坂本事件民事裁判で判決
総額4億9千万賠償を命じる−横浜地裁
初の実質的認容判決!!
坂本弁護士一家殺害事件で、遺族が原告となって実行犯らに対し損害賠償を求めていた民事裁判(横浜地方裁判所)で、今日28日午前10時から、判決の言渡しがありました。
今日判決が下されたのは、実行犯である早川紀代秀、岡崎一明、中川智正、端本悟の4被告について。
判決での認容額は原告の請求額通り約4億9千万円です。
民事裁判の場合、原告が訴状に書いた請求内容に対して、被告がどう反応するかによってその後の流れが決ります。
1 被告が答弁書を出すことなく欠席した場合、証拠調べなど実質的審理をしないまま、原告の請求通りの判決が下されます(これを欠席判決といいます)。本件民事裁判では、松本智津夫被告についてこの欠席判決が昨年9月に下されています。
2 被告が答弁書を出して、原告の請求の棄却を求めた場合には実質的審理に入ります。本件においては、早川紀代秀、岡崎一明、中川智正、端本悟の各被告は、答弁書を出していたので一応実質審理には入ったのですが、この4人は事件の事実関係自体はおおむね認めていましたので、その点での審理はあまり問題にはなりませんでした。
問題は、端本・中川両被告が、原告の請求した「損害」の内容について争っていたことです。このため裁判所としては、「損害」について証拠に基づいてきちんと審理せざるを得なくなりました。
私たち原告弁護団は、「損害」を立証するため、坂本弁護士の確定申告書に始り、報道記事・遺族や友人の陳述書等々様々な証拠を提出いたしました。
その結果、今日の判決では、それら証拠に基づき、私たちの請求通りの損害額が認定されたのです。
本件では、事件の重大性、社会的意義を強調し、通常の損害賠償請求よりも高額の損害算定を主張していたのですが、今回、裁判所が証拠に基づいてその請求通り認容してくれたということは、非常に大きな意義があると思います。
裁判はそれぞれ独立ですから、この判決が直接他の裁判の判断材料になるわけではありませんが、今回、横浜地方裁判所が事件の本質を極めて重く評価してくれたことは、事実上他の多数の刑事・民事の裁判に対して、少なからぬ影響がを及すものと思います。
判決後、記者会見した坂本さちよさんは、
「裁判所が息子たちの事件を重くみてくれたことをありがたく思う」と話していました。
この結果、残るのは新實被告に対する部分のみとなりました。
新實被告の場合は犯行に関する事実関係そのものを争っていますので、全体的に事実審理が行われることになります。
今後弁護団としては、現場検証や拘置所での出張尋問などあらゆる手段を講じて事件の真相に迫りたいと考えています。
次回期日は5月30日午前10時です。