安田弁護士、国選解任の危機!
1999/3/12
(毎日新聞より)



 オウム真理教の松本智津夫(麻原彰晃)被告(44)の公判を担当する東京地裁(阿部文洋裁判長)は12日、不動産会社の資産隠し事件で起訴・拘置中の主任弁護人、安田好弘被告(51)に国選弁護人を続ける意思があるかどうかを確認する文書を送った。安田弁護士の拘置が長期に及ぶと想定されることから、同地裁はこの意思確認をへて、国選弁護人解任に踏み切るとみられる。弁護団はこれまで再三解任しないよう申し入れており、松本被告公判にとって新たな波乱要因になりそうだ。

 刑事訴訟法によると、裁判官が「適正な弁護活動ができない」と判断した場合、国選弁護人を解任できる。関係者によると、裁判所は解任理由について、安田弁護士の3回目の保釈請求が退けられたことで、身柄拘置が夏ごろまで及ぶ見通しとなったため、国選弁護人を続けるのは不適当と判断しているとみられる。送付した文書では18日までに回答を求めており、それ以降に最終的な結論を出すとみられる。
 安田弁護士は、今月3日の初公判で無罪主張したが、申請された検察側の証拠について、共犯とされる不動産会社社長や同社関係者の調書を除いて、大半に同意した。同日、3回目の保釈請求を東京地裁に行ったが、5日に却下され、8日には東京高裁も抗告を棄却した。安田弁護士は昨年12月6日に逮捕されて以来約3カ月間、身柄を拘置され、松本被告の公判は計10回欠席。副主任弁護人が代わりを務めている。
 渡辺脩弁護団長は12日、松本被告の第111回公判閉廷後の会見で、解任の動きについては「ノーコメント」としながらも、「裁判官が理由のない拘置を続けておきながら、一方で別の裁判官が公判に出てこれないことを理由に解任するのなら無茶な話で、弁護活動をつぶすもの」と語っていた。