[2009-10 駅伝時評プロローグ]



 ベルリン世界選手権での日本マラソン・長距離陣の成績をみて、やっぱり……と、ためいきをついたのは、つい先日のような気がしますが、今年もいよいよ10月、駅伝シーズンがやってきました。
 今シーズンもいつものように10月12日(月=体育の日)におこなわれる「出雲全日本大学選抜駅伝」から幕あけます。今シーズンから「横浜国際女子駅伝」がなくなり、1月に広島でおこなわれる「都道府県対抗男子駅伝」まで、およそ4か月にわたって、駅伝レースをみまもってゆきます。

 12シーズン目をむかえる当「駅伝時評」では、今季も、観戦レポートをアップしてゆきます。いわば時評子の備忘録ですから、観たまま、感じたまま書きつづってまいります。いつもながら、きわめて独断と偏見にみちた観戦記になりますが、よろしければおつきあいください。

 今シーズンからはAmebaでブログ版「駅伝時評Web」をスタートします。HPだけではすこし窮屈なので、Blogのほうで周辺エポックをひろいたいという魂胆からです。あくまで「駅伝時評」をキイ・ステーションにしますが、Blogで機動性をもたせようというのが、そのネライです。 あるいはBlog版のコメントが「時評」の速報的な役割を果たすことになるやもしれません。

 今シーズンも11月と12月は超過密スケジュールです。身辺にわかに多忙になった時評子としては、頭をかかえておりますが、まあ、出来るだけ早く、「時評」をアップするつもりです。とにかく今シーズンも駅伝に熱い眼差しをおくりたいと考えています。


■2009年 競技日程
・10月12日(祝) 第21回出雲全日本大学選抜駅伝(島根・出雲)
・10月17日(土) 第86回箱根駅伝予選会(東京・立川)
・10月25日(日) 第25回全日本大学女子駅伝(宮城・仙台)
・11月01日(日) 第41回全日本大学駅伝(愛知・名古屋)
・11月03日(祝) 第20回東日本実業団対抗女子駅伝(埼玉・さいたま)
・11月03日(祝) 第50回東日本実業団対抗駅伝大会(埼玉・熊谷)
・11月08日(日) 第25回東日本女子駅伝(福島・福島)
・11月23日(祝) 第21回国際千葉駅伝(千葉・千葉)
・11月23日(祝) 第25回fukuiスーパーレディース駅伝(福井・福井)
・12月13日(日) 第29回全日本実業団女子駅伝(岐阜・岐阜)
・12月20日(日) 男子第59回・女子第20回全国高校駅伝(京都・京都)
・12月23日(祝) 第6回全日本大学女子選抜駅伝(茨城・つくば)

■2009年 競技日程

・1月01日(祝) 第54回全日本実業団駅伝
・1月2-3日(祝) 第86回箱根駅伝(東京・箱根)
・1月17日(日) 第28回都道府県対対抗女子駅伝(京都・京都)
・1月24日(日) 第15回都道府県対抗男子駅伝(広島・広島)


待望! 若い力の台頭で政権交代を!!
(2009.10.02)
日本のマラソン・長距離の未来は!

 ベルリン世界陸上における日本のマラソン・長距離陣はあらかにめ予想したような結果に終わった。想定の範囲内の結果だから、惨敗とはいわない。
 男女をみわたして、メダルは女子マラソンの尾崎好美の銅メダル一個だけだが、それがはからずも今大会の日本勢にとって初のメダルとなった。
 ラスト1qで若い中国の白に振りきられたレースぶり、しかも28歳という年齢からみて尾崎は今後いったいどういう未来をイメージしているのか。マラソンランナーとして輝かしい未来はあるのか。メダルを獲ったがゆえに、おおきな正念場に直面してしまったようである。
 男子マラソンでは、北京で最下位だった佐藤敦之(中国電力)が、6位入賞をはたした。北京五輪のあの屈辱から、立ち直あがり、2人をぬいたラストの走りはほめてやらねばなるまい。
 だが……。連続入賞をはたしたものの、6位の佐藤(2時間12分05秒)と優勝したキルイ(2時間06分54秒)の差は実に5分とひらいていた。佐藤はトップのキルイとは別のレースを走っていたのである。
 日本男子マラソンと世界の差はますますおおきくひろがってしまったというほかない。 陸連幹部は「次につながる」などととコメントしていたが、ご冗談でしょう……というほかない。本気でそんなことをかんがえているのなら、それこそ救いがたいというほかないのである。
 日本のマラソン・長距離陣にとって、ベルリン世界陸上を経て、新しいスタートとなるのが今シーズンの駅伝である。日本の政治は政権交代を果たしたが、マラソン・長距離も若い力の台頭で、華々しく政権交代をはたしてほしいものである。


大学3駅伝も史上空前の大混戦か!

