ギアナ高地レポート  辻川(記)

11月11日-28日の18日間にわたってギアナ高地を旅行してきました。主な活動は5泊6日のロライマ山登山と2泊3日のカナイマ(エンジェルフォール)ハイキングの合わせて9日間です。残りの9日は、日本からロライマ登山基地ベネズエラのサンタエレナに入るのに4日、サンタエレナからカナイマ(エンジェルフォール)入口シウダーボリーバルに移動するのに1日、シウダーボリーバルから日本に戻るのに4日使いました。

参加者は、日本から辻川、小松崎、牧野(小松崎 友人)の3人。他はアンディ(スコットランド)、ヘンリック(ノルウエー)、アニリース(ベルギー)、エリー、マイ、ケビン(米国)、の合わせて9名。日本メンバー3名の平均67歳に対し、外国メンバー6名は平均39歳と親子ほどの違いがありました。

ベネズエラは乾季に入ったばかり、行く前は歩く速度、水(水質、雨)、虫(蚊)が心配でした。幸い歩く速度に関してはコースがほぼ一本道だったこともあり、外国人6名が常に先行し、日本人3名はガイドと共にゆっくり歩いたので苦になりませんでした。水に関しても人家から遠く離れていることから汚染の心配は少なく、最初はミネラルウォーターを飲んだものの、いつか川の水を平気で飲んでいました。雨も夜間はかなり激しく降ったこともあったものの、行動中降られたのは合わせて4~5時間程度でした。

虫は小松崎、牧野の女性陣は蚊取り線香、携帯虫避け器が功を奏し被害無かったものの、そこまでの備えの無かった私(辻川)は顔や首を30ヶ所ほど刺され一時ボコボコになりました。幸い日本の蚊よりは毒性が弱く数日で治りました。結果的に今回のギアナ高地旅行は天気にも恵まれ、蚊に刺されはしたものの全体としてとても満足のいく旅行でした。

以下にロライマ登山、カナイマハイキングの中味をレポートします。今回はデジカメの動画記録モードで沢山動画記録し、ロライマ山については38分、カナイマ(エンジェルフォール)については21分の記録ビデオとしてまとめました。また静止画も写真集としてまとめました。合わせてご覧下さい。

ロライマ ⇒ http://goo.gl/mR0tq

カナイマ ⇒ http://goo.gl/h3P6f

ギアナ高地写真集 ⇒ http://goo.gl/vUaE0

1日目 (11日、金)

成田(15:25)-デルタ航空-(13:50)アトランタ(17:30)-デルタ航空-(22:21)カラカス(23:00)-(23:30) カラカス市内ロイヤルホテル泊

カラカスに到着したのが夜10時半過ぎ、外貨交換所は既にクローズしていた。インフォメーションの女性も英語を殆ど話せない。ATMの前でウロウロしていると空港の公式案内人と称する男性が現れ英語で両替屋を紹介すると言う。両替レートも不明でちょっと心配だったが別の男が現れ1ドルを6BsF(ボリーバルフェルテ)で両替して呉れた。1ドル=78円とすると1BsF=13円。地球の歩き方’10-’11では1ドル=2.1446BsFとなっていて、実態と3倍の開きがある。

この男性はタクシーも紹介してくれホテルまで300BsF(=3,900円)と言う。いざタクシーに乗ろうとしたらチップ10ドルを請求され支払った。この男性はこのような仲介でチップ稼ぎしてるようだった。タクシーの運転手は英語を話さず、ロイヤルホテルの位置も知らなかったが、何人かの通行人に聞きホテルまで届けて呉れた。お礼にこの運転手にもチップ3ドル払った。我々は3人一緒だったので心強かったが、1人だと夜一人カラカス空港に降りるのはちょっと恐いと思う。なおロイヤルホテルの受付も英語を話せず、スペイン語圏では英語が通じないことを実感した。

2日目 (12日、土) 

