早川被告が坂本事件初証言
オウム真理教の元幹部早川紀代秀被告が9日、東京地裁(大野 市太郎裁判長) で開かれた端本悟被告の公判に検察側証人として出廷 し、坂本弁護士一家殺害事件で松本智津夫被告が「いまポアしなければならないのは坂本弁護士なんだ」 と殺害を直接指示した経緯など、5日の元幹部岡崎一明被告の公判で証拠採用された松本被告の自白調書(昨年10月1日付)の内容とほぼ符合する証言をした。早川被告の坂本弁護士事件についての証言は初めて。
証言の概要は次の通り。
松本被告は犯行に先立ち、実行グループの早川被告らを呼び「坂本弁護士をポアしなければならない」と指示した。
「弁護士と言っても『被害者の会』の実質的リーダーで、将来教団の障害となる」と話した。
ポアするかどうか決められるのはグルである麻原彰晃以外考えられない。
松本被告は、「いい薬があるんだ。そうだよな」と殺害方法も提案した。
「武道の達人を参加させよう」と、教団の武道大会で優勝した端本被告も実行役に加えた。
犯行直前に早川被告が坂本弁護士宅のカギが開いているのを電話で連絡すると、松本被告は「入りなさい」と命じた。
家族をどうするか尋ねたところ松本被告は「一緒にやるしかないだろう。いまのメンバーで大丈夫なはずだ」と坂本さんの妻子殺害を指示。
実行のタイミングは「いまじゃなくていい。もっと遅い方がいい」と命じた。
早川被告が殺害の中止を期待し「親せきや両親らが泊まっていればまずい」と訴えると、「確認すればいい。家族以外にいなかったらやれ」と迫った。
この点、12月5日の岡崎被告の公判で証拠採用された松本被告の供述調書では、早川被告の方から「今日がチャンス。やろうと思う」と積極的に承諾を求めたことになっており、食い違いを見せた。
また妻子の殺害についても、供述調書には早川証言で指摘された「一緒にやるしかない」と指示したとの記載はなく、早川被告から電話に対し「子供だけ残すのはかわいそうだと思い、とっさに『そうか分かった』と話したことになっている。