stars inet station : Story of Rain Man





Chapter1

Charlieのビジネスの車の販売が法の規制のためにうまくいきません。
ここでのCharlieの言動は少しエキセントリックです。
ちょっと紹介するのは困難な four-letter word含みのセリフもとびだします。
仕事をほおりだして旅行に向かう車の中でCharlieとSusannaの話し方は対照的。

"Listen, I don't wanna be demanding you, but do you think..?  
Could you possibly say, I don't know, ten or twelve words...."

少しだけでも話してと、ここまで謙虚にたのむ Susannaに対して、
"If there's something to talk about, Susanna, you know,
 we'd be talking about it.  
I'm just thinkin'.  
What's the big to-do about me thinking here? " 

big to-do は大きな問題ぐらいのいみでしょうが、
「オレが考えているってのがなんか文句あっか?」
てな調子でここでの彼はまったく人間的魅力に欠けています。

こんな彼が自閉症の兄との大陸縦断ドライブで変わっていくのはみものです。
どっちにしろかっこいいTomがこの先もみられます。
"Top Gan"よりもすてきな彼が。。(Dec.20, 1996)

Chapter2

突然はいった父の死の連絡。チャーリーはスザンナとシンシナティへむかいます。
父の遺したコンバーティブルの車をまえに彼は思い出をかたります。
父との葛藤の記憶のある車について。
"I know it by rote." 
「そらでいえるよ」


"I think you're exaggrating." 
「あなたの思い過ごしだとおもうわ」Sスザンナは、必死にかばいます。

"The car was off limits to me." 
車にちかよらせてもらえなくて、そこで、チャーリはある日勝手にそれを
持ち出したことを語りはじめます。
"I deserved it." 
父になにもみとめてもらえなかったから、彼は当然の権利さとつっぱります。
"Now nothing I did was good enough for this guy."  


"Don't you understand that?"彼はスザンナにもつっぱります。 
だが、父は彼を窃盗で警察にうったえてしまい、親子の断絶となります。

"How can you keep all this inside you and not say anything?"
「どうして自分の胸にしまいこんではなしてくれないの?」

やさしいスザンナの語り掛けが印象的です。ここからの2人の会話の雰囲気がすきです。
"When I was a kid and I got scared, the Rain Man would come and sing to me."
 「子どもの頃怖くなるとレインマンがきてくれて、歌をうたってくれた。」
"The Rain what?" 「レイン??」

"You know, one of those imaginary childhood friends." 
「ほら、子どもの空想の産物さ」
"What happened to him?" 
「彼はどうなったの?」
"Nothin'. I just grew up." 「
なにも。。俺がおとなになったてことさ」

"Not so much." 
「そうでもないみたいね」ーーやさしい、彼女が結構はっきりいいきります。
彼女が子供っぽい、チャーリーを理解してるひとことですね。

さて、300万ドルもの財産はすべて、見知らぬ男のものとなるのを知ってチャーリは憤ります。
それが幼い頃から離れ離れになってた兄レイモンドと知るのです。

"You wanna be that guy's son for five minutes?" 
「あんな奴の息子に5分でもなってみるか?」
自分がその息子であるという決定的な事実への絶望が込められてる感じがします。

Charlieは、シンシナティにある、兄レイモンドが暮らしている施設にむかいます。
そこで兄の後見人で財産の管財人でもある、ドクターブルーナと話し合います。

"That hardly seems fair. Maybe that's something that we could discuss."
「とても公平とは思えないよ。話し合うべきことだと思いますよ。」
"I think if  I were in your shoes, I'd probably feel the same."
「もし貴方の立場でしたら、同じように思ったでしょう」
ブルーナ博士は同情を見せます。

