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すみません。その2です。








穂積神社東の見晴台(尾根道)からの富士と富士宮市街


県境から富士川沿いの峰を散策するのに、JR東海さんのトレッキング・ガイドはおすすめです(残念ながら清水の山は載って無いけどね)。特に、pdfでダウンロードできるコースマップが出来が良くて、地図にも載っていないような地元の地名、山名が出ていて嬉しいです。この冊子は以前は駅に置いてあったけど、今日びはネット上にもあります。
JR東海トップから→ おすすめの情報(おでかけ)→ 身延線沿線トレッキング へと進んで下さい。
...リンクはトップページに張って、て事なので('-^*)/。






龍爪山(りゅうそうざん)

穂積神社
穂積神社は昭和末期には廃墟と化していたが、個人の篤志の方が再建されたとの事。脱帽としか言いようがない。
なぜか二股の杉がよく見受けられ、駱駝よろしく子供の遊び場になっている。私の昭和のアルバムにも、もう倒壊してしまった古い二股杉に跨る私と兄の写真が残っている。私だけが彼らより長生きしてしまったが、今は新しい家族を迎え、なんと乗用車でここまで来て、新しい穂積神社に参拝すると時代の流れを感じざるを得ない。






Oyajiくんブログへのリンク: 竜爪山遭難者 松原春雄(まつばらはるお)さん、86歳を探しています。












******************とある日の日記:椿峠******************

(当局のお世話になれなかった日の事... )




秋晴れのある休日、久しぶりに山歩きでもと、とある峠に行こうと思いました。



峠の名前は椿峠。甲斐と駿河を結ぶ古い峠の一つで、そこには椿の木が一本と、なぜか艶っぽいお顔のお地蔵さんが鎮座しているとの噂を聞いていて、いつか行ってみたいと思っていましたが、これまで行けなかった峠です。道は古く、今は通る人も少ないらしいです。

今回は山の林道をバイクでかなり登ってから少し歩くだけの楽勝コースの予定です。



朝もゆっくり出ればいいやと思ってたら、かあちゃんが朝飯を作ってくれたのが昼! で、家を出たのは昼過ぎ。いきなり出鼻をくじかれます。

まあ今日は楽勝コースだからいいか。ザックを背負ったままバイクをとばして1時過ぎには峠の登り口に着きました。

歩き始めてすぐ道がはっきりしなくなり、荒廃はかなり進んでる感じ。それでも踏み跡や、目印を探しながら小一時間も歩くと椿峠に着きました。



...お地蔵さん、そんなに色っぽくない。でもなんか小広くていい感じの峠。水筒の水とタバコで一服。

あたりを眺めると、北の尾根方向にはっきりした道があります。地図で見てみると500mくらい先にP490という名前の頂があるらしい。ふーん 昔、反対側を登った時に見つけられなかった山頂かな? リベンンジ気分が盛り上がります。時間はあるので山頂までいってみることに。 

歩いてみるとなかなか着かない。ま、地図上とリアル山道じゃあ違うよな。道も変に細くて曲がりくねってヤブっぽくなってきた。ヤレヤレ

水たまりがあって、足跡が残ってる。V型の足跡たくさん。なんだ人間じゃなかったんだ、この道の常連さんは。どうりでね。鹿かな?猪かな?猪はやだな。

でも道の方向は合ってるみたい。人の道をカノシシがちゃっかり借用してるらしい。熊よけの鈴をチャリチャリ鳴らしながら前進。(ここらへんは準備がいい)

ヤブが深くなる。棘もいっぱい。見通しがヤバイ。  帰りのために目印のビニール紐を木に留めながら進む。(気分はヘンゼルとグレーテル ちょっと準備しすぎ?)

なんかそれらしい山頂に着かないなー。 うん 今 上に見えてる小さな頂まで登ってみてダメなら帰ろうっと。

上りきると急に道がはっきりして下り始める。あれ?次の峠が近いのかな?もう少し行ってみよう。



ん?なんだあれ? 