昼間 カラカス市内観光、18:30 ツアー参加者顔合わせ、その後一緒に夕食

朝、ロイヤルホテル受付に行き、小松崎・牧野さんと会おうとしたが連絡が取れない。受付に聞いたが英語が通じず埒があかない。10時過ぎ、ホテルで朝食を終えまた受付に行ったら小松崎さんとばったり出会った。浴室が不調で部屋を交換して貰ったとのこと。

ロイヤルホテルはグランサバナ通りというカラカス一の繁華街の直ぐ傍だった。ツアー参加者顔合わせは夕方だったので、それまで3人でカラカス市内見物することにした。地下鉄で行ったが運賃は6駅を往復して2BsF(=22円)と信じられないくらい安い。ベネズエラは中南米一の産油国で、地下鉄やガソリン代などはとても安い。

地下鉄を降り、シモン・ボリーバルの生家と博物館を見学した。どちらも入館料は無料だった。シモン・ボリーバルはベネズエラが1821年にスペインから独立した時のリーダーで英雄として尊敬されている。カラカス空港は正式にはシモン・ボリーバル空港だし、通貨のボリーバルやベネズエラ東部の商業都市シウダーボリーバル、それにペルー、ブラジルの隣国ボリビヤの国名もこの英雄の名前から来ている。

18:30 ツアー参加者顔合わせがあり、初めてツアーの全貌が分かった。ツアーはカナダのG Adventures社(The Great Adventure People)の多国籍ツアーで、これは小松崎さんが何度も海外ツアーに出掛けている山仲間からエクスプローラー「地球探検隊」を紹介して貰い、そこの担当者からG Adventures社のこのツアーを紹介して貰ったものです。

ツアー参加者9名: 辻川、ケビン(米国、ノースカロライナ)、アニリース(ベルギー)、エリー(米国、ロサンジェルス)、ヘンリック(ノルウエー、ベルゲン)、牧野、小松崎、マイ(米国、サンフランシスコ)、アンディ(スコットランド、エジンバラ)+ツアーガイドのテリー(ベネズエラ、シウダーボリーバル)、ツアーガイド見習いのギブソン(=テリーの息子)

自己紹介と明日のスケジュルを確認後、全員でテリーの馴染みのレストランに夕食に行った。なおツアーガイドのテリーにドルを交換して貰ったら1ドル=7BsFで、1ドル78円として、1BsF=11.1円だった。

3日目 (13日、日)

ロイヤルホテル(6:00)-タクシーでバス乗場(7:30)-(14:30)エルティグレ、昼食-(16:05)オリノコ川-(16:30)シウダーボリーバル市到着、夕食(20:10)-バスでサンタエレナへ

朝6時にホテルを出てタクシーに分乗、シウダーボリーバル行きバス乗場へ。ベネズエラは鉄道がなく交通はバス主体。ガソリン代は1リットル3円とむちゃくちゃ安い。カラカス-シウダーボリーバルは約600kmだがこの間のバス代は108BsF(=1,200円)だった。

なお、バスに乗る際、荷物を見たら、スーツケースなのは日本メンバー3名だけ、後の6名はザクまたはダッフルバッグだった。なおベネズエラのバスは2階建てで荷物置場が1.4メートル位の高さにある。このためスーツケースを揚げるのに苦労したが、スコットランド人のアンディが見兼ねて?揚げてくれた。この後も彼は我々に親切だったが、後で6名中アンディ1人が既婚で他5名は独身なことが分かった。牧野さんは母親の育て方が良かったのだろうと感心していた。

4日目 (14日、月)

(6:30)チェックポイント-(7:20)シウダーボリーバル到着-(7:40)4WD社でサンタエレナの宿到着-(9:00)水晶博物館見学-(13:00)ランチのため集合-(13:30)ブラジルの焼き鳥屋で昼食-(14:50)カクテルを呑みながらおしゃべり-(18:30)ホテルで明日の打合せ

