薬師岳ー笠ヶ岳縦走登山

薬師岳ー笠ヶ岳縦走登山


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北アルプス 薬師岳ー笠ヶ岳縦走登山 (平成23年8月)

7期同期の3人が、8月22日~26日に、北アルプスの薬師岳から笠ヶ岳への縦走登山を しました。24日を除き連日の雨天に拘わらず、百名山3座(薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳) の登頂が出来たこと、雷鳥を度々見かけたこと、高山植物のお花畑が綺麗だったことが 何よりでした。24日は、奇跡的に北アルプスの全山がクッキリ見え、乗鞍・御岳に白山まで 望め、薬師岳からは富士山の姿までも見ることが出来ました。

参加者  大坪 金子 冨士  (3名)

行動記録

					
8月22日	10:12 東京駅発 MAXとき317乗車   11:28 越後湯沢駅着
	11:38 越後湯沢駅発 はくたか8乗車    13:40 富山駅着
	14:40 富山駅発 富山電鉄乗車       15:30 有峰口駅着
	15:45 送迎車で亀谷温泉へ         16:00 国民宿舎白樺ハイツ着
	18:00 夕食                20:30 就寝

金子・冨士は上越新幹線とほくほく線特急で、大坪は山陽新幹線と北陸線特急で富山駅に。 富山地鉄の有峰口駅には宿の迎えがあり、今宵の宿の亀谷温泉・国民宿舎白樺ハイツに。 宿は、登山の宿泊客と日帰り温泉客が利用するらしく、静かな良い宿で料金も良心的。 何とか持っていた空も雨になり、秋雨前線の北上で、明日からの天候が気掛かり。

有峰口・亀谷温泉 国民宿舎 有峰湖

8月23日	 5:00 起床 おにぎりの朝食         5:55 タクシーで出発
	 6:40 折立登山口着 登山開始       11:20 太郎平小屋着 20分休憩
	11:40 薬師平着              12:30 薬師岳山荘着 宿泊手続
	13:00 薬師岳ピストン出発 直ぐに断念   13:15 薬師岳山荘帰着
	17:00 夕食                19:30 就寝
前夜用意して貰った朝食用のおにぎりを部屋で食べ、ゲートの6時開門に合わせ出発する。 途中片側通行の箇所も多く、展望台で降り記念写真も撮ったりしたが、折立の登山口には、 35分で着いた。先行したタクシーの登山客4人に続いて、雨の中の登山開始となった。、 最初から急な登りが続くが、雨とガスとで見通しは利かず、ひたすら登っていく。直ぐに追越 したグループの他は、前後に登山客は居らず、途中からは下山客と擦れ違うことになるが、 悪天候の影響か、8月中なのに登山する人は少ない。
雷鳥初見 太郎兵衛平 予定より早く太郎兵衛平に着く。小屋の庇のあるところを借りて小雨を避け、昼食を食べる。 薬師峠のテントサイトから薬師平へは、小さな沢をグングン登るが雨の所為で水量が多い。 ペンキの印が多く、幸い岩は滑らないので助かる。疲れが出たところで、随分と早く薬師岳 山荘に到着する。一息入れて山頂ピストン出ようとすると、山荘の人から風が強くなるので 止めた方が良いと忠告される。雨は降り続いていたが、この時まで風で難儀していなかった ので、チャレンジすることにした。が、小屋を出たら直ぐ横殴りの雨風が顔を打ち、前が見え ない。更に暫らく進むと雹が混じり、風で身体がふらつき、登頂を断念せざるを得なくなった。 ホウホウの態で山荘に戻ると、断念したことは賢明な判断だと言われた。
身体を休めたり、同宿者と、今回の雨風のこと、是までの登山歴等を談笑したりして、時間を 過ごした。まずまずの食事と、ふとんを一人で使用出来たことが良かった。以降も同じ。
8月24日	 4:30 起床                 4:50 朝食
	 5:15 薬師岳ピストン出立          5:55 薬師岳頂上着
	 6:35 薬師岳山荘再出発           8:00 太郎平小屋着 10分休憩
	 9:55 北ノ俣岳着             10:40 赤木岳手前 20分昼食 
	11:35 中俣乗越着             13:05 黒部五郎分岐 頂上ピストン
	13:20 野口五郎岳頂上着          13:35 分岐からカール道下山
	14:00 カール下に着            15:05 野口五郎小舎着 宿泊
	17:30 夕食                19:00 就寝
夜通しの雨風で心配されたが、夜明け前から雨も上がり霧も出ていない。 勇躍、薬師岳山頂の登頂に挑む。山全体が判ると、この山の素晴らしさが実感出来る。 空荷でもあり順調に頂上に。登りの途中から、北アルプス全ての山が見得るのではないか と思う程好く見える。槍・穂高、水晶・赤牛、後立山、立山・剣、黒部五郎・三俣蓮華・双六に 乗鞍・御岳、白山と思しき山稜まで雲に浮かぶ。薬師岳からは遠く富士山がクッキリ見えた。 快晴下でもこれだけの眺望は望めない程の正に奇跡。曇天ながら空は高く、この眺望が 一日続き、最高の幸せを味わった。
薬師岳山荘で荷物を持ち、太郎平小屋に戻る。いよいよ黒部五郎岳に向け、縦走を開始。 太郎山・北ノ俣岳は眺望を楽しみながら快適に進み、赤木岳手前で山荘の弁当を食べる。 以前はおにぎりと決っていたと思うが、弁当は幕の内風で食べ易くなっており、何処も同じ。 中俣乗越から今日最後の登りとなる黒部五郎岳へ、流石に砂礫のジグザグ路は疲れる。 尾根の分岐点に荷物を置き、軽い気持ちで頂上に登るが意外とハード。明日のコースを 確認し分岐まで戻り、カール路を下山する。薬師岳ピストンに加え、予定通りの黒部五郎 小舎まで、ほぼ時間通りに辿り着いたのは流石で立派だった。
小舎では、同宿者が皆、思いも懸けず天候に恵まれたことを口々に喜び合った。

