熊野古道 (小辺路) 堪能の旅

熊野古道 (小辺路) 堪能の旅


熊野古道(小辺路=高野山から本宮大社まで)を、4月11日から14日までの4日間かけて田中純さん、大坪さんと三人で歩いて来ました。世界文化遺産の紀伊山地を堪能すると共に、大雲取越え・奥掛けもと、思わせる旅でした。10日の田中純さんと歩いた明日香村・兜さんに案内してもらった高野山と、これまた兜さんにすっかりお世話になった14、5日の熊野三山、瀞峡、南紀の記録と併せ作成しました。
前段  明日香村歴史散策、高野山山内探訪
参加者 明日香村	田中純	冨士				2名	
	高野山	兜	大坪	田中純	冨士	(川原さん)	4名	
行動記録
4月10日 田中純、冨士は、前日の新宿 23:00発の夜行高速バスで出立。近鉄奈良駅に 6:40着。駅前では店が開いておらず、已む無く橿原神宮駅へ移動。コインロッカーに荷物を預け、駅構内で軽食をとり、飛鳥駅へ。
明日香・石舞台
8:00 雨の残る中を明日香村散策スタート。欽明天皇陵、猿石、鬼の雪隠・俎、天武持統天皇陵、亀石等石造物を観ながら、壁画模写を展示する高松塚壁画館に 9:00着。 (古墳は改修中)このころ雨も上がり、桜が満開の橘寺から石舞台、西国33ヶ寺の岡寺へ 
11;00着。酒船石・亀形石造物を観て、日本最古の寺・大仏と云われる飛鳥寺へ。朝から歩き回りお腹が空いたところで、近くの万葉文化館の食堂で昼食にありつく、12:20。食後甘樫の丘に登り、大和三山(香具山・畝傍山・耳成山)、明日香村を望み、如何に狭い範囲で飛鳥の諸宮、藤原宮が営まれたかを実感。
橿原神宮駅に戻り、14:02発難波行き急行に乗車、古市、河内長野経由で、南海高野山駅に16:05到着。早めに高野山駅に着いていた大坪・兜に合流。兜は、九度山から高野山町石道(里程標の町石が連なる立派な道)を登って来たが、雨には降られなかった由。
兜さん知人の川原さんの運転で、本降りの雨の中、高野山の大門、根本大塔、金剛峰寺(拝観時間を過ぎており外から)を案内していただく。 中の橋から、戦国武将、大名、著名人等の供養塔が立ち並ぶ道を奥の院まで歩く。 著名企業の物故者慰霊塔・戦没者慰霊塔・阪神淡路大震災物故者供養塔等 時代を問わず建立されており、弘法大師・高野山への信仰の深さが窺い知れた。
18:00 今夜の宿、そして小辺路のスタートとなる宿坊 別格本山 普賢院に入る。日帰りする兜と別れ、入浴・食事(精進料理)を済ませ、21:00就寝。
本番	熊野古道 小辺路
参加者	田中純	大坪	冨士			3名	
行動記録

4月11日 高野山 ― 薄峠 ― 水ヶ峰 ― 大股 17.2km

(第1日)>br> 6:00 起床。同宿の高校生が騒がしかったが、睡眠時間は充分に取れた。
6:50 朝のお勤めに参加(念仏・焼香)、院内にある仏舎利を拝観後、朝食となった。今日の行程は、810mの高野山から950mの薄峠へ、そして650mの大股迄。
8:00 少し霧雨が残っていたが、本宮大社に向け第一歩を踏み出した。山の上から標高800mの高野山を観て、ここを開いた弘法大師の凄さを感じた。金剛三昧院入口から熊野古道に入り、順調に大滝口女人堂跡 8:30、薄峠 9:00、を超え、丁石に 9:20。更に、高野槙が植林された山間の大滝集落に降る。 (高野槙の枝は仏具用として高野山に収めるものと知る) 登り返して高野龍神スカイラインに合流 11:20。
 スカイラインの野迫川分岐で、青空になり小休止 11:30。スカイラインから水ヶ峰分岐で分れ、タイノ原林道に入り今西辻付近で昼食 12:10。昼食は、団体客で忙しかった普賢院が用意してくれたコンビ二おにぎり。重機の入った道は快適で、平辻 13:00経由大股バス停まで順調に降り、宿に電話。本日の宿の民宿かわらび荘から迎えの車が来て、予定より早く 14:00到着。あまごのつり宿で最近熊野古道の客も増えた由、夜はあまごに鴨鍋のご馳走だった。 同宿者は、今朝大阪から出立したツアー客6名で、17:00着だった。我々と同じ予定。
高野山・普賢院 薄峠