シウダーボリーバルからサンタエレナの夜行バスは暖房が無くとても寒く、フリースの上にダウンジャケットを被って寒さを凌いだ。600km 1200円ではそんな経費は出せないのかも知れない。現地の人は毛布を持込み被っていた。7:40にホテルに着いたが、ロライマ出発は翌日なので丸一日余裕がある。ただサンタエレナは人工1万人位の小さな町で余り見るべきものはない。ガイドのテリーの案内で水晶博物館を見学した。テーブルマウンテンでは水晶が採れるらしい。お土産に35BsF(=400円)で水晶を買った。

まだまだ時間はたっぷりあるので、テリーの発案でブラジル国境を越えた先のレストランでランチを食べることになった。レストランまでタクシーに4人ずつ分乗し15km/30分で着いた。国境には検問があり、パスポートも持っていったが実際にはフリーパスだった。タクシー代は1人10BsF(=110円)、ベネズエラのガソリン代が安いことが良く分かる。料理は100BsF(=1100円) 位だった。まだまだ時間があるので、ベネズエラ/ブラジル土産を買ったり、カクテルを飲んだりしてお喋りし16:00頃サンタエレナのホテルに戻った。今思えば、この1日は見知らぬ参加者同士がお互い顔馴染みになるために設けたようだ。18:30ロライマガイドのフィルバーグさんと顔合わせ。

5日目 (15日、火)

(8:00)朝食、荷物積込み(10:00)-4WDでパライテプイへ-(11:45)パライテプイ-(12:40)-テク川キャンプに向けトレッキング開始-(13:40)この日の最高地点1,365mで休憩-(14:45)川の傍でランチ-(17:00)テク川キャンプ場着(18:30)夕食、(20:00)就床

朝サンタエレナのカフェテリヤで朝食後、ポーターに預ける荷物と自分で持つ荷物に分け前者は2台の4WDの屋根に積み込んだ。ポーターには最大15kgまで預けることが出来、6日間の料金は1,440BsF(=16,000円)。僕はアンディと(900BsF:540BsF)でシェアした。6日間で約1万円なので安いものだ。小松崎・牧野組は半々でシェア。個人装備は、雨具、暖房具、水、おやつなど7-8kg位。ポーターはこれにテント、寝袋、シート、食料、食器類、自分の装備を持つので30kg以上担ぐと思う。

サンタエレナ、パライテプイ間は約95kmだが途中検問所を通ったり後半は未舗装だったりで1時間45分かかった。パライテプイはロライマ出発口でこの村まで電気が通っている。ここで各自登山登録し、12:40最初の宿泊地テク川キャンプに向けて出発した。出発に先立ちガイドのフィルバーグさんに我々3人は60歳以上で歩く速度が遅いと断った。予想に違わず、歩き始めた途端、6人の外国人と我々3人の距離はどんどん離れた。ガイドのフィルバーグとツアーガイド見習いのギブソン(テリーの息子21歳)は我々3人と付かず離れず歩いていた。なおテリーはロライマ登山には不参加。心臓の具合が余り良くないらしい。歩き始めにガイドのフィルバーグに聞いた所ロライマ登山者は年間3千人位、最高1日80人の時もあったらしい。

ところで旅行の前、インターネットでロライマの地図を探したが下に示す簡単な地図しか見つからなかった。旅行会社が呉れるかと思ったがそれもなく、欧米の参加者も誰も地図を持っておらず、日本から持って行ったこのように簡単な地図ですらとても感謝された。これを補うため、辻川はGPS S1という韓国ハンファー製のGPSロガーを、小松崎さんはGarminのGPSを持参した。これでルートは分らなくとも、自分達が歩いたトラック(=軌跡)は記録することが出来る。

17:00テク川キャンプ場到着。歩行時間は休憩を含め4時間20分と短いが、この日は初日で体が重い上、ロライマ付近は北緯5度とほぼ熱帯 グランサバナの草原歩きは木陰が殆ど無く、直射日光を遮るのは雲がかかった時だけ。帽子に加え日本手拭いを頭に被ったり首に巻いたりしたがそれでも暑く、テク川キャンプに着いた時はかなり疲れた。ガイドとコック長が中心になって作ってくれた夕食はスパゲティだったが量が多すぎたのと初日の疲れで半分位残してしまった。さて僕はワンゲルOB会の伝統に従いウィスキーを持参し欧米人達にもすすめた。アンディ、ヘンリック、ケビンは喜んで飲んだが、エリー、マイ、アニリースは飲まなかった。