"I have responsibillties of my own, and they have to be met, 
 even if that means a fight."
「僕には自分の権利があるのです。それに見合うようにしてもらわないと。
たとえ争いになってもね。」
チャーリーは完全に怒ります。もう一人の相続人が幼いころ離れ離れになった
兄であるとも知らずに。

chapter3
いわく付きのコンバーティブルを前にしてチャーリと兄レイは出会います。
彼の言動について、ブルーナに尋ねるチャーリー。
ここで、「自閉症」ということについてかなり専門的に語り合いがもたれます。

"He's an autistic savant."
「彼は自閉症なんです」

"They have certain deficiencies, certain abillities."
「欠陥もあるのですが、特有の能力もあるのです。」

"Actually, high-functioning."
「つまり、機能し過ぎるということなのです。」

"It means that there's a disability that impairs the sensory input
 and how it's processed."
「感情を取り入れることその処理過程に師匠をきたしているのです。」

"He can't even express himself or probable even understand his own
 emotion in a traditional way."
「自分を表現することもでいないし、おそらく普通のようには自分の感情を
 理解出来てないだろう」

ここは大切ですね。この映画が社会的にみとめられたゆえんでもあります。
というのは、自閉症については、このころまで(おそらくいまも)大変な
誤解があるからです。ここでも、"retarded"との混同をチャーリーがしてます。
日本では、内向的な性格との混同をしているひとが今でも多くいるのではない
でしょうか?

ここでチャーリーはレイをL.A.に誘います。
墓参りをしたいか、ドジャースのゲームを見たいか、まくしたてます。
レイは
"I'm definitely, not supposed to be off the grounds  for more
 than tow hours.  Definitely have tobe back in tow hours."
彼は決められた通りの事をまもらなければ、パニックになってしまうのですが・・


Chapter4

まだ、シンシナティです。ホテルに一泊するレイと、チャーリ、スザンナですが
彼女は納得しません。
"It doesn't make sense to me."
「理解できないわよ」

"I know what's good for him."
「いいんだ。レイのためなんだ!」
2人のレイへの対応があらわれていると思います。この会話に。

その夜、ベッドにいる2人のところに物音を聞きつけて、レイが入ってきて
しまいます。追い出したチャーリーにスザンナはレイをなだめてあげるように
言い張ります。
しかしレイを怒鳴りつけたスザンナが今度は怒るのです。
恋人としてチャーリーに冷静に接しているということでしょう。
まわりがきちんとみえて判断見えてる女性は素敵です。
ここでは、彼女のセリフが光ります!

"They tell you today for the first time that you have a brother, and 
 you .  I don't see in your face one little reacktion!"

"You don't know what I'm going through here."
興奮した2人の会話はここでちょこっと卑語がとびかいます。
でも、スザンナの言うことは理屈が通っているのです。

"I've had enough."
「もうたくさん!」
"You use people! You're using Raymond! You're using me!" 
人を利用してばっかり。レイモンドを利用してるのよ。私でさえも」
"You use everybody."
「誰も彼も利用してばかり」

"I'm entitled to that money, goddamn it!"
「でも、財産をもらう権利があるんだよ!」

"My father has stuck it to me all my life!"
「親父は俺にずっとつらくあたってばかりできたんだ」
"Now what do you want from me?"
「おい、どうするつもりなんだ?」
"I want out."
「出て行きたいの」

スザンナが風呂上がりでびしょぬれのまま飛び出したあとチャーリーは
少しだけ冷静になるのです。

夜が明けて翌朝、朝食のレストランで。。。
ここからの2人の会話はとっても素敵なのです。
何気ない会話ですが、兄弟愛が芽生える最初のやりとりだからです。
電話帳の名前と番号を覚えたレイに彼は
"That's good, Ray."
と答えます。何気ないのですが、初めてこころから兄をほめたことばで
とてもやさしい響きで答えてるのです。
パンケーキを食べるという彼に
"Well, that's sounds good."
「おう、いいねぇ」と、相づちうちます。
"With maple syrup."
「メープルシロップも」
"Hey, you bet your butt."
「おう、もっちろんさっ!」
(あ、メープルシロップいっぱいかかったホットケーキ食べたくなってきました。。。)

