福本武久の著書

地の歌人 三ケ島葭子 

新潮社
1986年06月10日刊行
定 価 1200円
ISBN4-10-348702-X C0093
判型B6/245ページ
伝記長編小説

  三ヶ島葭子は大正期に活躍した女流歌人で、特に晩年の歌作にはすぐれたものが多い。だが、人柄や家風が地味なこともあって、没後次第に忘れられた存在になり、一部の識者を除いてはその真価を知る人が少なくなっていた。彼女の苦悩に満ちた生涯を描いた伝記小説で、葭子の人と歌に対する一般的な関心を一層広めてくれるだろう。
 この小説には、奔放な恋愛と美貌ゆえに話題をまいた原阿佐緒に関する記述がかなり多い。葭子は全然タイプのちがう阿佐緒と親交が深かった。二人の対照を強調して作品の単調さを巧みに回避し、葭子の人間像を一層鮮やかに描こうと配慮したのではないか。(毎日新聞 書評より)
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