テントは2人用が5張り。小松崎・牧野、マイ・アニリース、ヘンリック・エリー、アンディ・ケビンの組合せ。ガイド見習いのギブソンはツエルトを持参していたので、僕1人でテントを専有させて貰った。さて山に入ると気になるのはトイレ。アニリースがガイドのフィルバーグに聞いたところ、小(ピーと呼んでいた)はそこら辺で適当に、大は専用テントの中で椅子に座りビニール袋に出し消毒薬を掛けるとのこと。ビニール袋はポーターがサンタエレナまで持ち帰り。ロライマは世界自然遺産なのでこの辺りはきちんと対処している。でもポーターは仕事とはいえ人の排泄物まで持ち歩くので大変だ。

6日目 (16日、水)

(6:30)朝食、テク川キャンプ(7:40)テク川渡渉-(8:25)クケナン川渡渉(8:50)-(12:00)水場で昼食(12:50)-(13:45)ベースキャンプ-(17:40)夕食

この日は11km、標高差800mを歩く。キャンプを出て直ぐテク川、この川は幅5m、水深ふくらはぎ程度で割合楽に渡れた。次のクケナン川は幅10m、水深も膝の上までありテク川より流れがきつい。裸足になりガイドのフィルバーグさんに手を引かれ慎重に渡った。小松崎・牧野は準備良くフェルト底の沢シューズだったがやはり手を引いて貰った。若い欧米人達はさすがに一人で渡っていた。この川は雨期だと水深が胸位になるらしい。こうなると一般人にはまず渡れないのでロライマツアーの多くは乾季(11月~4月)に集中する。

クケナン川を渡った後もグランサバナの草原歩きが続き直射日光で暑い。4時間歩いて12:00にロライマから流れる川の傍で昼食。この辺まで来るとロライマ山の南西壁がだいぶ目の前に近づいてくる。昼食はサンドイッチ、サラダ、ジュース、パイナップルなどシンプルだが、美味しくいただいた。ジュースは生ジュースとはいかず粉末ジュース、パイナップルは缶詰でなく生のを運んでいた。

13:45 ベースキャンプ到着、標高は1870m。ここには台所と食堂を兼ねた屋根だけの小屋があった。30m位離れたところにテント場があった。この日、ベースキャンプに泊まったのは我々の他はドイツ隊(メンバー4名、ガイド1名、コック夫婦)の2パーティだけだった。

ところでドイツ隊のコック夫婦は赤ん坊連れだった。後で聞いた話しでは結婚記念日に仕事を兼ね赤ん坊連れでロライマ山登山したらしい。

テント設営後夕食まで時間があり、我々のパーティの欧米人やドイツ隊メンバーはベースキャンプから50m位の小さな滝壺で水浴していた。マイもアニリースも水着、ドイツ隊の女性などはビキニだった。僕も短パンに履き替え水につかったが水は冷たくとても全身つかる気にはならなかった。1870mの高所で水浴、やはり欧米人の方が日本人よりも寒さにはずっと強いようだ。

夕食後、アニリースか誰かの発案で、テント場から30m程離れた石の上に座った。話しをするのかと思ったら、全員がヘッドランプのスイッチを切り、真っ暗闇の中でただ静かに座っていた。テク川キャンプにもホタルがいたが、ベースキャンプにもホタルがチカチカ光を発していて、またカエルが鳴いていた。そんな中で自然の息吹を感じているようだった。このような山の過ごし方は僕には初めてでとても興味深かった。

7日目 (17日、木)

ベースキャンプ(8:15)-(10:05)ロライマ山南西壁-(11:00)南西壁展望台-(11:35)シャワー-(12:25)ロライマ山-(12:30)フライングタートル-(13:10)ロライマホテル到着

