草戸千軒

権門

けんもん

 本来は、勢力のある門閥・家柄という意味ですが、歴史学の概念としては、日本の中世国家における支配機構を示す言葉として使われます。そして、その支配体制を権門体制などと呼んでいます。
 日本の中世社会において支配層として勢力をもっていたのは天皇家・摂関家やその他の公家、寺院や神社、幕府を頂点とする武家などです。これらはいずれも荘園という経済基盤をもち、それぞれ別個の機構によって組織された集団でした。当時の政治は、こうした諸勢力が相互に協調・補完したり対立・抗争することによって維持されていたわけです。そして、天皇は権門の一つであると同時に、諸権門の勢力を調整し、その頂点に立つ国王としての役割を果たしていました。


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1996-1998, Yasuyuki Suzuki, Fukuyama, Japan.
Last updated: May 26, 1998.