しかし、ここでまたレイの症状がでてしまうのです。
先にメープルシロップが運ばれてないことに彼は不安から興奮します。
例外が苦手な彼の症状を理解できてないチャーリーは彼に対して怒ってしまうのです。

楊枝をおとしそれを一瞬にして数えてしまう彼の能力に、しかし、チャーリーは
感嘆します。ここでも自閉症の特性について、エピソードを交えながらさりげなく
表現してます。同時にチャーリーが兄レイをすこしずつ理解して行く過程が
さりげなく描かれているのです。
(June 29, 1997)

Chapter5

さて、チャーリーと、レイは空港に来ています。ここから、LAまで
一気に、兄を自宅に連れ帰ってしまおうということです。
しかし、記憶力のいいレイは飛行機事故の例のなかから、死傷者数を正確に
思いだし、断固反対するのです。

"Airline travel is very dangerous."
「飛行機の旅はとても危険だ」

"Don't be silly."
「ばか言うなよ」
"It's the safest travel in the world."
「この世で一番安全なんだよ」

しかし、乗ろうとするエアラインすべて事故を起こしており、彼は
恐れます。ここに出てくる事故例が事実だったりするので、アメリカの
ジョークのどぎつさに日本人の感覚からは、ちょこっとひやぁっという
気分になったりします。おまけに、こんなに事故起きているのかあと、
今更驚いたりします。そして、レイが事故のないエアラインとして
カンタス空港を持ち出します。

"Qantas. Never crashed."
「カンタス。一度も事故がない。」

"I mean, that's gonna do me a lot of good, Ray."
「俺としてはだな、そりゃ大変よかったことってわけだ、レイ」
チャーリーは思い切り皮肉を込めて言うのです。もちろんです、
カンタスはLAに行かず、オーストラリアに飛んでいってしまうんですから。
オーストラリアの国際線なのですから・・・・
しかし、強引にデルタ航空便に乗せようとすると、レイはパニックを
起こしてしまうのです。
チャーリーは必死にレイをなだめます。

レイが静まったあとのひとことは、結構好きです!
"You tie me, Ray."
「疲れるよ、君には」
つぶやくように独り言をいうのですが、自己中心的な彼が
他人のために疲れさせられること自体が初めてのことじゃなかったので
しょうか?

"You're killing me, Ray."
「あんたにゃ、参るよ」
"I just want you to know you are killing me, man." 
「俺が参ってるってことを知ってもらいたいもんだ」

ぶつくさぶつくさいうのですが、Tomの声の調子が柔らかいので
このあたりは、好きです。

さて、いよいよ、次から兄弟2人のLAまでの旅が始まります。
大陸半横断縦断てとこです。
オクラホマ、テキサス、アリゾナ、カリフォルニアと
砂嵐の平原、西部の風景、渓谷、ヤシの木の道が太平洋につづく
サンタモニカの海岸と、たまらない、風景画つづきます。

Chapter6
飛行機をあきらめた2人は次に車で移動することになり、ハイウェイにいきます。
ところが入った途端に交通事故の渋滞に巻き込まれ、レイモンドはまたもやパニックを
おこしてしまいます。

"In 1986, 46,200 male drivers were definitely infolved in fatal accidents."
「86年には46、200人の男性が交通事故で死んでいる。」
"All right, I got an dea.  I got a great idea. 
 You're gonna stay in front of the car until we get off the exit.
You'll get in, and we'll take a not-so-dangerous road, whatever that might be !
Is that an idea?"
「わかったよ、じゃ、考えがある。すごいぞ。高速から出るまで車の前にいろ。
 おまえが車に乗ったら、すこしは危険でもない道をはしるさ。
どこの道だか知らないけどな!
どうだ、このアイデアは?」

やけになっている、チャーリーと相変わらずお決まりのことにこだわる
レイの対照的な会話が続くのです。
レイの症状だとはいえ、ここでは両極端な2人の性格がにじみ出て後のチャーリの変化と
ふたりの人間関係の変化への前奏曲のようにも感じます。