この日は夜中の2時頃からロライマに入って初めてかなりの雨が降った。幸い5時半頃起きた時には殆ど止んでいた。僕のテントは寝袋がちょっと濡れただけだったが、マイとアニリースのテントにはかなり水が入ったらしい。8:15にロライマ山上に向け出発、いつものようにヘンリック、アンディ達欧米人が先行、我々日本人3人はいつものようにスロー&ステディーで歩いた。途中でポーター達が追い抜いて行ったが、彼らは登山靴でなく長靴だったり運動靴だった。30kg位の荷物を背負っているにも拘らず我々の2倍位の速度で登っていた。まあ標高1300mのパライテプイに住む彼らにしてみればロライマ山は裏山のようなものだろう。

11:00南西壁展望台近くでガイドのフィルバーグとツアガイド見習いのギブソンが追い付いてきた。と言うより我々の様子を見ながらゆっくり登ってきたのだと思う。展望台の直ぐ後に滝の下を潜るので雨具を付けた方が良いというフィルバーグのアドバイスでこのツアーで初めて雨具上下を付けた。シャワーは続けて2ヶ所あった。ツアーガイド見習いのギブソンはロライマは初めて、明らかに山にも不慣れでザックの担ぎ方が悪く重心が後ろに片寄っていて、かなり疲れているようだった。牧野さんが親切にアドバイスし、ザックを担ぎ易くしていた。ベースキャンプを出て4時後の12:25ロライマ山の一角(降り口)に到着。ガイドのフィルバーグが「ようこそロライマへ」と我々を祝って呉れた。今回のギアナ高地旅行の主目的はロライマ山登山なので正直とても嬉しかった。

そこから5分、亀が空を飛んでいるような形のフライングタートル(飛ぶ亀)と言う岩屋で先行していた欧米組6名が我々を待っていた。予めガイドのフィルバーグがそこで待つように言ってあったらしい。一番先に着いたのはアンディで11:00到着とのこと。我々とは1時間半差。我々も結構がんばって歩いたのだが筋力のいる登りはどうしても年齢差が出てしまう。

ここからはフィルバーグが先導し、全員一緒にロライマホテルに向かった。”飛ぶ亀”で皆が待っていた理由は直ぐ分かった。ロライマ山上は岩山で日本の山道のように踏み跡が残らない。しかも山上はどこも似たような風景なのに道標はない。ロライマの崖には柵もないからうっかり迷うと崖から落っこちる危険がある。地図があればまだしも、インターネットで入手した地図は簡便すぎてホテルの位置までは分からない。13:10大きな岩屋の通称ロライマホテルに到着。ベースキャンプから我々日本人の足で約5時間だった。念願のロライマに登ることができ本当に嬉しかった。

8日目(18日、金)

ロライマホテル(9:05)-(9:25)ロライマ山頂2,810m()-(11:15)水晶の池-(12:15)滝(12:50)-(14:00)岩屋の下で昼食(14:50)-(15:30)ロライマホテル戻り

今日は1日、ロライマ山上を散策する。まずホテル眼の前のロライマ山最高点に登った。踏み跡のような道を辿り約20分で頂上2,810mに到着。標識はなくケルンが積んであるだけ。全員で記念撮影した。

頂上の後は、水晶の池、かえる、滝、覗き穴、ViewPointと周り、岩屋の下で昼食を取ったが、地図が無かったので歩いている時は、どこをどう歩いているのか分ららなかった。日本の山なら何か道標を設置してるところだが、ロライマには何もなくケルンが積んであるだけだった。岩屋から見た向こうの崖の沢山の滝とその前に掛かる虹、まるで夢のような景色だった。

9日目(19日、土)

ロライマホテル(7:07)-(8:20)滝のシャワー-(8:35)View Point-(10:30)ベースキャンプ(12:25)-(14:00)クケナン川(14:20)-(15:00)テク川キャンプ場

