坂本事件民事訴訟
教団と和解成立
1998/3/6
坂本堤弁護士一家殺害事件の民事損害賠償請求訴訟(横浜地裁)で、6日、教団との和解が成立しました。和解金は約5億1300万円です。ただ、和解が成立したと言っても、教団は破産手続中であり、実際の配当は約16〜19%程度にとどまる見通しです。
ちなみに「和解」という言葉、我々弁護士は訴訟終了の一形態として日常的に使っていますが、一般の方々、特に原告となっている遺族にしてみれば、教団と「和解」をするということは、あたかも遺族が教団を許したかのようなイメージを持ってしまうのも無理ないところ。そこで、今回の和解では、そのような遺族の心情を汲み入れ、和解条項の中に次のような文言を付記することになりました。
「原告らは、オウム真理教によって被害を被った人々に対する早期救済のため、今般、破産者オウム真理教との間で話し合いにより破産債権の額を確定することとした。原告らは破産手続が速やかに進行することによってオウム真理教が解体されることを強く望むとともに、今回の話し合いによってオウム真理教を許すものではなく、今後とも坂本弁護士一家殺害事件の真相を追及することを表明する。」
和解成立後、記者会見した坂本さちよさん「教団の犯罪を許す気にはなれない。お金よりも3人を返してほしいという気持ちに変わりはないが、地下鉄サリン事件など多くの被害者の早期救済につながるならと思い和解に応じた」。
一方、教団破産管財人の阿部三郎弁護士は「坂本弁護士一家事件の民事訴訟が解決しなければ他の被害者への配当は不可能。この事件にはさまざまな思いがあり、今は一刻も早く被害者の救済をしたい」と述べました。
この和解成立で、坂本事件の民事裁判は大部分が終了しましたが、殺人行為を否認している新実智光被告については今後も審理が続けられるます。