そして、ふたりは、結局モーテルに一泊することになります。あまり進んでも
いないうちなのに。

チャーリーが切れて叫ぶシーンはレイの反応と対照的で結構セリフを
楽しめます。

What difference does it make where you buy underwear?
「下着を買う場所がかわれば、なにがどうなるってんだ?」
Underweaer is underwear!
「パンツはパンツだろ」
It is underwear wherever you buy it! 
「どこで買おうがパンツに違いないだろうが」
In Cincinnati or wherever!
「シンシナティだろうが、どこであろうが」

Chapter7
チャーリーは遂にオクラホマでレイを医者にみせます。
ここではじめて"autistic"つまり、自閉症という言葉が使われます。
医者が説明する言葉は、世間一般が抱いていた自閉症の
先入観をただしい説明へと導きます。

I do know that his brain doesn't work like other people.
And what he does isn't intended to be annoying.

加えて彼は数字に強いことも証明してみせます。
医者は、普通の自閉症が会話さえもできないことがあるのに
彼は、高度な機能をもつ能力があると驚くのです。

その間にもチャーリーは自宅に電話をくりかえし、仕事が
うまくいきそこねて、どうしようもならなくなってくるのです。
だが、自分のお気に入りのテレビ番組が始まることに固執する
レイはもうそれどころではありません。パニックにおちいり
結局ふたりは、農家にとびこみ、こどもたちからチャンネルをとりあげ
番組をみさせてもらうことにするのですが。

Chapter8
ここは全章の中でわたしが一番すきなシーンがあります。
MOTELの部屋で、レイとチャーリーの会話がまた食い違います。

"Why do you always have to act like an idot, huh? Huh?"
「なんだって、そうも馬鹿みたいにふるまうのさ?なぁ?」
"Do you think that's funny?"
「そんなのが面白いのか?」
"Yeah, funny Rain Man. Funny teeth."
「うん、おかしなレインマン。変な歯だ。」
"Why do you say ,'funny teeth?' What?"
「変な歯? うん?なんだ、それは?」

"You said, 'Funny teeth. Funny Rain Man'."
「君が言った。’変な歯。おかしなレインマン。’て」
"Rain Man?"
「レインマン?」
"I said 'Rain Man'?"
「俺がいったのか?レインマンと?」

"Was I trying to say, 'Raymond' and it came out,'Rain Man'?"
「つまり、俺がレイモンドといおうとして、レインマンと
 いったということなのか?」

"Yeah. 'Funny Rain Man'."
「そう。’おかしなレインマン’ていった。」
"You? You're the Rain Man?"
「君がか? 君がレインマンなのか?」

"When did you leave?"
「いつ、家をでたんだ?」
"It was Thursday. Very snowy out."
「木曜日だった。すごい雪だった。」
"Seven point two inches."
「7ポイントと、2インチも積もっていた。」
"Yeah, that was just after Mom died."
「そうだ、ママが死んだすぐあとだ。」
"New Year's."
「お正月だった」
"And you remember that day you left?"
「家を出た日を覚えているのか?」

話が核心に近づくにつれて、遠い記憶がよみがえり
チャーリーは興奮します。

"Was I there? W-W-W Where was I?"
「俺はいたのか? 俺は?ど、どこにいたんだ?」
"What What What Where What?"
「何、何、何、どこにだ? 何だ?」
"You were in the window. You waved to me."
「窓のところにいた。 僕に手を振ってくれた」
"Bye-bye, Rain Man. Bye-bye. Rain Man."
「ばいばい、レインマン。て。バイバイレインマン・・て」

"So you...you were the one that sang to me?"
「じゃ・・君が・・君だったのか・・
 あの歌を、僕のために歌ってくれたのは?」
"Yeah."
「そう」
"What-What, uh, what did you sing?"
「ど、どんなだった? 歌った歌は?」
"Did I like it when you sang to me?"
「俺はその歌を聞いて喜んだかい?」