 今シーズンの駅伝レースのゆくえはまったくイメージできないである。さっぱり勢力図がみえてこないのである。
 男女の実業団、大学3駅伝ともに大混戦の様相である。激戦必至でたしかに観る駅伝としておもしろいものとなるだろう。なかでも、ひときわ興味をそそられるのは学生駅伝であろう。
 学生駅伝の頂点はなんといっても箱根である。出雲からはじまって、全日本、そして箱根となるのだが、レースそのものにくわえて、そのプロセスをチェックするのがおもしろい。
 緒戦となる出雲駅伝で各大学の戦略と戦術をみるレースであろう。ここで各チームのオーダーをのぞけば今シーズンの戦略が、レースぶりからは戦術がみえてくるだろう。短い距離をつなぐ駅伝だから、スピード力の勝負になること必至で、そうならば日大、駒澤大、早稲田に分のあるレースとなる。
 全日本選手権になると、これら3チームにくわえて、東洋大、明治大、中央学院大などがからんでくるだろう。
 メインの箱根駅伝は全日本がおわったときに、勢力図がはっきりしてくるはずだ。今回はなんと駒澤大、順天堂大、日本体育大学といったような箱根の覇者、さらに東海大をくわえた四強豪が予選会にまわっている。駒澤、日体などは本来ならば優勝候補の一角である。いったいどんなプロセスで本戦にのぞんでくるのか。興味津々である。
 昨年のプロローグにも書いたが、箱根は出雲、全日本ときっちりとステップをふんで調子をあげてきたチームのみが勝利する。現実にこれまでの箱根の覇者は出雲、全日本に出場して箱根にのぞんできたチームから出ている。どれかひとつを欠いていたり、あるいは予選会あがりからは、いきなり頂点にのぼりつめた例はほとんどないのである。
 いわばジンクスだが、今回もそういう観点から候補をしぼりこんでみよう。

▽出雲出場
日大、駒澤大、東洋大、早稲田大、大東大、中央学院大、山梨学院大、明治大、中央大、
▽全日本出場
駒澤大、早稲田大、山梨学院大、東洋大、中央学院大、日大、明治大、東海大、東京農大、専修大、中央大、青山学院大
▽箱根シード
東洋大、早稲田大、大東大、中央学院大、山梨学院大、日大、明治大、中央大

 現在のところ大学3駅伝すべての出場権があるのは箱根シード校うち大東大をのぞいた7チームであることがわかる。おそらく箱根の優勝はこの7チームのなかから出るだろう。ざっとみわたして昨年の覇者・東洋大と最後まできわどく迫った早稲田が今シーズンもかなりやりそうである。
 問題は駒澤大である。予選会まわりになっているが、実力的に上位とはそれほどの差がない。スケジュールをうまくのりきれば、72回大会で棄権して、翌年の73回大会は予選会から勝ちあがり、みごと本戦でも優勝を果たした唯一の例外、神奈川大学のようになるやもしれない。駒澤にはそれだけの戦力があるとみた。


実業団駅伝も中心不在!

 全日本実業団女子のほうは昨年、豊田自動織機、三井住友海上、ホクレンが最後までしのぎをけずった。豊田自動織機は若い力を爆発させ、出場2回目で初優勝となったが、今年はさらに混戦になるだろう。
 全日本実業団男子のほうも富士通と日清食品、旭化成が最後まではげしくトップを奪い合った。コニカミノルタ、中国電力に勢いがないだけに、今年も実力伯仲で政権交代は必至だろう。
 数ある駅伝レースのなかで、現時点ではっきりと読めるのは全日本大学女子駅伝ぐらいなものだろう。立命館大と佛教大の戦力が抜けていて、ほぼマッチレースになることがまちがいないとみている。しかしながら立命館大は連覇中だから、佛教大が勝てば政権交代なるわけで、ちょっとしたトピックになるだろう。
 ともかく史上空前の大混戦とでもいおうか。ともかくテレビのライブで観られる駅伝はどれもこれも激戦ばかりで、観る駅伝としては、このうえもないおもしろいレースが目白押し……ということだけは請け合っておこう。
 日本のマラソン・長距離陣は男子が3流、女子が2流の上ぐらいで、世界ではとても闘えるレベルにはない。しかし国内の駅伝はおもしろい。そういうのを本末顛倒というのではないのだろうか。

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