福本武久の著書

新島八重 おんなの戦い 



 
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角川書店刊
2012年08月10日刊行
ISBN978-4-04-110306-7
定 価:本体7430円(税別)

A6/240ページ
歴史人物ドキュメント
 まさに波瀾万丈というべきか。世にはまるで絵に描いたようだ、と眼をみはらされるような人生もある。新島八重もそんなひとりである。
 会津藩砲術指南役の娘に生まれた彼女は、明治元年(一八六八)の戊辰戦争で、断髪男装の出で立ちで、七連発の新式銃をとって籠城戦を戦いぬいた。女性でありながら近代兵器というべき銃砲に眼をけていた女性は彼女のはかにはない。
 戦いに敗れたあと、兄覚馬をたよって京都にやってくると、英語を学び、キリスト教にも接近、新島襄と結婚、洋装洋髪のクリスチャンレディーに生まれかわってゆく。密航青年と鉄砲娘の結びつき、それは、まさに日本の近代の幕あけであった。
 新島襄の死後は社会活動に身を転じ、日清・日露戦争のときは日赤の篤志看護婦として従軍、看護師は女性に適した仕事であることを実証してみせ、働く女性の先駆者となった。
 八重はまさに近代女性の先駆をなす存在といえるが、それゆえに近代と前近代との狭間に立って、女性ゆえの凄まじいばかりの戦いがよこたわっていた。
「女こども」とひとくくりにされ、女が人間であることをみとめられていなかった時代に、八重は自立したアクティブな女性として、果敢に颯爽とかけぬけていった。本書は当時の時代背景や、同じ会津女性で戊辰戦争の洗礼をうけた大山捨松や若松賤子の生きざまにも目配りしながら、八重の素顔に光を当てた歴史ドキュメントである。
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