オウム破産ー地下鉄営団も債権放棄
1998/4/10
(毎日新聞より)
オウム真理教の破産手続きをめぐり、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)は10日、地下鉄、松本両サリン事件などの被害者に優先配分するため、届け出ていた約8400万円の債権を事実上放棄する方針を決めた。教団の破産管財人が同日、寺嶋潔総裁に要請し、営団側が了承した。国が約4億6000万円の債権を放棄する法案が来週可決されるのに加え、自治体も総額約1億2000万円の債権について同様の措置を取る意向とみられ、計約6億6000万円の債権が被害者の救済に回される見通しとなった。
営団が放棄を決めた債権8400万円の内訳は、1995年3月の地下鉄サリン事件で汚染された車両の清掃、修繕費1000万円▽運休による収益減など営業損害5100万円▽事件処理費1300万円など。国が優先配分の対象にした地下鉄、松本両サリン事件や坂本堤弁護士一家殺害事件、目黒公証役場事務長監禁致死事件などの被害者について、営団の債権も優先的に回すことに同意する文書を来週東京地裁に提出する。
営団の大西尚総務部長は「教団の資産が少なく、被害者救済にはほど遠い状態にある。営団も被害者ではあるが、生命、身体に被害を受けた人の役に立つならと思い、申し入れを受け入れた」と話している。