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今季こそマラソン・長距離に新し力の台頭を!!
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(2010.10.03) |
世界で戦えるか? 日本のマラソン・長距離
昨季のプロローグで、「マラソン・長距離も若い力の台頭で、華々しく政権交代をはたしてほしいものである。」と書いた。
この数年の傾向から、日本のマラソン・長距離は男女ともに低迷期にはいったのではないかという危惧が強かったからである。残念ながらその危惧は現実のものとなってしまった。
昨季のマラソンの結果をみると、男子はサブテンがひとりもいない。2時間10分を切ったランナーがひとりもいないのである。別府大分では4位の井川重史が2時間11分00秒、福岡国際では9位の下森直(安川電機)が2時間14分42秒、びわこ国際では2位の佐藤智之(旭化成)が2時間10分17秒、東京マラソンでは藤原正和(Honda)が優勝したもののタイムは2時間12分19秒におわっている。
女子をみても2時間25分を切ったランナーはひとりもいない。横浜国際女子で2位となった嶋原清子(セカンドウインドAC)は2時間27分18秒、大阪国際女子で3位となった小崎まりは2時間26分27秒、名古屋国際女子を加納由理が制したが、タイムは2時間27分11秒におわっている。
顔ぶれをみても、ロンドンオリンピックに向かって期待を馳せるランナーはひとりもみあたらないのである。男子のほうはもう、あきらめているが、女子のほうをみても、昔の名前で出ている選手ばかり、つまりは若い力が育っていないのである。
日本のマラソン・長距離の育成は高校ー大学ー実業団と連なるシステムがおおきな役割をはたしてきたが、近年はどうやら金属疲労におちいってしまったらしい。ならばそれに代わる新しい育成システムの構築を必要としている。いままさにそういう時期をむえているのではないか。
大学3駅伝、今季も大激戦必至!
昨季のそうだったが、今シーズンもレースのゆくえがまったく見えてこない。勢力図がまったくイメージできないのである。
男女の実業団、男子の大学3駅伝ともに実力伯仲、ほんの少しでもミスがあれば大きく脱落する世知辛いレースとなるだろう。総じてハイレベルのレースというよりも小粒のランナーによる総合力勝負という様相というべき様相が強くなるとみた。そういう意味で大大混戦、大激戦必至、どの駅伝も観るレースとしては、けっこうおもしろいものになる。
学生3駅伝は箱根を頂点として、出雲、全日本とプロセスを踏んでゆくのだが、そういうプロセスをふくめて、その3レースをワンパックとして観ると、興味深いものがある。
まず緒戦となる出雲駅伝だが、ここでの注目は今季の出場各チームの戦略と戦術である。各大学がどのようなオーダーでのぞんでくるのか? そのあたりから創造力をめぐらしてみると、レースの面白さが倍加するだろう。
出雲は短い距離をつなぐ駅伝である。スピード力と、スーパーエースとなる大砲が在不在が決め手となる。日大が2連覇したのはスーパーエース・ダニエルがいたからである。
今季はダニエルが卒業してしまったので、日大の3連覇は苦しい。さらに昨季は出雲、全日本と2冠にかがやきながら、箱根ではシード落ちしてしまったから、予選会にのぞまなければならない。予選会のことでアタマがいっぱいで、出雲をどのように闘うかなど眼中にないだろう。
かわって台頭してきそうなのが早稲田と駒澤である。早稲田は三田祐介、矢澤曜、八木勇樹、平賀翔太、大迫傑、志方文典など、名のある選手がエントリーに顔をならべており、今季こそ期待できそうである。さらに駒澤もあなどれない。5000mで13分台のランナーが6人もそろえ、昨年よりははるかに底上げされている。出雲ではこの両雄の一騎打ちになる可能性がある。
ほかでは山梨学院、明治、東洋あたりだが、東洋は距離がながくなって持ち味の出るチーム、さら今回は「山の神」といわれ、スーパーエースの柏原竜二をエントリーから外している。出雲にかんするかぎり圏外とみなければなるまい。もっぱら全日本、箱根のトライアルとみているようである。
箱根は3強の争いに?
全日本になると、やはり東洋大学を中心の展開になるというのが妥当なところか。関東からは12チームが出場するが、そのうち東海大、国士舘大、帝京大、さらに2連覇をねらう日大も加えて4校は箱根の予選会を経ての出場となるから、スケジュール的にみて、優勝争いはムリとみなければなるまい。
優勝争いは残る8校、つまり駒澤、東洋、明治、早稲田、山梨、中央、日体、城西のなかから出るものと思われる。現時点の予測では、ここでも東洋大、早稲田大、駒澤大が3強を形成、熾烈な激戦となるだろう。
出雲、全日本がおわれは 今シーズンの勢力分布がはっきりしてくるだろう。箱根駅伝のゆくえは、その時点で、あるていど見えてくるだろうが、ひとつだけ、はっきりしている前提条件がある。
箱根駅伝は「出雲」「全日本」と王道をゆき、調子をあげてきたチームのみが勝利する。現実に箱根の覇者は出雲、全日本に出場したチームから出ている。どれかひとつを欠いていたり、あるいは予選会あがりのチームが、いきなり頂点にのぼりつめた例はないのである。
そうなると今季の候補は、山梨学院、東洋大学、駒澤大学、中央大学、城西大学、早稲田大学、日本体育大学、明治大学の8校になる。箱根の覇者はまちがいなく、このなかから出現する。
大学女子のほうは、今季も京都の2校、立命館大、佛教大のマッチレースになるとみた。両チームの戦力が抜けている。
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低迷期を抜けだすか? 実業団駅伝
実業団駅伝は男女ともに割拠の情勢がつづいている。新旧交代の時期をむかえており、中心不在の大混戦というありさまが今季もつづく。
男子は昨季、日清食品グループが悲願の初制覇を果たした。チーム構成の若返りを断行、それが功を奏したかたちである。伸び盛りのランナーが多いだけに、まだまだ上積みがあるとみる。若さが裏目に出るケースもあるが、今季、コニカミノルタ、中国電力、旭化成なんかを押さえれば、新しい時代の旗頭になるだろう。
昨季、若さが裏目に出てしまったのが、女子のほうである。豊田自動織機は一昨季に全日本を制して、男子より一足さきに世代交代を果たした。昨季は予選の東日本実業団を圧勝して、いよいよ新時代を築くかの期待が高まったが、全日本では大きくくずれて三井住友海上にリベンジを許してしまった。
豊田自動織機はもちろん、三井住友海上にしても、今季は正念場、どんな戦いぶりをみせるか興味深いものがある。
日本のマラソン・長距離陣は男女ともに世界レベルにはほど遠いものがあるが、国内の駅伝レースは今季ももりあがるのだろう。どこか矛盾している…と思うのは、ぼくだけではないだろう。
とにかくランナーたちには、駅伝で走ることに満足したり、最終目標にしないで、駅伝をきっかけにして世界の翔びたってほしい。そういう希いをこめて、今季も駅伝ランナーたちに熱い声援をおくりたい。
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