今日は、ロライマホテルからテク川キャンプ場まで約20km、高度差1,600mを一気に下る。昨日はロライマ散策途中の滝の辺りから雨が降り始めロライマホテルに戻るまで降り続いた。しかし雨のお陰であのような素晴らしい滝と虹を見ることができた。この日は、朝から雨、行動日の朝から雨なのは実はこの日が初めて。でも山で雨が降るのは当り前だし、昨日頂上に登った時は晴れ、時々曇で景色も良く見えたので、我々はとてもラッキーだったと思う。

来た道を戻り、恐竜のような岩屋、飛ぶ亀、滝のシャワー、View Pointと下り、10:30にはベースキャンプに到着した。一番若いヘンリックは9:15分着だとか。我々のグループ最年少の30歳、流石に元気だ。でも我々日本人も結構険しい山道を3時間弱で下りたので上々と思う。途中でブラジル隊8名と、カタルーニア隊3名とすれ違った。スペインかと聞いたらカタルーニアだと訂正していた。アンディはUKと言わずスコットランドと言うし、どうもヨーロッパ人は自分の住んでいる場所へのこだわりが強いようだ。ベースキャンプにはこれから登るらしい2グループが休憩していた。17日に我々が登った日はドイツ隊だけだったが、今日は全部で20人位登るようだ。

ベースキャンプで2時間かけてゆっくり昼食を取り、12:25にテク川キャンプに向け出発。アニリースがビッコを引きながら我々の直ぐ前を歩いていた。昨日も膝にサポータしており、膝を痛めているようだ。一緒に行こうと誘ったが、60~70代の我々と一緒なのはプライドが許さないのか一人で歩いていった。ベースキャンプからクケナン川までは高度差800m、距離8kmのグランサバナの下りで、来た時同様に日差しが強く暑かった。しかし若い連中に余り遅れを取るのも嫌なので余り休まず歩いたら1時間半強でクケナン川に到着した。若い連中はだいぶ前に着いたらしくまた泳いでいた。我々はゆっくりだが余り遅れないよう着実に歩く、若手は早く着いた分、泳いだり、休憩したりする、それで何となく折り合いがついているのだろう。外国メンバーと日本メンバーで平均28歳も年齢差があるので、どうなるかと思ったが何とかなって良かった。

前日、今朝と雨だったこともあり、クケナン川は3日前に来た時よりだいぶ流れが速くなっていた。来た時と同じように裸足になり、ザックを担いで渡ろうとしたら、危ないと思ったのかポーターが荷物を担いでくれ、僕はコック長の杖を借り、片手を取って貰って渡った。小松崎、牧野さん達も渓流タビに履き替え、同様に荷物を預け手を引いて貰い、結局3人渡り終えるのに20分かかった。天気が晴れで良かったが、これが雨で水流がもっと強いと渡るのにもっと苦労したことと思う。

7:00過ぎにロライマホテルを出て、昼食2時間をはさみ、15:00 宿泊地テク川キャンプに到着。実質6時間で標高差1,600m、距離20km弱歩いたことになる。下り一方と言え、まず順調なペースと言えるのではなかろうか。

3日前テク川に来た時は気付かなかったが、着いてみると先着した若手Gpがビールを飲んでいた。1缶20BsF(約220円)とのこと。サンタエレナでは7BsF(約80円)なので割高だが、日本の山に比べるとずっと安い。さっそく我々もビールで無事到着を祝い乾杯した。若いヘンリックは余程ビール好きなのか5缶か6缶飲んでいた。

10日目(20日、日)

テク川キャンプ場(7:25)-(8:30)お墓-(9:15)川辺でドイツ隊コック夫婦と会った-(10:15)見晴台-(11:20)パライテプイ(12:05)-(13:40)サンタエレナ戻り

本日はロライマ山最終日、テク川キャンプ場からパライテプイまで標高差300mの登り、距離12kmのグランサバナを歩く。1時間程で小さなお墓に着いた。このお墓は1年前の12月落雷で亡くなった20歳の若いポーターさんのお墓だ。実はこの時のロライマツアーには、僕のクライミング仲間の女性が参加していて、ポーターの1人が落雷で亡くなったことは聞いていた。その時はもの凄いスコールでテントもずぶ濡れ大変なツアーだったそうだ。遺体はその場に残し、ツアーは続行されたが後味が悪かったと言っていた。グランサバナで落雷に遭うと逃げ場が無いだけにとても恐いと思う。ポーターさんの冥福を祈ると共に、今回天気に恵まれ、また誰もケガや病気にならなかったことをあらためて感謝した。

