Incantations (1978)
呪文


Incantaions

Part One
Part Two
Part Three
Part Four

Ommadawnの後、約3年のブランクを置いて発表された4作目。
LPでは2枚組でリリースされた全編70分に及ぶ大作です。
さすがに一聴しただけでは全容を把握することは難しいのですが、
意外にも難解な印象は受けず、親しみやすいものになっています。
これはオールドフィールド独特の美しいメロディーラインによるものでしょう。

作品は4つのパートから構成されていますが、キーとなるいくつかの印象的なメロディーが各パートに違うアレンジで
ちりばめられていて、これがこの作品の統一感を引き出しています。
また、Ommadawnで用いたアフリカンパーカッションはここでも効果的に使用されていて、
オールドフィールドの音楽の個性として定着しています。

Part1は大幅にストリングスセクションを導入したパートで、いままでのオールドフィールドの作品とはちょっと違った印象を受けます。
イントロのこの作品の主題といえる部分は6/8拍子と5/8拍子が組み合わさった複合拍子で
なかなかインパクトがあり、このフレーズがあることで作品全体を引き締める役割を果たしています。
中盤ではアフリカンドラムにコーラスがかぶさりOmmadawnパート1で見せた展開に近いものがあります。
そして後半は再び主題がアレンジされた形で展開され、終了します。
Part2は牧歌的なシンセに導かれて、荘厳なコーラスパートが続いたあと、
トラディショナルフォークバンド スティーライ・スパンのヴォーカリスト マディ・プライアによる歌が綴られていきます。
ここがこのアルバムのひとつのハイライトといえる部分で、プライアの美しいヴォイスにマリンバとパーカッションが重なり
淡々と続くのですが夢のような非常に魅力的なパートです。
背後で常時鳴っているシンセの壁が若干圧迫感があるのがちょっとうっとうしくもありますが...(^^)。
Part3はイントロ部がオーケストラとエレクトリックギターの競演といった感じのかっこいい部分です。
その後もギターとシンセとパーカッションの演奏が続いていく展開で、
このアルバムで初めてオールドフィールドのギターを存分に聴ける部分でもあります。
Part4はこれも魅力的なハープのフレーズから始まり、Part1の主題をヴィブラフォンでなぞっていきます。
ここにギターが絡まりながら、一気にクライマックス部に突入する部分、
再びアフリカンドラムが登場し、ギターがエモーショナルなフレーズを重ねていくところがすごくかっこいいです。
そしてどんどん緊張感が高まってきたところで、一転マリンバのみの演奏となる部分、大好きです(^^)。
エンディングはTubular Bellsの楽器紹介部分のようにマリンバが奏でるフレーズに楽器が重なっていき、
最後にプライアのヴォーカルでPart2でのメロディーが歌い上げられます。ここは見事としか言いようがないですね。

全体的な印象でいうと、多少繰りかえしが長すぎるかなと思う部分もあるのですが
それを補って余りある多彩なアイディアが注ぎこまれた力作といえるでしょう。


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