混迷する松本公判
弁護団解任請求へ!
2月28日、東京地裁で開かれた松本智津夫被告第28回公判で、阿部文洋裁判長は、国選弁護団が申し入れていた3月の公判期日取り消し請求を却下した。
さらに4月以降も従来通り月4回の公判期日を指定し、弁護団の公判中止要請を認めなかった。
弁護団は公判終了後、来週中に地裁に対し、弁護人を辞めるための解任請求をすることを明らかにした。
しかし、地裁は請求を認めないとみられ、「松本公判」は今後、混迷・遅延が必至となった。
阿部裁判長は「申し入れの理由は納得できない」と前置きし、松本被告との接見は百数十回行われ、打ち合わせの時間は十分あった。松本被告が不規則発言を行う理由は、その内容を考えると開廷ペースのためではないとし、「2カ月間中止しても状況が変わる可能性があるとは思われない」と、弁護団の主張を退けた。
一方で申し入れに配慮も示し
1)早川紀代秀被告ら重要証人の反対尋問を延期し、弁護団の負担が軽い証人尋問から実施する
2)4月に松本被告が認否する機会を作りたい
との案を提示した。
これに対し、弁護団は法廷で「裁判所の考えには承服できない」と反発し、期日指定の受け入れを拒否した。
渡辺脩弁護団長は公判終了後の記者会見で「十分な弁護活動ができないとの訴えが無視され、憤慨に耐えない」と語った。
<私見>
いかに裁判所から選任される「国選弁護人」とはいえ、弁護人が弁護を続ける意思・意欲がなくなればどうにもならない。もちろん今回の原因が弁護人や裁判所ではなく、専ら被告人自身にある以上、弁護団を責めることはできない。
裁判所が 期日等の進行面で弁護団にある程度譲歩しない限り、このままでは事実上の空転による訴訟遅延は避けられない。裁判所が譲歩するか、あるいは解任請求を認めて、新たに国選弁護人を選任するのか決断を迫られるところであろう。
当時と状況は変わってきたとはいえ、現在の松本弁護団の選任が非常に難航したこと、松本被告との信頼関係を築くことについて著しい困難(不可能)が予想されること、再選任したとしても膨大な訴訟記録の閲覧謄写から始まる弁護準備を1からやり直すことは重大なロスであることなどを考えると、再選任よりもここはひとつ裁判所にある程度折れてもらうほかないのではないか。月4回公判を変更するなど、配慮すべきである。
また弁護団も、被告人が認否をしたいというのだから、すぐやらせればいい。自らの人権を擁護してくれる弁護人団をコケにする以上、その言動は自己責任である。1日だけそのための期日をつくって、好きなだけ(といっても宗教論ではなく、あくまで起訴事実を前提とする認否反論に限定すべきである)しゃべらせればいいと思う。
いずれにせよ、今後の弁護団の動きと裁判所の訴訟指揮はみんなで注目しなければならない。
これ以上、遅らせることは絶対に許してはならない。