テク川キャンプ場を出て4時間後の11:20無事パライテプイに到着。来た時と同様日差しが強く暑かったので着いた時は本当にホットした。入山登録した事務所で下山のサインしたが、驚いたことにここで荷物の抜き取り検査があり、小松崎さんはザック、ポーターに預けた荷物の両方をかなり細かくチェックされた。ベースキャンプ入口にロライマの動植物、鉱物持込禁止の看板が有ったがこのチェックと思う。そう言えば、出発前にガイドが英語で何かの書類を読んでいた。ぼそぼそした声だったので良く分らなかったが、今思えば、このことを説明していたのだと思う。ベースキャンプの看板にはアルコール持込禁止とも書いてあった。僕は気にせず平気で飲んでいたが、抜き取り検査で引っ掛かっていたら罰金など取られたのかも知れない。今後ロライマ山に行く人は要注意です。

パライテプイにはビールが無く仕出し弁当とスプライト・コーラーだけ。これにはちょっとガッカリした。しかしサンタエレナに戻ったらサプライズが待っていた。ツアーガイドのテリーがビールを用意して待っていた。 最初からその予定だったらしいが全く気付かなかった。

ベースキャンプでドイツ隊ガイドがロライマ山の詳細地図を持っていた。サンタエレナで購入したと言っていたので僕も購入しようとテリーに聞いたら、今日は日曜日で本屋は休みだと言う。日本では本屋が日曜で休むことは殆どないが、95%がキリスト教徒のベネズエラでは日曜休みが一般らしい。

追記:その後、シウダーボリーバル空港、カナイマ空港、カラカス空港でも地図を探したがロライマ山地図はどこにも置いていなかった。これからロライマ山に出掛ける人は、サンタエレナでウィークデーに地図を買うことをお薦めする。

なお、今回、日本で簡単な地図しか入手できなかったのを補うため、辻川はGPSロガー(韓国ハンファー製 GPS S1)を、小松崎はGarminのGPSを持参した。以下の軌跡はこれらGPSロガー、Garminで描いたもの。最後のスケッチは、ギアナ高地の権威 関野吉晴氏の写真集「カナイマ」からロライマ山、クケナン山部分を引用させて貰った。このスケッチによるとロライマ山上は魚のような形をしており、我々はその尻尾の一部を散策したことが分かる。ロライマ山を端から端まで歩くには数日は掛かりそうだ。

11日(21日、月)

サンタエレナ(8:35)-(13:30)昼食(14:20)-(18:35)シウダーボリーバル、DAGINOホテル(泊)

この日はサンタエレナからマイクロバスでカナイマの入口シウダーボリーバルに移動。700kmの移動に途中昼食を含め10時間掛かった。ベネズエラの南部は人口過疎地のため、途中の国道には交通信号がない。替りに町の近くでは道路に凸状の段差を付け、車が速度を落とさざるを得ないようになっていた。車の少ない地域ではけっこう合理的と思った。

8:35から15:00頃まで信号ほぼゼロだったが、シウダーボリーバル手前で大渋滞に巻き込まれた。ベネズエラはガソリン代が安い(1リットル5~10円)のため車が多い。それも結構、オンボロ車に乗っている。また日本のように横断歩道でも歩行者の手前で止まったりしない。雰囲気は中国に似ている。車が途切れた時を見計らって急いで渡った。夕食はホテルのレストラン。

12日(22日、火)

DAGINOホテル(7:00)-シウダーボリーバル空港(9:15)-カナイマ空港-(10:40)Wey Tepuiホテル-カナイマ湖で遊ぶ(14:30)-エルサポの滝-(17:40)Wey Tepuiホテル

