い番組になると思い、次の日彼女に「貴方の様な美人が何故?」と聞いて見ました。
彼女はある地方都市の大きな本屋に勤務しているとのことでしたが「自分は背が高く男性から声もかけてもらえず、日本では恋愛の機会に恵まれないままに35才になってしまい、心身共に寂しい。外国なら人目を気にすることなく、後腐れなく遊んで気分を紛らわせることができる。」とのこと。
私は自分の身分を明かし、顔を出さないことと声を変えることを条件に、カメラの前でもう一度同じ話しをして貰えるかを頼んでみましたが、案の定きっぱりと断わられてしまいました。

あるインドネシア人男性の場合

何度もバリを訪れると親しい現地の人が何人も出来てきます。これは、その中の一人の男性の話しです。
友人A君は日本語も話せる26歳のインドネシア人です。私は彼が恋をしていることは知っていましたが、相手が日本人であることは知りませんでした。
ある日の深夜、相談があると私の部屋を訪ねて来た彼は、日本人のことが解らなくなったと嘆いています。
彼は2カ月に一度位バリに来る彼女と一緒に部屋を借り、夫婦同然の生活を4年間続けたと言います。彼女から申し込まれて結婚の約束もした彼は賢明にガイドの仕事に励みました。
ある日「日本に連れて帰るからパスポートを取得し、身辺の整理をしておくように」との連絡を受けた彼は、勤めていたガイド斡旋の会社を退社し、結婚と渡航の準備を整えました。
まもなく、迎えに来た彼女と二人でウブド迄数泊の旅行に出かけましたが、旅先で彼女は10万円を彼に投げ与え別れを宣言したと言うのです。自分がインドネシア人だから両親から反対されたのだろうと思った彼は、諦め切れない気持ちを押さえながらも二人で住んでいたアパートに戻ってきたら、家財道具を受取にバリ人の若い男性が来て、彼女と一緒に住むことになったと言い、彼は、二人で過ごした4年間は一体何だったのだろうと考え込み、又、自分がバリのナンパボーイと同レベルに落とされた気がしてならないと嘆いていました。
純朴な彼の性格を知り尽くしている私は、適確な助言も慰めの言葉も見つからないままに夜明けまで話し込みました。
それから1年たった今、彼はバリを離れ、ジャワ島の田舎に移り住み傷心を癒しながら職探しをしているとのことでした。



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