4月12日 大股 ― 桧峠 ― 伯母子峠 ― 三浦口 16.9km

(第2日)
6:00 起床。 8:00 出発。
桧峠(伯母子岳)
今日の行程は、650mの大股から1,200mの伯母子峠、そして350mの三浦口迄。萱小屋跡 8:50、桧峠 9:40、護摩壇山分岐 10:10経由、伯母子峠に 10:30。萱小屋跡までと伯母子峠手前の急な登りの他は、比較的歩き易いよい道だった。
田中純が降りに備え峠で待機中に、大坪・冨士は空荷でピストン、伯母子岳に登る。 頂上からは、護摩壇山、高野山方面、釈迦ヶ岳方面の展望が開け、天気も良く快適。
大休止・昼食(宿の弁当)後、11:40三浦口に向け出発。途中の巻き道は水場も多く 快調に歩く。一本の沢には残雪があり、1,000mの高度を理解した。
上西家跡(山中の旅籠跡) 12:40、水ヶ元茶屋跡(弘法大師坐像) 13:40 通過 三浦口バス停に昨年開業した民宿 岡田に 16:20到着。
上西家跡から伯母子岳登山口までの古道は何度か付替えられており、現在の古道は、 古い石畳道を再活用し、新しい林道を使う等、今までの林道主体の道から変更され、 大師坐像も新しい古道に最近移設されていた。まだ道自体が安定しておらず歩きにくい。 重宝した「和歌山県街道マップ 熊野古道 小辺路」もここの部分では間違っていた。 (明治以来使われてきたと記載された道は通れず、また坐像も元の位置のままである)
田中純が、途中の三田谷橋への急な降りで、疲労の蓄積から踏ん張りが難しくなり、 時間を掛けて降りることとなった。
民宿 岡田は、奥さんの里山の家庭料理が売りの釣り宿兼古道宿となっている。 また若い双子の娘さんが大阪からユーターンし、手伝うと云う意外な効果を生んでいる。 前日の大股では桜は蕾のままだったが、ここでは満開。山一つ・300mの違いは大きい。

4月13日 三浦口 ― 三浦峠 ― 矢倉観音堂 ― 昴の郷 18.5km

(第3日)
6:00 起床。 8:00 出発。
今日の行程は、350mの三浦口から1,060mの三浦峠、そして150mの昴の郷迄。 宿を出て、直ぐに立派な吊り橋を渡り、斜面の民家の脇を登っていくと段々と廃屋となり 最後に植林の中の吉村家跡となる 8:30、さらに急な登りで、三十丁の水 9:15。 この辺から緩やかな登りとなり、三浦峠 10:10到着。峠で幅広い林道と交差している。 三浦峠で先行の6人組と出会うが、入れ替わりで小休止する。
古矢倉跡 10:40、出店跡 11:20経由、矢倉観音堂 12:10着。昼食とする。 田中純の疲労回復が思わしくなく、途中より空荷で進むがペースダウンは避けられない。 何とか西中バス停に降り切り 13:20、河合神社までロード 13:50着。
今日宿泊のホテル昴に電話をし、田中純を車で迎えに来て貰い、車でホテルに直行。 大坪・冨士は空荷でロードを続け、ホテル昴に 15:10到着。
ホテル昴は、温泉プールもある新しい施設で若干場違いな感じもしたが、小辺路も3日 目、疲れを癒すに最適であった。また食事も温泉も素晴らしいものだった。
今日のロードの最後で少し雨に捕まったが、この3日間は歩くに絶好の天気であった。
三浦口・民宿岡田 三浦峠登り・吉村家跡の大木