問詰めながら、チャーリーに兄の愛に包まれていた
記憶がよみがえったのでしょう。
興奮しながらも、遠い過去を呼び戻そうとする
のがセリフから伝わってくるのです。

"Hot water burn baby!"
「熱湯で赤ちゃんがやけどする」
"That's why they put you away."
「それで、君は離されたというのか?」
"They thought you would hurt me."
「君が、俺を傷つけることになると思って」

自分が知らされてなかった、事実を知るチャーリー。
自分は除外されてたと、憤っていたのが、実は
除外されたのは、兄の方であったと知るチャーリーの
心情はどうだったのでしょうか。



Chapter9

さて、場所は、ようやく、ラスベガス。
兄弟愛にめざめたとはいえ、とにかくお金がほしい
チャーリーは、レイを使ってカジノで一もうけを
企みます。

2人はそこでぼろ儲けするのです。
"It certainly looks like it."
「実にうまくいってるようだな。」
"Hey, what's our secret, guys?"
「よう、秘訣を教えろよ。」

チャーリーが勝ち誇ったように満面の笑みで答えます。
"We cheat."
「イカサマしてるのさ」

ともあれ、ここでのTom Cruiseのスーツ姿は
なんともいえず、かっこいいですね==☆


Chapter10
カジノであった娼婦アイリスと約束してるレイ。
でも、彼女はもちろんあらわれない。
"What do you got to bring a Watchman for
 on your date?"
「なんのためにデートにテレビ持参なんか
 持参する気だい?」
レイに呆れるチャーリー。

ビジネスの失敗を告げにきたスザンナが
エレベーターで2人きりになった時
レイにささやく。
"You think you could show me the way 
 you were going to dance with Iris?"
「アイリスをどうやってダンスをおどるのか
 教えてもらえる?」

Chapter11

さてようやくLAについても、これからが大変です。
レイの保護監督権をまかされた医師たちが、
チャーリを尋問します。
後見人たちに、くってかかる、チャーリー。
しかし、シンシナティから、レイを無理に連れ出した
経歴から、彼らはどうしてもチャーリーを金目当てと
決め付けてます。

"You know, I asked you a week ago why didn't 
 anyone ever tell me I had a brother and....
 you did't have an answer.
 I don't know. It's funny."
「先週何故だれも、俺に兄貴がいたことを教えて
くれなかったかききましたよね?
 でも、返事はなかった。」
  
 "I just realized I'm not pissed off anymore that
 my father cut me out of his will.
 And you were his friend."
「ただ、親父が遺言に俺のことをはずしたのは
 もう、怒ってないのだけは確かです」

 "You probably knew he tried to contact me a few
 times over the years. "
「何年もの間彼が俺に連絡を取ろうとしたことを
  あなたはご存知のはずだ。」
 "I never called him back.  I was a prick."
 
 「 けど、俺は電話をしなかった。馬鹿なやつさ」

"Well, hey, if he was  my son, didn't return my
 call, I'd have written him out."
 「そりゃそうだ、自分の子が音信不通なら、遺産を
 渡そうとはおもわないだろうしね」

 "But it's not about the money anymore."
 "It's about... You know, I..just don't understand."
 "Why didn't he tell me I had a brother?"
 "Why didn't you tell me I had a brother?"
 "Why didn't anyone ever tell me that I had a brother?"
 "I mean because it'd been nice to know him for more than
  just the past six days."
 「でも、お金のことはもうどうでもいいんです。
  聞きたいのは、ただ、わからないのは・・ 
  なぜ、親父はレイがいたことをおしえてくれなかったのか。
  なぜ、あなたも教えてくれなかったのか。
  なぜ、誰も教えてくれようとしなかったのかということです。
  だって、この六日間だけでなくて、もっとずっと前から
  レイのことがわかっていたらどれほどよかったか・・・・・」

