Heaven's Open (1991)
ヘブンズ・オープン


Heaven's Open

Make Make
No Dream
Mr. Shame
Gimme Back
Heaven's Open
Music From The Balcony

 オールドフィールドがヴァージンレコードに残した最後のアルバム。
前作Amarokでみせた怒涛のインストルメンタル世界からまたもや一変して、オールドフィールド自身が
全曲リードヴォーカルをとるという暴挙(^^)に出ています。
冒頭のMake Makeからオールドフィールドの荒々しいヴォーカルとデジタル音のサウンドで、オールドフィールドの
大ファンという人すら寄せ付けない雰囲気が漂います。まったく売るつもりがないかのように。
ほんとにこのアルバムを購入したのはオールドフィールドファンしかいなかったのではないかと思うほどです。
このMake Makeの歌詞にある"We're not Virgin"という言葉が、このころの彼の心境を明確に示しています。
ヴァージンレコードの指向とオールドフィールドの音楽性の全く離れてしまったことによる確執がみてとれます。
(Virginに冠詞がつかなくて固有名詞をあらわしているところがミソですね。)

とはいうものの、歌うことは嫌いじゃない(と思われる)オールドフィールド、ここでは自分の声にあった曲を
書いていて、曲自体が手抜きってわけではありません。特に、タイトル曲は力強いうえに美しいメロディーを
もった曲で、ついついこちらも口ずさみたくなります。

最後のMusic From The Balconyは約20分のインストルメンタルナンバーですが、かなり異色な作品です。
基本的にはサンプリングされたエスニックなSE、フレーズを貼り付けていったような音作りで、
きれいなメロディーが現れても長続きせず、意表をつくような展開が繰り返されます。
まあ、そういった意味ではAmarokと似ているといえなくもなく、私自身は
Amarokのデジタルバージョンだろうと勝手に決め付けています。

先述したように、オールドフィールドはこれを最後にヴァージンレコードを離れ、新たにWEAと契約し、
次作Tubular Bells Uを発表することになります。


 (おまけその1)
Make Makeの歌詞日本語訳
(私の勝手な訳なので間違っているかもしれません。あしからず)

Make Make(稼げ稼げ)

空虚なホールには入り口も無ければ、出口も無い閉じたリングのよう。
お前は群集の中のひとつの顔にすぎない
落胆したりよそ見しているうちにお前の居場所は無くなっていたんだ

Mona Lisa、探すのはやめるんだ
我々はVirginじゃないんだよ

我々はどんどん稼いでいるのさ
どんどん奪い取っていくのさ
どんどん稼いで、積み上げていくのさ
それがニセモノだって気にするんじゃない
我々はハートブレイクを作っているんだ

我々は流れる砂の上に塔を築き上げる
手を変えるってことがお前には判らなかったんだな
騎士道精神なんてあったものじゃない
お前が感じていることなんて誰も気にしない
高い理想なんてどこにもありはしないんだ

Mona Lisa、探すのはやめるんだ
我々はもうかつてのVirginじゃないんだ

我々はどんどん作っているのさ
どんどん稼いでいるのさ
どんどん作って、積み上げていくのさ
それがニセモノだったとしても気にするな
我々は人の心を傷つけているんだ

神聖な慈悲なんてない
慈善も感謝もそんなものつくっているんじゃない
我々はどんどん稼げるものを作っているのさ


(うーん、すっごく悪意のある歌詞ですねー!要するに「我々」=Virgin Recordsなんです)


 (おまけその2)
Heaven's Openの歌詞日本語訳
(調子にのってこれも訳してみました。誤訳はご了承くださいね)

Heaven's Open (天国は開かれた)

朝がやってきた
それは運命の表情で君を待ちつづけていたんだ

君のために予定された時刻なんだ
体の中から湧きあがる力を感じるだろう?

君がもっているこの貴重な瞬間にも
謎への答えは続いている

予定された時刻なんだ
もう戻れない
組んだ腕からも湧きあがる力を感じるだろう?
夜通しずっと、そう太陽が昇るまで
さあ、天国は開かれたんだ
飛び込もう!

庭の中に立って見てごらん
世界の果ての外で洗礼が待ちうけている

予定時刻さ、君の両手は自由なんだ
エクスタシーにも似た力を感じるだろう?
夜通しずっと、そう太陽が昇るまで
さあ、天国は開かれたんだ
飛び込もう!

夜通しずっと、待っていたんだ
そう太陽が昇るまで
紺碧の空がみえるまで

天国は開かれた
光が射してくる
自由になったんだ
青空が入ってくる!


(私の解釈ではこのアルバムを最後にヴァージンレコードから開放されるオールドフィールドの気持ちを歌ったんだと思います)


(おまけその3)
このアルバムの裏ジャケットに描かれている模様、これはマンデルブロ集合というフラクタル画像です。
フラクタル画像というのは全体と細部で相似形をもつのが特徴で、あるシンプルな数式の計算結果を
座標に示していくとこういった模様があらわれてくるのだそうです。
私は、Heaven's Openが発表されてから数ヶ月後本屋でこのマンデルブロ集合に出会い、
「あ、マイクのCDにあった模様やん。」て感じでフラクタルに興味をもった時期があります。

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