高天原行

高天原行


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7期同期の3人が、8月5日から9日に、北アルプスの雲上の雲ノ平・高天原を訪れる ため、それぞれ何回目かの北アルプス登山を実行し、楽しみました。
同行予定だった竹辺子息は、太郎平から薬師岳登山に変更し、日程を短縮しました。
夏空になるのが一日毎に遅れたことで、太郎平までは雨中の登山となりましたが、以降 晴天に恵まれ、花の季節に重なる、コバイケイソウの当たり年にも恵まれ、山と花の景色 を堪能する山旅となりました。また、高天原行きの目的、最奥の露天の温泉も最高だった。
参加者 : 竹辺父子、兜、冨士  4名

8月5日

15:30 富山駅集合 ― 送迎バスで亀谷温泉 ― 17:20 白樺ハイツ(泊)
竹辺父子と冨士は上越新幹線とほくほく線特急で、兜は北陸線特急で、富山駅にて合流。 宿の、5人以上のグループに対し富山駅への迎え、折立への送り、昼食付きがセットになる サービスをしており、他グループの2人と併せ、適用されることになり、割安料金が実現した。 富山駅から、大型バスに6名だけで宿に向かうことになった。途中で、雨に見舞われたが、 夕立だったらしく、宿に着く頃には一旦止んでいた。宿は、薬師岳ツアー客、日帰り温泉客 で賑わっており、気軽な温泉付宿泊施設としては、まず合格点が付けられた。

8月6日

6:40 送迎バス乗車 ― 7:20 折立登山口 ― 11:00 2196m展望ベンチ ―  12:40 太郎平小屋 ― 13:50 左俣沢出合 ― 15:40 薬師沢小屋(泊) 



生憎天気の回復が遅れ、雨中の出発となり、雨具・ザックカバーの完全装備を整え、登山 開始となるが、もくもくと登っていく他ない。折立に駐車する登山客も多く、抜きつ抜かれつ の登山が続く。高度が上がるとともに高山植物の花が増え、季節到来を期待させ、雨の降り も弱まってくる。下山してくる人との会話では、ずっと天気が悪かったが、コバイケイソウの 当たり年で、ニッコウキスゲとともに綺麗だったとのこと。大いに期待させる。確かに、三角点 まで登ると展望が開け、ニッコウキスゲ・コバイケイソウ他の高山植物の花が、疲れを忘れ させてくれる。天候の回復も見らる。ゆっくりペースで進み、木道の展望ベンチで昼食にする。 宿の手違いで用意されたコンビニ弁当を美味しく食べるが、食べ殻が最後まで荷物になる。
薬師岳山荘・薬師岳に向かう竹辺子息と、太郎平で別れ、薬師沢小屋へと先に進める。 道が整備され、木道の擦れ違いもあり、コバイケイソウの大きな群落に感激し、多くの高山 植物を同定しながら、ゆっくりと降って行く。左俣沢出合から先も、木道が、しっかりしていた。 幾多のコバイケイソウの群落には、次の7,8年後には来れないから、今回が見納めになる と言う思いと、それにしても花々を愛でる最高の時期に出くわしたことに感激した。
薬師沢が黒部川に出合う所にある薬師沢小屋には、既に登山客と釣り客が大勢到着して おり、静かな山奥の小屋とはいかなかった。食事は良く、1畳のスペースもまずまずだった が、上段のスペースは熱気が籠り、少し暑かった。夕方、ひと雨あったのち、晴れて谷間に 満天の星空が見れたらしいが、周りもあり、星の観測は明日にし、寝てしまった。

8月7日

5:30 薬師沢小屋出発 ― 8:00 雲ノ平・木道 ― 8:30 雲ノ平・アラスカ庭園 ― 9:30 雲ノ平・奥日本庭園 ― 9:50 雲ノ平山荘・高天原分岐 ―
10:50 雲ノ平 2575mP ―12:50 高天原峠 ― 14:00 高天原山荘(泊) 
  からまつ露天の温泉へ往復 (入浴)



今日は、本命の雲ノ平・高天原行。その為には、黒部川から雲ノ平までの急登をこなす必要 があった。泊り客のペースに従い、早朝に出立出来たが、小屋の前の黒部川に掛る吊り橋を 渡ると直ぐに、河原の岩を鉄梯子で登り降りする。このまま、河原を行くと大東新道となるが、 ここから、雲ノ平への文字通りの直登に継ぐ直登となる。足場は、岩がゴロゴロし、泥も堆積 する悪路で、2時間30分悪戦苦闘する。やっと雲ノ平の端っこの木道に出て、花々の咲く、 何々庭園と名付けられた雲ノ平の中を往く。雲ノ平山荘近くの花畑で、待望のクロユリを見 つけて、写真にも撮ることが出来た。ここからは、祖父岳の山麓に向け、コバイケイソウの 極めて大規模な群落があり、何処を見ても白い塊が続いている。
雲ノ平各所から、黒部五郎岳・笠ヶ岳、薬師岳・立山、赤牛岳・水晶岳を青空バックに観る。

