HAGAさんの
オウム裁判番外編
1997/6/17
6月17日 林郁夫公判 弁護側証人:麻原彰晃
教祖VS弟子対決が続くなか、弟子の法廷に教祖がはじめて姿を見せた。
13:20分、紺色のスウェット上下で現れた麻原被告は、入廷するなり「ブツブツ…」。初めての証言台に座っても、日ごろの自分の公判とみせる態度は同じだった。
三上裁判長の人定質問が始まる。
三上 「名前は」
麻原 「(意味不明の英語で)ブツブツ…」
三上 「麻原彰晃でいいですか」
麻原 「ハイ」
三上 「日本語で話すように。戸籍上の松本智津夫ですか。日本の法廷では日本語で話すことになっています。あなたは日本人でしょ。さっき確認した生年月日で間違いないですか」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「何をいってるのかよく聞こえないよ。 昭和30年3月2日生まれでいいですか」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「オウム真理教の代表者ですか」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「よく聞こえないが」
麻原 「私たちは新陳代謝は…」
三上 「もうやめておきなさい」
麻原 「アイム・ショーコー・アサハラ…」
三上 「宣誓書の朗読はできますか」
書記官が代読
三上 「主旨は分かりますか。署名はできますか」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「代わりに署名させますか」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「指印は。拒絶するのですか。理由がないと制裁を受けることになりますよ」
麻原 「いいかげんにしろ」
三上 「宣誓をしなさい。10万円以下の過料になりますよ」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「拒否する理由があるのですか。あなたの態度を見ていると、不誠実にしか見えない。かつての弟子だった被告が証言してほしいというのに、誠実に対応する気持ちはないのですか。もう一度確認しますが、指印できないのか」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「英語ではできないと言っているようだが…。この場で10万円の過料を命じます。」
三上 「弁護人、林被告はどうですか」
林 「私は不満です。私が証言に出たときあなたは大声で『ショウチ(?)しろ』とか、他の証人のときにも『地獄に落ちるぞ』とか言ったのに、なんで。説法より小さい声で、しかも英語でなんか。英語はあなたがバカにしてた言葉じゃないですか。あなたに反省をうながしたり、本当のことを言うというのは無理だと十分承知している。」
三上 「あなたの気持ちが乱れるから…」
林 「彼は目が見えなくて、拘置所ではラジオしか聞けないから言いたい。5月17日に石井久子(被告)さんが自分の公判で『事件に教団が関与していたことは否定できない。なぜ、こんなことになったのか、教義の分析を始めて殺人まで犯す余地があることが分かった。ついては行った人が間違いだった』と。彼女はあなたの私生活も教団のことも把握していた人。今あなたの態度は石井さんの心にも及ばない」
麻原 「いい加減にしろ!おまえのエネルギーは足元から出ているのがまだ分からないのか」
林 「まだ、そんなこと言っているのか。杉本(繁郎)、豊田(亨)、井上(嘉浩)にしても、謝られる対象でなく、むしろあわれだなと思って見てるわけですよ。あなたなりの証言をすれば、判断するのは裁判官や聞いている人がやるんだ。それもできないのか。どういう心境か分からない。こういう人にまだついて行っている人が信じられない。英語なら、現実と向き合わなくていいし、その世界に逃げられるだろうが、転生を信じてば怖いはずだが、それすらも信じていないんだろう。単に宗教はあなたの道具で、信者は自由に動かすことができる手足に過ぎないんだろう。1人でよく考えて欲しい」
三上 「もう一度確認しますが、証言するつもりはないんですね」
麻原 「ノー」
検察官「指印も証言する気もないのか」
麻原 「ブツブツ…」
検察官「もう一度確認する」
麻原 「アイ・ネバー…」
検察官「今日、証言するつもりできたのでは」
麻原 「ブツブツ…」
三上 「証人を退廷させて下さい。残念ですが、こういう事態ですから」
13:36分閉廷
傍聴席には麻原弁護団の主任の姿もあったが、落胆したような表情で何も語らず足早に立ち去った。
地下鉄サリン事件被害者の会の高橋シズエさんは「あんなもんでしょ」。オウム真理教被害者の会の永岡会長は「予想した通り、しゃべってもらいたいと思うが。初めてあったころとまるで印象が変わらない」。
数人の信者もその姿を見ていたが、林被告の発言、麻原の態度を見て何思うのか…(了)