福本武久の著書

ボランティアを生きる　

			実業之日本社 2000年５月29日刊行 定　価　1600円 ISBN4-408-10389-6 　C0036 判型Ｂ６／286ページ 人間ドキュメント
			時計会社の『シテズン』が、その社名に引っかけて、無名ながら市民社会に感動を与えた″市民”に「シチズン・オフ・ザ・イヤー」として、顕彰する制度がある。本書は、「太宰治賞」受賞者でもある著者が綿密な取材を基に、ここ5年間の「シテズン賞」に選ばれた人物たちの感動ドラマを再現したものである。 　観光で立ち寄ったベトナムの街角で見かけた浮浪児たちに衝撃を受け、単身ベトナムに渡り、子供たちを収容する家の建設に当たった元・教師。今では、駅のプラットホームにあるのが当たり前となっている、盲人用の黄色い誘導ブロック。それは、東京・小岩で鍼治療院を営む、ある人物によって開発されたもの。ホームから何度となく落ち、″二度と落ちたくない”という盲人の立場から生み出されたものという。あるいは、愛知県のさる工業高校のクラブ活動から生まれた、画期的″電動イス。しかし実用化されるに当たっては、製造物責任法（PL法）にひっかかり、悪戦苦闘する……等々。せちがらい世の中に人間らしさとは何かを顧みさせる話が紹介されている。(「週刊 新潮」2000/７/06 書評より)