雲ノ平のピークから、高天原峠への降りは長く、途中、森の道と称する樹林帯の道は、特に 酷く、尾根路を付替えて間もないのか、道が安定せず、降りなのに、時間と神経を使う。
高天原峠より、岩苔小谷に下り、幾筋かの流れを渡り、平地を進むと、池塘の拡がる高見に 高天原山荘があった。宿泊手続を済ませ、着替えを持って、往復1時間と云われる露天風呂 からまつの湯に行く。温泉沢の沢筋に引かれた露天温泉で、脱衣場付きの露天風呂が2つ あり、一方は女性専用で全体が囲われている。河原にもう一つ、浴槽が設えられているが、 こちらは、文字通りの露天で、引き込まれているお湯も高温で、桶で水を入れたのでは追い つかない。2日ぶりの温泉で、着替えも出来、念願の温泉で、さっぱりすることが出来た。
宿の象徴のランプが、部屋の常夜灯として夜間点灯されていたが、丁度良い明るさだった。 食後、暗くなるまでテラスで待って、星空を眺め、天の川を久し振りに見た。また、条件が 良ければ、人工衛星が数多く観られることも知った。流れ星も、観たような気がした?

8月8日

5:30 山荘出立 ― 6:30 水晶池 ― 9:30 岩苔乗越 ― 11:00 鷲羽岳 ― 12:40 三俣山荘 ― 三俣ー双六間 巻道 ― 16:00 双六小屋(泊)



相変わらず年配者の登山客が多く、グループ登山だけでなく、老夫婦二人・女性一人も多い。 今回、挨拶代わりにお互いのコースを確認し、情報交換をすることが多く、昨日は、黒部川 源流の遡行を含む大東新道が一頻り話題となった。倍の時間がかかり、18時過ぎに山荘に 着き、もう直ぐにも帰りたいと云う老夫婦もいた。(翌朝温泉に往き、我々と同じコースを下山 されたことを確認)、我々も気を引き締めて、なお且つ、ゆっくり確実に歩を進めることにする。
広い谷を、比較的緩やかな巻き道を辿り、1時間ほど登ると、水晶池への分岐がある。少し 降ると、比較的大きな池が出現し、池越しに水晶岳の山塊が一望出来る。足元の水際には、 逆さ水晶岳の稜線も映る。蚊・ブヨが居なければ、何時までも時の移ろいを感じていたい処 だった。まもなく樹林がまばらになり、雪渓が見られるようになると、廻り一面に、高山植物 が、これでもかと言うほど、数も、種類も多く、一々写真に撮っていては、一歩も、前に進め ない状態だった。中でもやはり、コバイケイソウの群落は見飽きることがなかった。
雲ノ平から祖父岳を経由してくる道と交差する岩苔乗越で、黒部源流に降り三俣小屋に行く のではなく、鷲羽岳の稜線を行くことに決める。この頃には、数日来、顔見知りになる人も 出来、特に同年輩の二人連れとは、一緒に歩くことになっていた。ちょっと厳しかったが、 鷲羽岳は、標高2924mであり、眺望は素晴らしく、穂高は雲がかかっていたが、槍は間近に 観られ、登ってきた甲斐があった。特に、槍を背景にした鷲羽池の景観は見応えがあった。 また、三俣山荘から見る、鷲羽岳は、素晴らしい山容をしていることを再認識した。
三俣山荘から双六小屋への巻道は、状況も良く、多少の登り降りはあったが、ゆっくりを モットーに歩く。双六岳分岐からの降りに多少てこずったが、無事、双六小屋に到着した。 天気も安定し、土日も控えて入山する登山客も増えてくるようだ。大人数収容する小屋は 設備も立派だった。ここでは、缶ビール(1000cc缶)を分け合うのではなく、各自生ビールを 注文して飲むことが出来た。

8月9日

5:50 小屋出立 ― 7:10 弓折乗越・小池新道分岐 ― 8:00 鏡平 ― 10:20 秩父沢越し ― 11:40 ワサビ平 ― 13:00 新穂高温泉着 ― 
13:15 乗合タクシー乗車 ― 14:55 松本駅 (食事後解散)



昨夜から薄雲がかかり、今朝も、雲は多いが雨の気配は無く、多少暑さ対策になるだろう。 尾根筋に雪渓の残る稜線を進み、弓折乗越から、鏡平に降るが、道は整備されており問題 はない。鏡平の小屋では、コーヒーを呑み、池に映る槍ヶ岳を待つなどと、余裕だったが、 そこからの降りは流石に長く、登ってくる人達を、立って待つのも休憩となった。秩父沢で 一息入れ、ワサビ平まで降る。此処では、冷えたトマト・リンゴを買って食べるが美味しい。
疲れた足を引き摺り、最後の新穂高温泉までの林道を進む。何とか、バスの時間まで余裕 を持って到着したが、温泉に入る時間は無かった。客待ちをしていた大型タクシーが、女性 を一人誘って、バス料金で松本まで行くと、客引きして来たので、乗っかることにした。車内 の天井も高く快適だった。予定よりも少し早く、松本に到着することが出来た。
駅ビルでお蕎麦を食べ、腹ごしらえしたところで、解散・帰宅の途についた。

感想
北陸の集中豪雨が収まらず心配されたが、登山初日の前半3時間ほど雨具を必要としたが その後、夏空に恵まれ、山奥の雲ノ平・高天原を堪能することが出来た。
雲上と云われるだけあって容易には入れないが、山小屋も多く、日数に余裕を持てば、まだ 可能性があることが判った。しかし登山となると、体調・体力の調整が必要と痛感した。 この時期、高山植物が一斉に咲き、楽園となり、花好きには堪らない季節と知った。
冨士 記

写真アルバム(竹辺撮影)