ホテルからシウダーボリーバル空港は歩いて15分位。カナイマ行きの飛行機は操縦士を含め6人乗の軽飛行機なので先発4人は8:45、後発の我々4人は9:15に出発した。

1時間程でカナイマ空港に到着。出迎えの車の荷台に乗り10分で本日の宿Wey Tepuy着。ここでGap Adventuresのカナイマガイド フレディの出迎えを受けた。

カナイマは、四国位の広さのカナイマ国立公園の北西端にある小さな町で、世界最高の落差979mのエンジェルフォールのツアー基地になっている。カナイマ国立公園には、テプイと呼ばれるテーブルマウンテンが100位あり、エンジェルフォールはその1つAuyan Tepui(アウヤンテプイ、標高2,560m)から流れ落ちる。ちなみにAuyan Tepuiとは現地の言葉で悪霊とか悪魔という意味らしい。ロライマ山はカナイマ国立公園の南西端にありカナイマとは140km位離れている。NHKのグレートサミッツではエンジェルフォールの反対側からAuyan Tepuiに登り、2週間かけてエンジェルフォール上に出ていた。実際にも1ヶ月位かけてエンジェルフォールの上まで登るツアーがあるらしい。しかし大部分の人はカナイマからモーターボートでカラオ川、チュルン川を75km遡り、エンジェルフォール下まで行き、そこから標高差300mを1時間掛けて歩いて滝の真下まで行く1泊2日コースを選ぶ。

エンジェルフォールツアーは13-14日目で、この日の昼はカナイマ湖で泳ぎ、14:00からエルサポの滝に行った。あらかじめカナイマガイドのフレディから軽いハイキングに行くという話を聞いていた。ただ僕の英語力では、彼の英語の発音がはっきり聞き取れず、後で後悔することになる。

フレディの説明で僕が分かったのは、軽いハイキングでサンダルでも良い、雨具は不要というものだった。それで、僕はジーパンを履き、パスポートを尻ポケットに入れ、手帳やお金は小さなバッグにぶら下げて行った。ところが滝の入口に着き、外国人達が水着姿になるのを見て、初めて実は滝の裏側をずぶ濡れになって渡ることが分かった。確かに水着ならサンダルでも良く、ずぶ濡れが前提だから雨具は不要と言える。

 しかし、僕はジーパン姿だったので、かなり悲惨な結果となった。つまり、ジーパンはずぶ濡れになり、尻ポケットに入れたパスポートや小さいバッグに入れたメモ帳、お札もかなり濡れてしまった。エルサポ滝を潜り抜けると海外から来た6人は泳いだり、滝の水を浴びたりしていたが、僕はパスポート、メモなどが心配でもう一つ乗れなかった。17:40頃Wey Tepuiロッジに戻った後、彼らはまたカナイマ湖に飲みに行ったが、僕はジーパン、パスポート、メモ帳、お札を乾かすのに大わらわだった。

13日(23日、水)

Wey Tepuiロッジ(9:00)-(9:30)船乗り場-(10:00)サバンナ歩き(10:30)-(11:30)昼食(12:00)-(14:00)エンジェルフォール下船着場-(15:00)エンジェルフォール-(17:15)ラトン島キャンプ場-ハンモック泊

14日(24日、木)

ラトン島キャンプ場(7:45)-(9:15)滝(9:35)-(10:10)サバンナ歩き(10:40)-(11:00)船着場-(11:20)Wey Tepuiロッジ(11:50)-(12:00)カナイマ空港(14:40)-(14:40)シウダーボリーバル空港-DAGINOホテル-(19:00)Terryの家でパーティー-(21:00)DAGINOホテル

15日(25日、金)

DAGINOホテル(8:20)-シウダーボリーバル・バス停(10:00)-カラカス・バス停-(20:30)ロイヤルホテル

16日(26日、土)

ロイヤルホテル(6:00)-(6:20)カラカス空港(9:05)-(13:30)アトランタ空港-(14:30)アトランタのホテル

17日(27日、日)

アトランタのホテル(8:30)-(8:40)アトランタ空港(11:15)-

18日(28日、月)

-(16:00)成田空港-自宅