薬師岳頂上 薬師岳からの富士山

薬師岳・立山・剣・後立山 タテヤマリンドウ 中俣乗越
8月25日	 4:30 起床                 4:50 朝食
	 5:20 出立                 7:15 三俣蓮華岳頂上着
	 8:40 双六岳頂上着             9:30 双六小屋着 30分昼食
	10:00 双六小屋出発            11:10 弓折乗越・鏡平分岐着
	14:50 抜戸岳・笠新道分岐着        16:00 笠ヶ岳山荘着 宿泊
	16:30 夕食                19:30 就寝
夜半からの雨は小降りとはなったが、終日雨の予報。今日も長丁場、覚悟の出立となった。 三俣蓮華岳への登りは、少しは眺望も利き、着実に歩を進めたことで順調に頂上に達した。 その後、尾根道で雨が強くなり、双六岳頂上では休憩することもなく、双六小屋への急坂を 一気に降る。雨の中食事もままならず、双六小屋でうどんを頼み、土間で食事をさせて貰う。 一息入れて先に進む。途中の花見平では雪田は消えて無かったが、お花畑は健在だった。 また、極近くで雷鳥親子がゆっくり草の実を啄ばんでいるのを見ることが出来た。この後も 山道をちょこちょこと先行く雷鳥が何度も見られた。雨も嬉しい事を用意してくれるものだ。 雨の中、鏡平への分岐・弓折乗越を過ぎ、いよいよ笠ヶ岳へ突き進むことになった。
この先、小さな登り降りと大きな巻き道の連続で、疲労した身体に応えピッチは上がらない。 特に、秩父平からの直登と大きな山容の抜戸岳の巻き道は予想外に時間が掛かる。
やっとの思いで笠新道の分岐を通過し、最後の体力を振り絞り先に進む。抜戸岩の大岩の 間で最後の休憩を取り、笠ヶ岳山荘へ向かう。テントサイトから山荘までの、涸れ沢の岩の 上を登る最後は本当に辛かったが、朝5時20分から16時までの10時間40分の山行を、 無事終えることが出来、安堵感と達成感で胸が一杯になった。
今回、何れの山小屋でも客が少なく、乾燥室が自由に使え、雨天続きに大いに助かった。

黒部五郎岳頂上 双六岳通過
8月26日	 4:30 起床                 4:50 朝食
	 5:30 笠ヶ岳ピストン出立          5:45 笠ヶ岳頂上着
	 6:10 笠ヶ岳山荘再出立           7:25 稜線笠新道降り口着
	11:15 笠新道登山口着 10分休憩     12:15 新穂高温泉着
	13:30 松本直行バス乗車          15:35 松本着
	15:47 新幹線あさま乗車          18:36 新宿着
小雨の中、目的の一つの笠ヶ岳頂上に登るが、頂上では雨と霧で眺望はない。記念撮影を して山荘に戻り、身支度を整え下山開始。新穂高温泉への笠新道の分岐まで、昨日の道 を戻る。同じ雨の中とは云え、気分は違う。笠新道の分岐は抜戸岳に近い高い位置から 付けられており、抜戸岳南稜から高度差1400mを降ることになる。途中の花の多い杓子平 を除き、細かいジグザグ道が延々と続き、降っても降っても終わらない。雨は降ったり止ん だりに変わっていたが、石の多い急な道を降るには神経も使い捗らない。石が滑らないの が何よりだった。登山口のある左俣沢が見えるようになってからも長かったが、ほぼ予定 時間に下山することが出来た。新穂高温泉への林道は、ゆっくりのんびり歩くことが出来た。 新穂高温泉で高山経由で帰る大坪と別れ、金子・冨士は、松本行直行バスまでの1時間、 日帰り温泉で汗を流し、着替えもし、長くも充実した縦走登山を終えることが出来た。

霧の中の雷鳥 笠ヶ岳 笠ヶ岳頂上

反省 季節外れの秋雨前線の停滞と言う難儀の中、可也タイトな計画ではあったが、予定通り達成出来たことは、上出来だったと思う。実力を知ったもの同志、慎重且つ果敢に、事に当たったことが良かったと思う。
冨士 記

大坪さん写真集