なんと尾根の下のほうに、車の通れそうな広い林道を発見。 あちゃー 山の裏側にまで出ちゃったかぁー? 山奥に向かっていたはずなのに林道って 白けるなぁ...    

...でも 林道、歩きやすそう。 いいなー いいなー いいや ここで山歩きドロップアウトして林道歩いて帰っちゃおうっと。 疲れてきたし

崖の斜面を滑り降りて林道に到着。ずんずん林道を下ります。 林道歩き易い!!!時速5kmは出てるな。 どんどん山を下ります。

歩いて歩いて 標高はどんどん下っていくのになんだか道がどんどん荒れていきます。もちろん人にも車にも会わない。ってか車のわだちが消えてきた。 それにクモの巣がすごい。道幅は3mぐらいあるのに道いっぱいに何層も張ってる。クモに悪いので一応破らないようにくぐって進む。廃道なの? で、ぼんやりしてると顔面の正面でクモに衝突。 ギャッ!

もう4,5kmは歩いたかな? なんで人里に出ないんだろ。 

...........え!

行き止まり? しばし呆然 下りきって行き止まりって何?  もののけのキジ場?まさかね

そういえばさっき分かれ道があったな あそこで曲がればよかったのかな? 来た道をとぼとぼ戻る。足重くなってきた。

分岐を曲がるとまた行き止まり。なんで?再度登り返し。あれっ?見たこと無い道。でさらに戻ってきた道をもう一回戻って見覚えあるところまで戻る。ゼイゼイ。

山中で迷うならともかく林道でなんでこんな目にあうんだろう。 クモの巣切りながら歩けば良かった。そうすれば通った目印になったのに グキッツ あたた足ひねっちゃった。少し休もう。



体力かなり消耗−。 日も傾いてきた。秋の日暮れは早い。なんか背筋が薄ら寒い...

小休止。携帯を出したら一応2本立ってる。 もしもし かあちゃん? ちょっと遅くなるかも。うん帰るってば。でも野宿するかも...  いやいやいや はいはい 大丈夫だから 携帯の電池なくなると困るから切るね プツッ

とは言っても夕暮れまでもう一時間もないかなー。真っ暗になっちゃうな。すぐ。

ため息... タバコを1本。すぐ消す。 もう一度携帯出す。画面見ながら少し考える。  いやー遂においらも前科者かぁ....110

「はい、どうしました?」 あのー 道に迷ったみたいで。 「どちらで?」 実は 山の中なんです。 「山?携帯 電池大丈夫ですか?所轄にまわします。」

「...はいS署です、 で、どこですか?」

あのー、桑又川の上流に宍原に抜ける椿峠って峠があって、その北側の尾根脇の林道なんですが...

「桑又? オネ? どこですそれ?」

あのー、興津川の支流の小さな川なんです。

「はあ… で、近くに人はいません?人に聞けません?家とかないんですか?」

ええ、けっこう山ん中なんです。迷ってるだけなんですが、日暮れも近いんで少々不安になりまして…

「うーん。 そう言ってもねー 今来た道を戻って帰るしかないと思いますけどねー 帰れますか?」

(も一回道探し直してがけ登ってヤブ道に戻れと?) 今来た道に帰るとまた山に戻っちゃうんですyo、 えー

「プツッ」  あ、切れた

しょうがないかぁ 携帯をしまってとぼとぼ歩き出す。



なんか地元の駐在さんが四駆で駆けつけてくれて、そんでもって少しお小言くらって帰れるようななシーンを期待したんだけどなー。  まー、そうだよな そもそもこの林道、地図にのってないし… あーあー

無心になって歩いていたら、降りてきたガケ下に思ったより早く到着。お、早いじゃん!

