荘川村日照開拓を訪ねて

荘川村日照開拓を訪ねて


2010年5月しばらくご無沙汰していた荘川村日照開拓の上田さんを訪ねようと思い立った。上田さんには1965年3月の春合宿以来度々お世話になっている。丁度OUWV50周年を期に発行された50年史が届き、その頃、私達もいろいろな事を考え活動していたことを思い起こし、その頃のメンバーに一緒に行かないかと声を掛ける事にした。SLだった純さんは残念ながらこの1月に亡くなっている。
霧八号を本棚から引っ張り出し当時のメンバーを確認し連絡を取る。結果6名の参加を得た。都合がつかなかった人4名、死亡2名、不明1名である。

5月2日 東京、大阪-荘川(日照開拓)

東京方面からは竹辺、百田、近藤拓の3名の参加である。連休真っ最中で混雑が予想されるため松本駅で落ちあう事とし6時前に藤沢を立つ。幸いたいした渋滞にもあわず9時過ぎに松本に着く。天気は快晴で常念、蝶が真っ白に見えている。百田さん、拓ちゃんはあずさで11時前に到着。安房峠(トンネル)、平湯峠をを過ぎてから明郷で昼食。高山は2時ごろ。当時本部になっていた天照寺を過ぎ市内へ。なんとか駐車場に車を入れ市内観光をする。高山といえば地酒、漬物である。今日の夜の為に入手。酒は高山の知人お勧めの「玉ノ井氷室」など。3時前に荘川に向かう。
予定の4時丁度に日照開拓に着く。溜池の土手を歩いているおじさん風の人達はだれかと思えば大阪からの3人(卜部、飯田、近藤勝)であった。う〜ん、歳月が過ぎたのを強く感じる。
宿に荷物を置き、上田おばさんを家に訪ねる。昔のアルバムを見ながら話が弾む。満州、日照開拓の話と尽きない。すっかり忘れていた事なども話題になり冷や汗。かっては12軒あった開拓村も今では3軒になったそうだ。
6時ごろから民宿の方へ移り食事、飲み会となる。山菜や岩魚料理を肴に氷室をいただく。これは旨い。上田清克さんも入ったりしながら話が弾んだ。2階の部屋に移りさらにミーティングは続く。なにしろ45年分の話であり時間がかかる。皆さんそれぞれの人生をがんばってきているのが胸にしみる。さらにワンゲルとは等にも話がおよび白熱。酔っ払いの戯言ではあるが相変わらず熱くなる。寝たのは3時過ぎ!

シャーレー日照前で上田さん達と 荘川桜

5月3日 御母衣-白川-馬狩

今日も良い天気に恵まれた。朝食の後玄関で記念写真を撮る。皆さんに送られ別れを惜しみながら御母衣に向かう。
荘川桜は5−7分咲きというところ。昔に較べ枝振りが随分立派になっている。観光名所になっており次から次へとバス、車で人が訪れる。さらにダム堰堤そばのトンネルを下り平瀬をとおり白川村へ向かう。随分道路が立派になっている。白川村入り口から新道を行き荻町の対岸の岡の上にある駐車場に車を止める。巡回バスでビジターセンターに降り橋を渡って荻町に入る。
沢山の観光客とみやげ物などを売る合掌造りふうの店で様変わりした集落を歩く。世界遺産の威力は凄い。こんな所で昔のような里入りをしたら追い返されそう。昔テントを張った小学校を対岸から望むが校舎も当然ながら新しくなっているようだ。和田家は300円の料金を取るようになっていた。以前会った人達はこういう変化をどう感じておられるのだろうか。でも押し寄せる人に悪意はないし村には活気がある。
次に馬狩へ行く。ここにはもう一軒も民家はなくトヨタの自然学校がある。閑散期であまり人影もない。上田さんからいただいた炊き込みご飯をいただく。周囲の山にはまだ雪が残り、三方岩の特徴のある頂上が懐かしい。食後大窪の方へ散歩する。我々が泊まった馬狩公民館はどの当たりだったのだろうか。杉林を抜けた大窪には一軒の小さな合掌造りの家がある。後で調べたらそれは大杉鶴平さんの蔵だったもので今は大杉さんの子孫の方が管理されているようだ。また大杉さんに「おめぇ達は相変わらずひでぇやつだ。しっかり調べてから来い。」と笑われそうである。
馬狩で東京組と大阪組は別れる。東京組は高山を迂回し平湯トンネルを経由して松本駅で解散とする。

白川村和田家 大窪、元大杉邸付近、右奥に三方岩岳を望む

感想

今回の訪問は創立50周年というイベントに触発されたものであったが当時のメンバーに接触し話し合うことが出来ていろいろと考えさせられることが多かった。当時の記録を読んでみて矢張り真面目に取り組んでいた感が強い。ややもすれば単純な山行き、温泉、飲み会に流れていたのを反省した。また年月の経過で大きく変化した自然環境にも考えさせられる。人類の活動による温暖化、生物多様性、自然治癒力の限界などこの45年で明らかになってきた課題も関係していると思う。今後の活動において随分お世話になったこれら「自然」にたいして何らかの恩返しが出来ればと考え始めている。
竹辺 記

追記 直後の5月7日、上田歌子さんは亡くなられました。長い間の有難いもてなしに感謝するとともにご冥福をお祈りいたします。

9期近藤さんのHP

竹辺写真集