集会アピール
来年3月で、オウム真理教に対する一連の強制捜査が10年になろうとしている。オウム真理教が犯した数々の犯罪、そしてその被害者が明らかになってから、10年になろうとしているのである。今年二月には、麻原彰晃こと松本智津夫の刑事裁判は一審判決が下された。他の信徒たちの刑事裁判も、重大事犯の被告人たちを除いては、終了確定しており、受刑者についても刑の執行すら終わっている者も少なくない。この間、オウム真理教は、「アーレフ」という名前に変え、規模は小さくなっているものの、依然として活動を続けている。
その一方で、オウム真理教の犯罪による被害者たちは、依然として放置されているといっても過言ではない。オウム真理教の破産に関する特別措置法、及びいわゆるオウム対策二法という法律の3つの法律が作られ、また破産管財人の努力があったにもかかわらず、被害者に対する配当、すなわち経済的な被害回復は約三割にとどまっている。その金額は、一部の者を除いては交通事故の場合の自賠責保険の金額にも届かないものであって極めて不十分なものでしかない。
サリンという毒ガス兵器が用いられた史上空前の事件であるにかかわらず、その被害者に対する健康被害対策も、最近に至るまで不十分なものでしかなかった。
翻って、オウム真理教による犯罪の実態を考えたとき、オウム真理教が当初から日本という国に対して挑戦する犯罪を意識計画して犯したものであること、坂本弁護士一家事件の捜査等を考えたときもっと早く対策を講じることが可能ではなかったかと考えられることなどが、刑事事件の審理を通じて明らかとなっている。このような事実からすれば、国が率先して被害者救済を図るべき事件ではないかと考えられるのである。また、オウム真理教事件ほどの事件の被害者に対して、ほとんど実効的な対策がとられないのであれば、我が国の犯罪被害者対策がまことに貧しいものでしかないということが明らかになるとともに、今後の実効的な被害者対策がとられる希望は薄くなる。
今日、本集会に参加した一同は、ここに、オウム真理教による一連の犯罪被害者に対して、国がオウム真理教に代わって補償を行うことを定める、「オウム真理教の犯罪による被害者補償に関する特別措置法(仮称)」の制定を求めて、本集会アピールを採択する。
2004年10月6日
「国はオウム事件被害者に何をすべきか」
オウム事件の被害を考える10・6集会参加者一同