滝本太郎弁護士襲撃事件
オウム青山被告の関与を証言
97/2/10
オウム真理教元顧問弁護士青山吉伸被告の公判が十日、東京地裁刑事十部(大野市太郎裁判長)で開かれ、滝本太郎弁護士サリン襲撃事件の検察側証人と して、教団「法皇官房」所属の医師富永昌宏被告が出廷し、青山被告の事件への 関与を証言した。
富永証言によると、襲撃事件前日の九四年五月八日、東京にいた富永被告は、山梨県上九一色村の「第六サティアン」にある松本被告の部屋に呼び出され、松本智津夫被告から「滝本 という、サマナ(出家信者)を無理やり下向(脱会)させている弁護士がいる。明日も その関係で裁判がある。魔法でポアする。詳しいことはジーヴァカ(遠藤誠一被告)に 聞いてくれ」と直接指示を受けた後、青山被告や中川智正被告らと襲撃の打ち合わせをした。
富永被告は、滝本弁護士の車にサリンを仕掛けるために翌九日、甲府地裁へ向かった 際、車に同乗していた青山被告に「予防薬を飲まなきゃだめじゃないか」としかられ、 同地裁で滝本弁護士の車の近くに車を移動させると、今度は「こんな近くに止めたら危ないじゃないか」と、文句を言われたと証言。
青山被告がサリンの危険性を認識してい たことを示唆した。
さらに、中川被告からもらったサリン予防薬について、青山被告 は犯行現場の甲府市の甲府地裁へ向かう車中で「薬はどうしたの。 飲むのを忘れちゃ駄目じゃない」と話し、富永被告と二人で二錠ず つ飲んだという。
富永被告が滝本弁護士襲撃事件を証言したのは初めて。
青山被告は「滝本先生の命を奪うことも危害を加 えることも考えたことはない」と事件への関与を否認している。
他方、滝本弁護士襲撃事件以外の虚偽告訴事件や保険金詐欺未遂事件な どの起訴事実は認めている。