4月14日 昴の郷 ― 果無峠 ― 八木尾 ― 本宮大社 14.6km

(第4日)
定例となった 6:00起床、8:00出発。(時間的余裕もあり早朝から温泉へ)  雨は峠を過ぎたが出発時刻には雨は上がらなかった。田中純は思い切って、峠越え を止め、十津川温泉経由で本宮大社にバスで移動することになった。
今日の行程は、150mの昴の郷から1,050mの果無峠、そして100mの本宮大社迄。今朝は、雨具を着け小雨の中、大坪・冨士の二人だけの出発となった。
柳本橋廻りではなく昴の郷から直接吊り橋を渡り登山口に。石畳の続く立派な道を登っていくと、尾根の上に拡がる果無集落だ。雨も上がり霧の中に現れた集落最初の家は何とも云えず幻想的であった。小さな水槽にいた大きな鯉、卵が流され、田で育ったと聞かされた金色の人面魚は御伽噺のようであった。
8:30雨戸を開け縁側の提供をしてくれた里人の好意は、大股以来同宿の6人に譲り、出立。更に進むと、高度800mの天水田 9:10(尾根の田圃で昔の百姓の苦労が偲ばれる)水量豊富な水場のある観音堂 9:40 小休止。 快調に歩を進めていたが、ここからは流石にペースダウン、漸く果無峠 10:10到着。
その後は本宮に近づく程、石畳道も整備され歩き易くなる。七色分岐 11:20、八木尾の林道出会い前の休憩ベンチ 11:50到着。昼食にする。八木尾バス停 12:20、道の駅ほんぐう 12:40、コーヒータイム。平岩口 13:00、 三軒茶屋跡 13:10、 展望台 13:40、祓所王子 14:00経由 本宮大社 14:10到着。
参拝後 14:20 本宮大社大鳥居前で、兜、田中純と再会。11日から一緒に歩いて来たツアーの6人が八木尾からバスで到着、健闘を讃えあった。兜の案内で4人揃って、熊野本宮大社旧社地の大斎原(おおゆのはら)を訪ね、34mの大鳥居の笠木にある三本足のヤタガラスの紋章を仰ぎ見る。林さん(兜の紹介)の出迎えを受け、お車でご自宅に招待される。定年後にこちらに移り住まれた林ご夫妻の心暖まる歓待を受け、旅の疲れも心身も癒される心地であった。
早朝の果無集落 大斎原・本宮旧社地

4月15日 熊野本宮大社 ― 熊野新宮大社 ― 熊野那智大社

本日の世界遺産熊野三山と秘境瀞峡を巡るコースに、新宮大社と熊野大社が含まれ、昨日の本宮大社と併せ、熊野古道・小辺路踏破の仕上げとして、熊野三山詣でをすることになる。 行動記録は後段に纏めて記載した。
瀞峡・和船巡り
							
後段	世界遺産熊野三山と秘境瀞峡と南紀を巡る						
							
参加者	兜	田中純	冨士	大坪	(左近さん)		4名
行動記録
4月15日 本日の行程は、本宮大社 ― 瀞峡 ― 新宮大社 ― 那智大社・青岸渡寺・那智の滝 ― 串本・橋杭岩、潮岬、すさみ・婦夫波 ― 南海和歌山市駅
6:00起床、9:00出発。左近さんが和歌山から車で、林さん宅まで迎えに来て頂く。熊野川沿いに国道169を下り、宮井で北山川を遡上、奈良県、三重県、和歌山県の飛び地が接する秘境瀞峡に向かい、玉置口の和船乗り場に 9:40到着。和船に乗船し、国の特別名勝天然記念物である瀞峡の奇岩巨岩を巡り、瀞八丁を往復した。(新緑の中、渓谷の深淵は澱んで物静かであった) 乗船時間 30分
国道168に戻り、新宮大社に 11:20到着。新宮大社に詣で、川原屋と称する茶店・土産物屋を覘く。店で聞いた近くの鰻屋で昼食。(評判通り美味しかった)本日中に広島に帰る大坪をJR新宮駅に送り 12:40、那智勝浦に移動。
那智大社大門坂 13:10着。熊野古道の情緒を醸し出す大門坂を歩いて辿る。那智大社 14:00到着。那智大社・青岸渡寺を参拝。冨士は、熊野権現のお札を戴き、田中純は、西国三十三ヶ寺納経帖に1番札所の朱印を戴く。青岸渡寺からの那智の滝は、朱塗りの三重塔を前景に素晴らしい眺めである。那智の滝 14:30、間近に見る滝は落差も大きく、水量も多く迫力満点であった。
那智・大門坂 那智大社・那智の滝

小休止して串本へ。橋杭岩 16:00、本州最南端の地 16:20、婦夫波 17:10経由 してこの後、一路和歌山市に向かって車を走らせ、和歌山市駅 19:30到着。 今回の長かった奈良・和歌山の旅を終えることとなった。
我々のため(兜さんのため)に、今日一日、早朝から夜まで、車を運転し、諸所を案内して頂いた左近さんには、感謝・感激でした。
田中純と冨士とは、予定通り 22:00発の南海バス夜行高速バスに乗り、翌朝、新宿・東京にそれぞれ無事帰着した。
冨士 記