9th 出雲全日本大学対抗駅伝
【 駒 澤 時 代 の 到 来 か ! 】
駅伝シーズンの到来を告げる 「’97出雲全日本選抜大学駅伝」(出雲駅伝) は今年も10月10日におこなわれ、16大学と4つの地域選抜チームが、6区 間44,6キロを競い合った。いにライバルの実力を探りあった。 「出雲駅伝」は競馬でいうなら、さしずめGVレースというところか。いわば 「全日本大学駅伝」「箱根駅伝」のトライアルという位置づけである。出雲をみ れば今シーズンの各大学の戦力がおおまかに分析できる。そういう意味で興味あ る駅伝なのである。 今年はある意味でみどころ多かった。昨年の「全日本」「箱根」の二冠を制し た神奈川大に箱根の復路優勝を果たした駒沢大がどのようにからんでくるのか。 山梨学院大の復活なるか。前年優勝の早稲田は優勝争いに加われるのか。さらに 近年つねに上位にある中央大が不気味にひかえている。とくに今年は昨年の小林 (早稲田)のようにスーパー・エースが見当たらないだけに、ひとつ狂えば思い がけない展開になる気配もあった。 勝負のポイントは2区であった。一区で好位につけていた駒沢大(藤田幸)の 積極性がレースにゆくへを決定づけた。一区で出遅れた山梨学院大はエースの古 田にのぞみをつないだが伸びきれず、この時点で圏外に去った。早稲田、中央も 一区で大きく出遅れ、追いあげるのが精一杯というありさま。はやくも2区で駒 沢大と神奈川大のマッチレースの素地ができあがったのである。 3区から最終6区まで、駒沢&神奈川のデッドヒートはみごたえがあった。勝 負はアンカーにもちこされ、競技場手前で駒沢の藤田幸が決着をつけた。駒沢の 藤田敦と神奈川の渡辺は実力的には互角だった。スポーツ競技の場合、実力が伯 仲しているときは、経験豊かな者が勝つ。私はそう信じて疑わない。藤田敦が制 したのは、ロードでの経験が渡辺を上回っていたからだろうと思う。 最後は藤田敦が決めたが、駒沢優勝の立役者をあげれば2区・藤田幸だと思う。 彼の「攻め」の姿勢がチーム全体を奮い立たせた。攻めまくられた王者・神奈川 は終始「受け」にまわらされたのである。 駒沢の優勝はフロックではない。昨年の箱根では復路優勝しているが、もし往 路ので気象条件にめぐまれていたが、神奈川ときわどく優勝を争っていただろう と思う。昨年の箱根の往路は強い逆風だった。だからスピードで勝負する駒沢や 順天にはきわめて不利、スタミナ勝負の早稲田と大東大が大健闘したのである。 今年の大会も関東以外の大学は優勝にからまなかった。「駅伝」に関するかぎ り、関東と他の地域とでは、実力のうえで大きなひらきがある。なぜなのか? 大学駅伝というものが、「箱根駅伝」を中心にまわっているからである。だから、 高校時代からの有力選手はみんな関東の大学に進学してしまう。現状のままでは 「関東」と他の地域」との落差は永遠に埋まらないだろう。 前哨戦からみる今年の勢力地図はいかに! 安定感ではやはり神奈川大だろう。 オーダーにムラがなく、ほとんどアナがみあたらない。総合力ではやはり神奈川 大がぬきんでている。「全日本大学駅伝」「箱根駅伝」ともに同学が中心だろう。 逆転の可能性をひめているのは、やはり出雲で勝った駒沢である。スピードが活 かせる展開になったときは圧勝してしまうかもしれない。山梨学院大は安定性に 欠ける。オツオリ、マヤカで勝ってきたが、ワーキーラに多くは望めない。古田 はスーパー・エースとしての素質十分だが、ポカが多くて信頼できそうにない。 小林のぬけた早稲田は苦しい。予選落ちの危険性すらある。伝統校のなかでは出 雲3位の中央大と、三代というエースをもつ順天がなにやら不気味な気配である。 今年も駅伝シーズンは出雲路で幕あけた。来年2月までのおよそ5ヶ月間、テ レビの駅伝中継が楽しみである。(97/10/11) |
順位 |
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記 録 |
1 | 駒澤大学 | 2:05:21 |
2 | 神奈川大学 | 2:05:35 |
3 | 中央大学 | 2:06:24 |
4 | 山梨学院大学 | 2:06:35 |
5 | 順天堂大学 | 2:07:12 |
6 | 早稲田大学 | 2:07:39 |
7 | 京都産業大学 | 2:07:53 |
8 | 大東文化大学 | 2:08:15 |
9 | 東海大学 | 2:10:21 |
10 | 広島経済大学 | 2:10:34 |
11 | 東洋大学 | 2:10:47 |
12 | 日本体育大学 | 2:11:23 |
13 | 鹿屋体育大学 | 2:13:04 |
14 | 立命館大学 | 2:13:13 |
15 | 名古屋商科大学 | 2:13:29 |
16 | 北信越学連選抜 | 2:14:13 |
17 | 福岡大学 | 2:14:52 |
18 | 中国四国学連選抜 | 2:15:11 |
19 | 北海道学連選抜 | 2:17:47 |
20 | 東北学連選抜 | 2:20:26 |
区間 | チーム名 | 選 手 名 | 記録 |
第1区 | 鹿屋体育大学 | 永田宏一郎 | 0:17:20 |
第2区 | 駒澤大学 | 藤田 幸則 | 0:21:55 |
第3区 | 神奈川大学 | 野々口 修 | 0:15:10 |
第4区 | 中央大学 | 小嶋 大輔 | 0:15:17 |
第5区 | 駒澤大学 | 佐藤 裕之 | 0:21:01 |
第6区 | 順天堂大学 | 三代 直樹 | 0:33:47 |
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