朝日連峰縦走

朝日連峰行


2005年8月14日〜17日
参加者:漆戸、三宅、冨士、野上、小松崎、大寄、竹辺の七名
8月14日 お盆の帰省客などで賑わう朝の東京駅に集合する。野上さんは名古屋から早朝の新幹線で駆けつける。 大寄さんは大宮から乗車し全員そろい、福島から山形へ。山形で弁当を買い左沢(あてらさわ)線に乗りこむ。この辺りは果物の多いところでフルーツラインと呼んでいるようだ。地域によって果物の種類が異なるようである。寒河江の近くでは有名なサクランボの背の高いビニールハウスが目立つ。乗り合わせた地元の方に「あてらざわ」の由来を尋ねたが「あちら」から来ているとの説もあるがよく判らないとのこと。寒河江(さがえ)も変な読み方だねと笑っておられた。
左沢でバス(会員制)に乗る。バスといっても実体はジャンボタクシーでこの日は定員の9名をオーバーし急遽タクシーを呼んでいた。ジャンボタクシーと普通タクシーに分乗し朝日鉱泉に向かう。道はやがて未舗装の山道になり鉱泉に到着。朝日鉱泉ナチュラリストの家は旧朝日鉱泉を移築したとかで廊下、階段が広くしっかりした建築である。部屋に落ち着いたあと風呂を楽しむ。しばらくは風呂ともお別れである。夕方から雨模様。
夕食のあと「今日は羽虫が大発生するかも知れないので一時的に消灯します」との事であったが暗闇の中で虫の襲来を待ったが雨のせいか空振りとなってしまった。雨は結構強く夜通し降り続いていた。


朝日鉱泉ナチュラリストの家 大朝日岳頂上にて
8月15日
4:00起床 雨。朝食のおにぎり弁当を部屋で食べながら様子をみる。当初予定のコースは渡渉があるのとコースタイムも長いためコースを中ツル尾根経由にに変更して 6:00出発とする。雨はひどくはないが降り続いている。道は谷沿いに所々で吊橋で対岸に渡りながら続く。勾配はほとんどない位の登りであるが温度が高く雨具の中は蒸し暑い。
出会と呼ばれるところは水汲みの適地という事だったが今日は水がにごって飲用には不適であった。
9:00二股を通過する。ここから尾根にとりつき急な登りとなる。
10:25長命水。この辺りには大きなブナの木が多いのだが根こそぎ倒れているのを何本も見た。最近強風でもあったのか。長命水への下り口にも倒木があって降りにくそうだがここが最後の水場らしいので水を補給する。雨は相変わらず降り続いている。予報では午後になると止むといっていたがどうだろう。幸い風はない。登りになって雨具の中はサウナ状態でまるで泳いでいるようなものである。雨具の上着を脱いで傘にするといくらかましである。森林限界を抜け尾根を登っていく。ハイマツが美しい。
15:10大朝日岳頂上。雨はほとんどやんだがガスで視界なし。ここで大寄さんが南以来のフルーツ缶を取りだす。今回はフルーツ蜜豆。みんな元気が戻る。
15:40大朝日小屋。小屋の前にはタカネマツムシソウ、ミヤマシシウドなどの花が沢山咲いている。小屋は今日は40数名とかでかなり混んでいる。2階が寝場所になっており私達は上段のいってみればカイコだなという感じで、夜は暑かった。食事は一階のスペースを使う。水は近くの雪渓まで汲みにいく。今日のメニューはスパゲッティ。流石小松崎食事担当である。夕方天候が回復して夕日が差しこむ。辺り一面が紅になり周囲の山が見えてきた。あれが月山と教わる。


大朝日小屋の前で ニッコウキスゲ
8月16日
4:00起床。朝食はお餅。6:00出発。雨は降っていないが霧で視界はあまり効かない。中岳はやや右よりに捲くように越えていく。所々で小さな湿地があったり、ニッコウキスゲの群落がある。
7:35西朝日岳。本当の頂上は縦走路から離れたところのピークという事であるが立派な標識が立っている。 竜門山はあまり目立たない山頂である。すぐ分岐となりひと下りしたところで 8:50竜門小屋につく。ちょうど小屋番の人もいて大休憩とする。小屋の前に水場がありホースから水がたっぷり流れその先にビールが冷やしてある。バケツの中をくるくる廻るスーパードライは非常に魅力的であるが先の行程を考え涙を飲む。この辺りから先の寒江山にかけてはとても花の多いところである。ミヤマリンドウのとても濃いブルーが鮮やかである。ちょうど天候も回復し日差しが出てきて花も開いてきた。黄色で目立つのはミヤマアキノキリンソウ。この名前にはひと悶着あった。その他ハクサンイチゲ、シャジンなどなど。またハイマツ、笹も多いが背が低くとても穏やか。
竜門小屋の管理人のかたはとても穏やかな方でいろいろ話し好き。花の名前をいろいろと教わる。今年は天候のせいか花の色が濃いという。太陽の日を見たのは十日ぶりとか、今年の東北は雨が多いらしい。そのせいか草木が青々としているようだ。また竜門小屋は水洗トイレである。小屋の前の黒い砂場のようなところは汚水を処理するための設備だそうだ。漆戸さんの豊富な食料を少し貰っていただく。


