Tubular Bells U (1992)
チューブラー・ベルズ U


Tubular Bells 2

Sentinel
Dark star
Clear Light
Blue Saloon
Sunjammer
Red Dawn
The Bell
Weightless
The Great Plain
Sunset Door
Tattoo
Altered State
Maya Gold
Moonshine

Heaven's Openを最後にヴァージンレコードから離れ、WEAと契約したオールドフィールドが
満を持して発表したのがこのアルバムであり、ヨーロッパではかなりのヒットとなりました。
なにしろあの大ヒットの続編なんですから、ファンでなくても注目を浴びたのは言うまでもありません。

しかし、このアルバム、続編というよりはリメイクと言ったほうが正しいのです。
でも単なるリメイクというわけではなく、全体の構成と雰囲気のみをオリジナルの「チューブラー・ベルズ」
をなぞった全く別の曲なのです。TB2(本作の略称)はTB1(オリジナル)の手の込んだ変奏曲なんです。
こんなリメイクのやり方、私は他に見たことがありません。

曲の冒頭、ピアノによる短いテーマが奏でられます。(実はこれがTB2のテーマ(主題)なのです)
そのあと、あのTB2のイントロのフレーズを微妙に変化させたリフレインが始まります。
そして、TB1の展開に沿った形で曲が展開されていきます。そしてTB1でのパート1の後半に対応する
The Bellでやはり同様の楽器紹介があり、チューブラベルが高らかに鳴り響き、
ひとつのクライマックスを迎えます。この部分のメロディーは最高にすばらしいと思います。

後半も同様にTB1の展開をなぞっていき、Maya Goldで一旦曲は終わりを告げ、
TB1であったように最後のMoonshineがフォークダンス風に賑やかに演奏されエンディングとなります。

TB2TB1と比較して違っているところを思いつくまま列挙してみましょう。

TB1は混沌とした世界であったのに較べてTB2は整理され、開放的なメロディー、サウンドになっている。
TB2には全体を統合する主題がある。
TB2ではエスニックなパーカッション(サンプル?)が用いられている。
TB2はデジタル編集によりクリアな音となり、雰囲気としてつるっとした印象がある。

最後に述べた音の変化はヴァージン在籍時代後期の音とも違うものとなっています。
そして今作の後の作品にもこのサウンドは継承されていきます。

個人的にはTB2のほうがTB1よりも好きです。まあ、TB1はリアルタイムで体験していない分
思い入れが少ないというのも大きな理由ですが、この唯一無二な音楽を現代の音とこれまで身に付けてきた
音楽のエッセンスをもって再現させたオールドフィールドのアイディアと才能に脱帽せざるを得ません。


(おまけ)The Bellでの楽器アナウンス
Grand Piano
Reed and Pipe Organ
Grockenspiel
Bass Guitar
Vocal Choirs
Too Slightly Sampled Electric Guitar
The Venetian Effects (*)
Digital Sound Processor
and .... Tubular Bells !!(**)

(*)  ヴェネチア風の効果ということからおそらくマンドリンをはじめとする
   弦楽器アンサンブルのことと思います。
   ヒアリング上は「デビニシャン」と聞こえるので、最初なんのことか判りませんでしたが
   この部分、英語ではザ・ヴィニーシャンと発音するんですねー。
(**) ここでのチューブラベルはデジタルな加工を施されていて、元々音色に含まれている
   マイナーハーモニクスを除去しているらしく、聴感は非常に華やかな音色になっています。

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