松本智津夫被告第34回公判(1997/4/24)
伊藤芳朗弁護士傍聴記(続報)
昼休み後再会された午後の法廷では、証言台のマイクが使われ、松本被告の声が良く聞き取れるようになった。
松本被告のおふざけは午前にましてエスカレートする。
<浜口さんVX殺害事件>
「死んでから報告を受けた」などと山形が勝手にやったという趣旨の供述をした。
この意見陳述中「長浜さん」「長浜さん」と名前を繰り返す。
裁判長が「浜口さんでは?」と尋ねると、松本被告「浜口?? だって長浜ラーメンって言うでしょう」
<サリンプラント建設>
「村井と豊田がやった。自分は第4段階で停止を命じた。」
一通り英単語を並べた後しばらく沈黙・・・「エーと塩化カリウムは英語で何というのかな・・・」
「オーケー 日本語でわかるのかな、みんな。英語? 日本語? これは日本語でしゃべろう」
<滝本襲撃事件>
「次は、滝本サリン事件だね。2グラムのサリンが車のフロントに滴下された。風速1.5メートル、気温40度だと、1立方メートル当たり……。アイムソーリー、わずかな量だ。致死量ではない。村井の友人の気象庁の人が鑑定して無罪になっている。滝本弁護士が女性信者を暴行監禁しているので、懲らしめるためにやった。」
<松本サリン事件>
「地下鉄サリン事件の布石。松本サリン事件については、マンジュシュリーミトラ正大師(村井)が噴霧した場所を検討して欲しい。一番近い人が重症だったことを考えれば、傷害であり、殺人ではない」
このとき意味不明の独り言を始めた。
「中村のぼるくん。ボクはサリンを投じたかね。していないよな。うんうん・・・」
<永岡さんVX襲撃事件>
「金属製の注射針のない注射器を作らせ、井上に渡したが、井上は使わなかった。これが私の関係した部分」
<水野さんVX襲撃事件>
「新実智光に山形明を使うように言ったことは認める。傷害として認定して欲しい。これは半年くらい入るのは仕方がない」
一通り認否を終え、「これが麻原彰晃の論証であります。裁判長の質問を受けたいと思います」と締めくくる。
裁判長「弁護人ご意見は」
弁護人「意見の前に、被告人聞いていいか?」
裁判所「どうぞ」
弁護人(松本被告に向かって)「貴方は誰に向かって話をしているのか」
松本被告「フレンドリーコンパニオン、ロシアンピープル、アメリカンサポータ、カールソンポチエ、中沢新一」
弁護人「ここが法廷であることが判っているのか」
松本被告「わからない」
弁護人「ここがどこだと思っているのか」
松本被告「エンタープライズのようなもの。96年12月23日に釈放されている。」
弁護人「今日は何日だか判るか」
松本被告「97年1月5日か6日である」
弁護人「今日は4月24日だ」
松本被告「そんなはずはない。自分をおとしめようとするものだ。ハナゾノヨウイチ裁判長・・・・、第三次世界大戦が起き、日本が無くなって悲しい・・・」
弁護人「貴方は一体誰と話しているのだ」
松本被告「オールオブザワールド ハイヤーピープル。坂本さんのお母さんと大山さんのお母さんとは昨日話をした」
弁護人「貴方はここが法廷だと判っているんでしょっ!!」
傍聴されていた大山さんや他のご遺族・関係者の憤りは推し量るべくもありません。
この無様なまでの猿芝居は、一体何が目的なのか。
弁護団との信頼関係も完全に失われました。
このままこのような裁判に私たちは10年も20年もつきあっていかなければならないのでしょうか。
もっとも、全ての事件について教団がやったことは認めた訳です。「殺人」か「傷害」かなどということは裁判官が考えること。松本被告の指示があったかどうか、つまり「共謀」の認定についても、弟子の発言と教祖の発言を比べてどちらが信用できるかという評価の問題であり、しかも上記のような馬鹿げたおふざけ供述を繰り返している以上、自ら「信用してくれるな」と言っているようなもの。結論は見えています。