がんばれっ!国選弁護団!
1997/4/25
松本被告の国選弁護団は、地下鉄サリン事件の被害者関係の証拠約1万2000点について、証拠採用に全て不同意することを表明しました。このため、その供述者(被害者など)や作成者(警察官など)を多数証人尋問しなければならなくなりました。この結果、裁判の長期化は避けられなくなりました。
そんなこともあって、このところ、「国選弁護団がよけいなことをするから裁判が長期化するのだ」、というのがマスコミ・世論の主流のようです。
弁護団は、刑事弁護人の役割を一生懸命説明していますが、なかなか理解してもらえず、しかも被告人本人とは信頼関係が完全に壊れ、時間ばかりとられて自分の事務所経営も危機にさらされ、全くいいことなしです。24日の公判後の弁護団の記者会見でも、弁護団と記者団とでなにやらゴタゴタがあったらしく、今日25日公判後に本来セッティングしてあった記者会見を弁護団がキャンセルすることになったようです。
しかし、弁護団が言うように、訴訟促進をはかる責任は、まず訴訟の大きさを決めるべき検察官にあります。
被害者1人の殺人事件の裁判でも1年2年かかることは珍しくありません。地下鉄サリン事件は3000名を越える被害者について殺人ないし殺人未遂で起訴したのですから、時間がかかるのは当然中の当然であり、それはそもそもそのような選択をした検察官の責任なのです。
裁判官も検察官も、弁護団を一人悪者に仕立てるような姑息な世論操作はやめるべきです。
弁護人は、検察の主張立証をチェックするのが本来の仕事であり、今回もその本来の仕事をしているだけです。
「弁護団が証拠を同意しないのはおかしい」という論調は、刑事裁判などやらなくてもいいというのと同じです。
近代民主主義社会には感情論をやせ我慢してでも押さえる理性が必要です。
四面楚歌の国選弁護団をみんなで応援しよう!!