林泰男被告に死刑
2000/6/29
地下鉄サリン事件・新宿駅青酸ガス事件・松本サリン事件に関与した林泰男被告に対し、東京地裁(木村烈裁判長)は、29日、検察の求刑通り「死刑」を言い渡しました。
地下鉄サリン事件の死刑判決は、横山真人被告に次いで2人目。死刑判決は、坂本弁護士一家殺害事件の岡崎一明被告を含め3人目です。
判決は、地下鉄サリン事件の役割について、松本智津夫被告を首謀者、村井秀夫を総指揮者、井上嘉浩被告を現場指揮者と認定。林被告については「井上被告のいないところでは主導的な役割を果たしており、実行役の中でも積極的だった」としました。
(井上被告と林被告は互いに相手方を現場指揮者として責任を押しつけあっていましたが、裁判はそう甘くないと言うところでしょうか。)
また動機については、「林被告が教祖の指示を断って脱会しても、具体的に殺害が切迫した状況にあったとはいえない」とし、「教団の存続を目的とし、自分自身の修行が進むことをも考えて実行した」と認定して、消極的な関与にとどまるとの弁護側の主張を退けました。
量刑に関しては、教団や松本被告への帰依のもとで、落ち度のない一般市民の生命を犠牲にした独善的・自己中心的な動機、冷静で忠実な実行行為、他の実行役に比べて格段に多い8人の死者、などを厳しく指摘し、「起訴事実を認めて謝罪の言葉を述べ、まじめな反省・悔悟の気持ちを示した。師を誤った不幸もあった」と有利な情状も酌みながら、極刑は回避できない、と結論付けています。
結論としては、妥当であると思います。
ただ、実行犯であるということを強調し、たまたま担当した電車での被害の大きさを重要視するのはいかがなものか。
これだけの組織的犯行においては、全体としての犯罪構造を見極めることが重要であり、偶発的な結果の差異にこだわると、量刑においてアンバランスを来す恐れがあるように思います。
林被告の弁護人は控訴の意向を示しているようです。
林被告本人はどうするか。注目したいと思います。