サイドカー

典型的なショートドリンク。ソーダを入れてロングにしたものを見たことがあるが、どうかと思う。

蒸留酒1/2:キュラソー1/4:レモン1/4、の処方はショートドリンクの黄金比率みたいな感があります。このレシピのまま、スピリッツをジンに変えるとホワイトレディ、ウォッカならバラライカ、ラムではXYZ、テキーラではマルガリータとなり、皆スタンダード中のスタンダードの、はずせないカクテルばかりです。 このうちどれかひとつでもお気に入りの物ができれば、あとはベースの違いだけなので自分のベースの好みを把握するのに便利な分析ができますです。また今日はジン系がおいしいとか、ラムが鼻に付くとか、その日の気分や体調を知るリトマス試験紙的な飲み方もできます(再現性は自分でとりましょう)が、みなそれなりに強いカクテルなので飲んでいるうちにどれでも良くなってしまうおそれがあります。

命名について(怒らずに聞いて!)

第二次世界大戦、北アフリカに進出したドイツ機甲師団将校の一人が日に日に減って行くブランデーの瓶を眺めながら、何とか飲み伸ばすことができないのだろうか?と思い、ジュース等で割ってみたところ、ブランデーの風味を損なわずに飲める混合比率を見つけ、愛飲したという。彼の所属が側車(サイドカー)部隊だった。

当時のBMW-Rシリーズのサイドカーは、伝統のシャフトドライブもさることながら、側車の車輪も駆動する3X2で悪路走行を得意としており、砂漠にも十分対応出来た。ソ連、中国にコピーされ、現在でも愛用されていることからも、その基本設計の優秀さが伺える。

彼のその後は知られていないが、おそらくロンメル亡き後の北アフリカ師団と運命を伴にしたと思われる、、、。

という話を10年ぐらい前に聞いて、ちょうど戦争映画に凝っていたころだったので、すっかりその気になって覚えていたのですが、最近ものの本で読んでみると、このカクテルがつくられたのは1915年(第一次大戦中!)のフランスで、造った人まではっきりしていているとの事でした。ずっと信じていたのに!

砂漠の中で、補給が途絶えても美食を貫くドイツ将校のデカダンなイメージが頭の中でできてしまっていたので、彼を私のデータバンクから抹殺しなければならないと思うととても残念な一件です。

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