福本武久の著書

電車ごっこ停戦 

筑摩書房
1978年12月15日刊行
定 価 880円
0093-80180-4604
判型B6/187ページ
中編小説
「電ごっこ停戦」(第14回太宰治賞受賞作)「真夜中の哄笑」の2編を収める。

 精神薄弱の子供とその父親、母親とのかかわりの追及が中心にすえられていて、三者のいずれのなかに生まれる、ずるさ、薄気味悪さなどを、流したりすて去ることなく、出来るかぎり飾りを排除した文章によって、三者の対立、矛盾(これは現代社会の人間関係そのものともいえる)をよくとらえている。(野間宏評)
 「電車ごっこ停戦」は、障害児をもつ若い夫婦のかなしみ苦しみと疲労などを、露わにせずむしろ陽性に書いてゆき、その抑制がかえってその夫婦のい心情をうまく現す結果となった。この作品が群を抜いていた。(吉行淳之介評)

| INDEX | HOME |