南寒江山にて 北寒江山に向かう

ミヤマアキノキリンソウ ミヤマリンドウ
10:30南寒江山の頂上は花に囲まれたドームである。ミヤマリンドウ、タカネマツムシソウ、シラネニンジン等が一面に咲いている。ヒナウスユキソウも地味な花を見せていた。天気もよくなり日差しが暑い。とんぼが多く飛んでいて夏ももう終わりの気配である。 寒江山、北寒江山越え、三方境で天狗角力取山への道を分ける。
11:50狐穴小屋は前に沢があり水が豊富な所である。ここで昼食とする。ラジオを聴いている人がおり東北で地震があったことを知る。
狐穴小屋からはきれいな笹原をいくところが多い。その中にクルマユリ、ハクサンフウロなどが咲いている。ハクサンフウロの色があまりに鮮やかなため他の種ではないかと議論が湧いたがここではハクサンフウロという事にする。中先峰あたりからは以東岳が大きく横に広がって見える。


以東岳に向かう 以東岳頂上にて

アオノツガザクラ イワショウブ
14:30以東岳から大きく左に張りだした尾根上の松虫岩につく。この辺りでは珍しい岩である。 15:10以東岳に到着。ここではミカンの缶詰をあける。他の登山者も少なく静かな山頂である。
15:40以東小屋につく。小屋番の若い子が地震が心配で電話をしたいので携帯電話を貸したがつながらなかった。 今日は私達の他には3人だけで2階部分を貸しきりとなった。小屋から東沢へ下ったところに水場碧玉水がある。水は豊富である。また雪渓もあり雪をとってきて念願のかき氷をつくる。富士さん持参の発泡ジュースはなつかしい味がした。 ここの斜面にはチングルマ、アオノツガザクラ、イワショウブ、キンコウカなどがあった。小屋の前のテーブルで今回のメインディッシュであるウナギのチラシ寿司を食べる。山では始めての料理である。小松崎さんの閃きのおかげである。
夜中に起きてみたら外は満天の星で銀河が大きく見えていた。あいかわらず星座は良くわからない。


大鳥池へ下る 8月17日
4:00起床。5:30出発。大鳥池からの直登コースを下る。しばらくは広い草原を下っていく。天気も良く熊の敷き皮を広げたようなという大鳥池が美しい。遠く北の空には鳥海山が見えていた。やがて道は急な下りとなり雨による侵食が激しい。
7:40大鳥池、東沢につく。とてもきれいな水が豊富に流れている。大休止。
大鳥池に沿っていく道は結構悪路である。8:50大鳥小屋。小屋の前から大鳥池越しに以東岳がそびえ今日発って来た以東小屋も良く見える。朝日鉱泉でも一緒だった2人連れとも再会する。小屋の裏手から七曲がりの下りに入る。大きなブナの木が多い。やがて大鳥川沿いに下る。青色のきれいなアジサイが所々に目立つ。ミヤマクワガタもいた。
12:10泡滝バス停。2時間ほどのバス待ち時間は沢の水で汗を拭き着替えをする。
やがてバスが来る。途中大鳥の朝日屋で切符を購入し上田代までいく。何もないところでこんなところで良いのかと心配になった頃に鶴岡行きのバスが来る。鶴岡からは「きらきらうえつ」という全車指定の快速に乗る。ここでは野上さんが難しい質問をして車掌を困らせていた。列車は日本海を見ながら南下し新潟の手前で日没。ここまでは順調であったが肝心の新幹線が地震の後遺症だか大混乱で東京には2時間ばかり遅れてつき深夜の帰宅となった。野上さんは久しぶりの夜行を満喫し(?)翌朝の帰宅となった。

竹辺 記

朝日連峰行き写真アルバム