 ここで、彼の口調が完全に依然とかわっているのがわかります。
 いつも、カリカリ癇癪起こしてた彼が、レイとともにすごすことに
 よって、優しさを導き出されたということでしょうか。

"My brother came further with me in a week than he did with
 you in twenty years, and that's the truth!"
「兄のレイが自分とずっと一緒だった、20年間のうちでこの
 一週間が一番ね。」
"Well, we got to know each other."
「そう、お互いに理解しあえたんだ。」

"I'm not challenging you on that."
「君を攻撃しようなんてことは、してはいない。」
医師は、冷静にだが冷たく言い放ちます。

"No, I'm just being honest with you."
「いや、ただ正直に話しをしてるだけですよ。」

"Well, I think you're missing the point."
「ああ、だが、君のいうことは要点がずれてる」
 "The point I was trying to make is I'm not placing any blame,
 and I'm not saying it's your fault."
「私が言いたいことは、私は君を非難するつもりはまったくないし
 君が悪いことをしたともいってはいない。」

"Jesus, I had a father I hardly knew, a mother I didn't know
 at all."
「まってくれよ。なんてこった。俺には父親がいて、だのに理解しあえ
 なかった。母がいた。だけど、まったく記憶に無い。」
"I find out a few days ago that I have a brother,
 and I wanna be with him, and I'm supposed to give him up?"
 「そのうえ、ほんのこの間、兄貴がいることがわかって、だから 
 レイといたいだけなのに、レイもとりあげられるのか?」

この言葉のなかに、家族がありながら、家族から離れてひとりで
生きてきた、彼のせつない思いが、伝わってきます。

"This is my family! Do you understand that?"
「家族なんだよ! わかってくれないのか?」

"Yes, you do have a brother."
「そう、君には兄がいる」
" But the point is, he's not capable of having a relationship
 with you."
「だが、大切なことは、レイには君と人間関係を築く能力を
 もちあわせていないということだ。」

"Look, you cannot take on the responsibilliy of your brother
 without professional guidance."
「専門家の指導なしに、彼の面倒をみる責任は負えないのですよ」

"So last week you were upset and then this week you've
 suddenly found some devotion to your brother, and you wanna
 take care of him for the rest of your life?"
「つまり、先週はあなたは、動転して、今週になって突然に
 兄弟愛にめざめたということですか。そして、生涯にわたって
 彼の面倒をみていきたくなったということですか」

医師のことばは、なおも冷たく続きます。
"Well, now don't feel compelled that you have to be difensive
 about that period."
「いえ、無理に旅のあいだのことを言い訳しなくてもよいのですよ」

"See, you have to understand that when we started out together that
 he was only my brother in name.
「いや、分かってほしい。最初は、名前だけの兄弟だったのだ」
必死に説明を続ける彼に、レイが口をはさみます。

" And, this morning we had pancakes."
 「そして、今朝、一緒にホットケーキを食べたのさ」
"Maple syrup on the table. And Charlie Babbit made a joke."
「メープルシロップが、テーブルにあって、チャーリーが冗談をいったのさ」
 チャーリーがいいます。
"You see, we... I made a connection."
「そうなんです。気持ちが通じたのです。」

だけど、これでは、支離滅裂ですね。後見人たちにとっては。


"I think it's very admirable that you made a connection, but
 I think the purpose of this meeting is to determine what is 
 best for Raymond; whether or not he's capable of functioning 
 in the community and what, in fact, he wants, 
 if that's possible to determine."
「貴方が気持ちが通じ合えたということはそれは感嘆します。
 だがレイにとってどれを取るのが一番なのかということが、話し合いの
 目的でしょう。 社会に適応できる能力があるのがないのか。
 つまり、彼が、それを望んでいるのかということが。
 彼に、意思決定の能力があったとすればですがね」