元来た道を引き返す! これが山で道に迷った時の鉄則!!!! 踏ん張ってガケを上りきる。 尾根まで登ってみると林の中はもう薄暗い。 うーん 



急に携帯が鳴った あ、電源切り忘れてた はい? 「えー その後どうされてますぅ?」 所轄の旦那だ

ええっと、来た道にたどり着いたのでこれから戻ろうと思ってます。 「あ、そうですか、じゃあ戻ってみて下さい」 はあ...

「じゃっ 一応ご自宅戻ったら 一報下さい では」 ぷっつん

自力で帰るしかないんだ やっぱりなー ふう



まあね、 いきなり捜索されても困るし、その前にここが地理的に把握できてないもんなぁー

南アルプスや富士山ならともかく、あんまりマイナーな場所で遭難騒ぎ起こしちゃダメなんだなー



電話をしまってもう一度山のヤブの道を見る。 林の中はかなり薄暗い、目印は見えない。もののけも出そう?

ガケの下を見るとさっきの林道。人間の道だなー。 一回通った事のあるケモノ道と初めて通る人の道かぁ    うーんどっちを選ぶべきなんだろう うーん



真っ暗になるまで多分30分。その時ヤブの中で野宿するより林道で野宿した方が安心じゃん?

で、山の鉄則放棄! 

再度ガケを下って林道に出て、今度は登り方向に歩きます。



しばらくすると道がどんどん良くなっていきます。所々舗装さえしてある。 「山芋掘るな」の看板。あー 人の気配。 口元が緩んできました。

30分歩きました。昔来た事のある広場到着。置いてある林業資材に座って水筒の水で大休止です。





...いやー 脱出成功! ほっと脱力

さて、ここで野宿は...止めといて しかたない 歩くか

下の村まで直線で1kmぐらい 山道道のりで2~4kmぐらいかな?  一時間かな ま 行くしかないか。



非常用の小さなヘッドランプを頭につけ(まさか使う羽目に会うとは)またトボトボ歩き出します。ランプの電池節約しようと消して歩きます。



...向こうからなにやら近づいてくる光の束が。 自動車にしては光軸が高い ネコバスかな?

ゴロゴロいいながら近づいてくる。

道の脇によけると僕の横で止まった。

助手席が開いて「Rさーん! 無事でしたかー!」  あれっ? T子だ。

運転席からT君が。 T君の4輪駆動だったんだ!



「いやーヨカッタ 会えて! Rさん、かあちゃん泣き声でしたよ!」

そっか かあちゃんが電話したんだ。それにしてもよくこの林道が分かったね?

いや やっぱりわかんなくて 別の林道も行っちゃって ここは二本目ですよ。大丈夫ですか?



車に乗せてもらって腕時計をみたら、もう5時間ぶっとおしで歩いてた。

「あ、そうだ」T君が振り返って何か差し出す 何?     って泡盛じゃん なんで焼酎?

「遭難者ってブランデーとか飲ませるんですよね?」

それはアルプスのセントバーナード って 君、どこでそんな間違った知識を... でももらっとこ ありがと



石垣島の泡盛を抱きながらT君の4輪駆動はとてもいい乗り心地だった。

このお話はここまで






******************石ころの謎?******************



興津川の上流・源流付近の川原に行った時に、川原の石を見てみて下さい。

なんか変、と気づいた方はかなり鋭い。地球科学に向いていますよ、きっと。

普通、川の上流に行けば行くほど川原には大きな岩ばかりで、小石も尖ったい岩のかけらのようなのですが、興津川の源流近くでは、なぜか丸い、まるで海辺にあるような丸い小石がにゴロゴロしているのです。

これは興津川の山々が大昔(200万年くらい前?)、海浜だった証拠。 海の底だったところが盛り上がって今の山になっているのです。その頃の浜辺の角の取れた丸い石が埋まっていて、これが川の水に洗われて流れに現れているのですね。

山の中なのに浜のような石が落ちている、この不思議な事に昔の人も気づいていたようで、近くの由比の山の名前に残っています。

そう、浜石岳ですね。



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