東京地検、殺人未遂罪立証を絞り込み
12月2日、ついに東京地検は、松本被告に対する地下鉄・松本各サリン事件について、負傷者に対する殺人未遂罪の立証を大幅に撤回する訴因変更申立書を東京地裁に提出しました。
地下鉄サリン事件
死者12人、負傷者3794人 → 死者12人、負傷者(重傷者)14人 (3780人撤回)
松本サリン事件
死者7人、負傷者14 → 死者7人、負傷者(重傷者)4人 (140人撤回)
これほど大幅な訴因変更は前例がないと思います。
訴訟促進の見地から歓迎すべきところであり、勇気ある英断だと思います。
事前に被害感情を配慮し、撤回の打診があったことも評価すべきことだと思います。
しかし、弁護団が証拠を不同意にしたから長期化を余儀なくされた、という論調の報道は筋違いだと思います。被告・弁護人には検察官証拠に同意する義務はありません。同意するであろうという甘い見込みから3800名もの大量被害を立件したこと自体、訴追責任者としての検察の判断ミスと言わざるを得ません。ここに至りやむなく大幅撤回に至ったことは、重大な失策というべきです。
この事件で検察側が提出した証拠は約1万3000点。弁護団は、サリンによる死亡・負傷であったのかどうかという点から争っており、医師の診断書なども不同意にしています。このため、被害者と医師とをセットで尋問していくと、それだけで17年かかるという試算もありました。
東京地検によれば、今回の訴因撤回後も検察立証だけであと7、8年はかかるとこのとですが、従来全く先が見えなかったことを考えれば、だいぶ光明が見えてきた気がします。オウム裁判が大きく展開を変えるきっかけになることを期待したいと思います。