ということでレイに質問があびせられます。
チャーリーとともに、LAにいくのか。
それとも、療養所に帰るのか。
彼はどちらも選択できずに、チャーリーとウォルブロックの
療養所にいくと主張するのです。
繰り返しの主張に、チャーリーは、もうあきらめます。

ここは以前の彼なら、自分の方に答を引き寄せようとして
強引につづけるのでしょうに、専門家たちが、むしろ無理強いをして
チャーリーのほうが、先に折れるということは、彼のほうが
今や、レイに対して、思いやりをもっているということでは
ないでしょうか。

"Don't worry, there's not gonna be any more questions, okay?"
「もういい。もう、質問はおしまいだ。いいか?」
 "I'll make sure of that."
「約束するよ」

"Yeah, my main man."
「ああ、僕の親友」
 
 "Listen...Ray, I don't know if I'm gonna have a chance to talk
 to you again. 
「なあ、レイ。 君とまた話せる時がくるのかわからないけれど」

 " Because you see, these, uh..Dr.Bruner really
 likes you a lot, and he's probably gonna wanna take you back
 with him. You know?"
「どうしてかというと、なあ、ほら、ブルーナ先生は本当に君のことが
 すきで、君をつれてかえりたがってるからね?」

"Ray, I just want you to know that what I said about being 
 on the road with you I meant, and...connecting.
「レイ、わかってくれ、旅の間に、いったことを、その、通じ合いなんだ」
 

"I like having you for my brother."
「レイ、僕の兄貴でいてくれて、よかったよ」

このセリフは短いけれど、とってもよいですね。
日本語と言い回しが違うけれど、とても、すてきな英語だと
思うのです。


"I'll see you soon."
「すぐにまた会おう」
"Yeah. One for bad, two for good."
「ああ。良い方に一枚。悪い方に二枚」
カジノでのセリフがとびだす、レイ。
それに対して、なおもやさしく、相づちをうつ、チャーリー。
"Bet two for good."
「幸運に、二枚かけるんだぞ」

"It's three minutes to Wapner."
"You'll make it."


「ワープナーの番組まであと、3分だ」
あくまでも日常にこだわるレイにたいして
やさしく「間に合うとも」と、答えるチャーリーの
笑顔。

最後の会話の醍醐味はストーリーをじっくり見つめた人だけが
味わえるのではないでしょうか。
とげとげしかった、2人の会話が、ひとことで
通じ合えるのです。
これこそ一週間の旅のマジックです。

この短いやり取りの仲にふたりが遂には兄弟として
気持ちが通じ合ったことがあらわれてるのです。

ながい、空白の時を超えて。
治療不可能の、脳の障害を超えて。

このなんでもないストーリーはアメリカ全土に
自閉症の兄とその弟の物語ということで
さまざまにとりあげられました。
社会的な問題をまじめに扱ってるということで
さまざまな賞もとりました。

けれど、なにげないやりとりのくりかえしに、
ふたりの間に笑顔が生れる。
そして ついには、別れるにもかかわらず、
やはり、空間を超えて、通じた愛があふれる
最後の場面が、とても印象的ですきなのです。

地味だけど、アメリカがいっぱい。
地味だけど、人間関係のマジックがいっぱいの
この映画、やはり一番好きです。

音楽もまた、旅情にあふれてて素晴らしかった。

That is all-----!!!!(Dec.23, 1997)




<あとがき>
よ・・ようやく、書き終えた・・。
軽々しく、スクリプトなど解説するもんでは
ないということですね。
この一年長かった。
ホームページの宿題なんて
来年までかかえたくなかったから
頑張れたのですけどね。
大好きな物語について、ファイルを書きながら
場面を思い出し、セリフの声や表情を思い出す
ことは結構楽しい作業でした。

でも、自分が知りつくした物語だから
自分はわかっていても、
見に来た人は、読んでいて
意味不明な個所が、あちこちにあるかもしれない。
また、指摘して下さい。
ともあれ、
こんなところまで、来てくれた方本当に感謝!
</あとがき>



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