オウム真理教犯罪被害者等を救済法案 趣旨説明

※平成20年6月4日、衆議院内閣委員会で、中野委員長が法案起草案趣旨説明。



『オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案の起草案趣旨説明』

 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配布いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。
 この際、本起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。
 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。
 平成七年三月二十日に発生した地下鉄サリン事件等は、暴力で国の統治機構を破壊するなどの主義の下に行われた、無差別大量の殺傷行為であり、悪質重大な国家的テロリズムであります。また、これらテロ行為に至る過程でも、坂本弁護士事件に見られるように、教団に立ち向かった者やその家族が、教団の発展を阻害する者として、殺傷行為の犠牲となっております。すなわち、これらの被害者は、いわば国の身代わりとして犠牲となったもので、これらの被害者の救済を図ることは、テロリズムと戦う我が国の姿勢を明らかにするものでもあります。本起草案は、このような趣旨から、オウム真理教による犯罪の被害者等に対し、給付金を支給するものであります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。
 まず、給付金の支給対象者につきましては、以上のような趣旨を踏まえ、オウム真理教によるテロリズム等の犯罪として八つの対象事件を掲げた上で、それらの事件の被害者や遺族の方を対象としております。
 給付金の性質については、見舞金的性格の給付とされております。これにかんがみ、給付額につきましても、被害の程度と金額を、六段階に類型的に定めております。具体的には、死亡された方や重度の後遺障害を負った方について二千万円とする一方、介護を要する後遺障害を負った方については、介護の負担などを考慮して特に手厚い給付を行うべく、三千万円とするなどとしております。
 給付の手続及び事務については、被害者や遺族の方が、提出資料について、過重な手続負担を負わないようにするなどの観点を踏まえ、所要の規定を置いております。このよう
な観点からの措置として、裁定に必要な記録等の分類・整理・提出については、公務所のみならず、オウム真理教に対する破産申立事件の破産管財人等にも求めることができることとしております。
 また、国に夜求償権の取得について規定を置き、国が、給付を行った額の限度において、損害賠償請求と競合する場合、その行使に当たり、本件給付金の支給が被害者救済の趣旨
によるものであることを踏まえ、慎重かつ適切になされることを要望するものであります。 最後に、テロリズムによる被害者の救済のあり方について、検討規定を置いております。
 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。